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第八章 スライム達の暮らす可愛らしい異世界
第430話 5対1の戦い
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ロード、スワン、ハズレ、グラス、ドノミがついに出そろい、魔王バグバニッシャーを囲む。
皆それぞれスライム達の魔王国の建物の上に立っていた。
「アオーーーーーーン!!」
ロードがオオカミの遠吠えをする。
「うわあ!」「何の声だ!」「聞いたこともない声だ!」「危なそうだ!」「に、逃げよう!」
建物の真下にいたスライム達が逃げる。
(これでスライム払いは出来た。操ったり、人質には取れないはず)
「ロード、どういう状況?」
ハズレが訊く。
「魔王バグバニッシャーを追い詰めたところだ。こいつが本能の秘宝玉で魔物たちを暴走させてたらしい」
「ほう、こいつがね~~」
「どいつが魔王だって?」
「そこにいる卵のスライム」
スワンがグラスの質問に答える。
「ドノミさん、いいんだな? こいつを倒しても」
ロードが確認する。
「ハイ、全責任は私が取ります。一緒にこの異世界を守りましょう」
鉄の棒を構えるドノミ。
グラスは輪っかのついた短剣を指に引っ掛けていく。
ハズレはマッチ棒を取り出して、擦り火を付けて、純銀の剣シラユリヒメに炎を纏わせる。
スワンは近場の池から水の手を二つ出現させる。池の水が動いたとき側にいたスライム達が驚いた。
ロードは先ほどの光の剣で体力を消耗していたが、まだ戦えるようだった。
「はぁ~~人間たちがこんなにたくさん俺様大ピンチ…………ってなわけで、さいなら」
バグバニッシャーが逃げ出そうとしたが、水の腕に阻まれた。
「逃げられないよ」
スワンが言う。
「――――!?」
グラスが糸を引く短剣を投げ出す。ガガガガガっと建物に刺さる短剣を避けて行く魔王。
「ちっ、素早いうえに小さくて当たらねーか」
「――ハァ!!」
ハズレが飛び込んでスライムを的確に見定め剣で斬るが、卵の殻に受け止められる。
「はぁ~~~~お前ら、俺様を舐めすぎ、仕方ない本能の秘宝玉の力見せてやるよ。覚醒せよ!! 魔物たち!!」
その時、空間が歪んだとロードたちは錯覚した。それだけではない魔王を中心に何かしらの波動がホーン魔王国に伝わって行った。
◆ ◆ ◆ ◆
高台の上。
一人双眼鏡を手にしていたベラッタ。
その異様な紫色の波動がホーン魔王国を包み込むのを見ていた。
「こりゃぁ、ただ事じゃないな」
◆ ◆ ◆ ◆
「本能の秘宝玉?」
ハズレが訊く。
「この国のスライム達を一匹残らず暴走してやる!! そしてお前たちはそいつらと戦え!!」
魔王バグバニッシャーが吠える。
「こんな広範囲に展開できる力なのか!?」
ロードが驚く。だが、一瞬で我に返り、小さな魔王に戦いを挑む。
右手の剣を振り被って、魔王は卵の殻でガードする。しかし、ロードには左手の剣がある。こちらも振ってバグバニッシャーに一撃与えようとするが、避けられる。
「あれ? スライム達がいない?」
魔王が疑問に思う。
「さっき遠吠えして、スライム達をこの力で払った。お前が操れたとしてもとうぶん来ない」
「ああ!?」
「そら! 行くぜ!!」
グラスがスライムの建物に短剣を刺して、糸で引いて、建物を引っこ抜き、魔王にぶつける。
「――――何だ!! このでたらめな攻撃は!?」
「この生ぬるい異世界に浸りすぎたんじゃないか?」
ハズレが爆薬を投げて、剣を振って火の粉を付けると、ドカーーーーーーンと大爆発が起きる。
「――おおい!! 何なんだお前らは!? ――!!」
魔王の吹き飛ばされた先にはドノミが立っていた。
「5対1です。この状況であなたに勝ち目はありません。この異世界を守るためです。覚悟――!!」
ドノミが鉄の棒で叩きつけようとする。しかし卵の殻でガードされる。
「ちっ、舐められたもんだなぁーーーー!! 本能の覚醒しろおおおおおおおおおおおお!!」
その怒号はロード以外の人間に反応した。皆それぞれ、ドクンと心臓の音が鳴る。
「「「「――――!!!?」」」」
その時、ドノミが鉄の棒を構えて守りの態勢を取った。
その時、スワンが肩を抱えて倒れた。
その時、グラスが短剣の糸を引き戻して、他の建物を刺し、建物を投げて無造作な破壊を起こした。
その時、ハズレは何歩も先の距離を取った。ほとんど逃げ出したに近い。
「皆どうした!?」
ロードだけは何の異常もなかった。
「なんだ? そうかお前は道の秘宝玉、ブレない道を行くから、オレの本能の共鳴が通用しないのか……」
「本能の共鳴だと?」
「そうさ、見てみろこの女の防御、まさしくスライムを守ろうとする目、母性本能。あっちの短剣使いは戦闘本能か~~ひゅ~~~~めちゃくちゃにやるねーー、それから距離を取った奴、あれは逃走本能か? オレの脅威差にビビって逃げだしてるぞ。そこの精霊の術使いは本能覚醒に当てられ自己破壊を起こしてるな。これでまた一対一。さてどうする?」
魔王バグバニッシャーがせせら笑う。
(これが本能の秘宝玉の力)
「なぁにやっと本気を出したか……みたいな顔してんだ? ここからだよ、俺様の本気は!」
「き、気を付けてロードアイツの戦闘形態に……」
スワンがそれだけ言うと、近くの建物の上に移動した。
「戦闘形態……」
ロードは警戒する。
皆それぞれスライム達の魔王国の建物の上に立っていた。
「アオーーーーーーン!!」
ロードがオオカミの遠吠えをする。
「うわあ!」「何の声だ!」「聞いたこともない声だ!」「危なそうだ!」「に、逃げよう!」
建物の真下にいたスライム達が逃げる。
(これでスライム払いは出来た。操ったり、人質には取れないはず)
「ロード、どういう状況?」
ハズレが訊く。
「魔王バグバニッシャーを追い詰めたところだ。こいつが本能の秘宝玉で魔物たちを暴走させてたらしい」
「ほう、こいつがね~~」
「どいつが魔王だって?」
「そこにいる卵のスライム」
スワンがグラスの質問に答える。
「ドノミさん、いいんだな? こいつを倒しても」
ロードが確認する。
「ハイ、全責任は私が取ります。一緒にこの異世界を守りましょう」
鉄の棒を構えるドノミ。
グラスは輪っかのついた短剣を指に引っ掛けていく。
ハズレはマッチ棒を取り出して、擦り火を付けて、純銀の剣シラユリヒメに炎を纏わせる。
スワンは近場の池から水の手を二つ出現させる。池の水が動いたとき側にいたスライム達が驚いた。
ロードは先ほどの光の剣で体力を消耗していたが、まだ戦えるようだった。
「はぁ~~人間たちがこんなにたくさん俺様大ピンチ…………ってなわけで、さいなら」
バグバニッシャーが逃げ出そうとしたが、水の腕に阻まれた。
「逃げられないよ」
スワンが言う。
「――――!?」
グラスが糸を引く短剣を投げ出す。ガガガガガっと建物に刺さる短剣を避けて行く魔王。
「ちっ、素早いうえに小さくて当たらねーか」
「――ハァ!!」
ハズレが飛び込んでスライムを的確に見定め剣で斬るが、卵の殻に受け止められる。
「はぁ~~~~お前ら、俺様を舐めすぎ、仕方ない本能の秘宝玉の力見せてやるよ。覚醒せよ!! 魔物たち!!」
その時、空間が歪んだとロードたちは錯覚した。それだけではない魔王を中心に何かしらの波動がホーン魔王国に伝わって行った。
◆ ◆ ◆ ◆
高台の上。
一人双眼鏡を手にしていたベラッタ。
その異様な紫色の波動がホーン魔王国を包み込むのを見ていた。
「こりゃぁ、ただ事じゃないな」
◆ ◆ ◆ ◆
「本能の秘宝玉?」
ハズレが訊く。
「この国のスライム達を一匹残らず暴走してやる!! そしてお前たちはそいつらと戦え!!」
魔王バグバニッシャーが吠える。
「こんな広範囲に展開できる力なのか!?」
ロードが驚く。だが、一瞬で我に返り、小さな魔王に戦いを挑む。
右手の剣を振り被って、魔王は卵の殻でガードする。しかし、ロードには左手の剣がある。こちらも振ってバグバニッシャーに一撃与えようとするが、避けられる。
「あれ? スライム達がいない?」
魔王が疑問に思う。
「さっき遠吠えして、スライム達をこの力で払った。お前が操れたとしてもとうぶん来ない」
「ああ!?」
「そら! 行くぜ!!」
グラスがスライムの建物に短剣を刺して、糸で引いて、建物を引っこ抜き、魔王にぶつける。
「――――何だ!! このでたらめな攻撃は!?」
「この生ぬるい異世界に浸りすぎたんじゃないか?」
ハズレが爆薬を投げて、剣を振って火の粉を付けると、ドカーーーーーーンと大爆発が起きる。
「――おおい!! 何なんだお前らは!? ――!!」
魔王の吹き飛ばされた先にはドノミが立っていた。
「5対1です。この状況であなたに勝ち目はありません。この異世界を守るためです。覚悟――!!」
ドノミが鉄の棒で叩きつけようとする。しかし卵の殻でガードされる。
「ちっ、舐められたもんだなぁーーーー!! 本能の覚醒しろおおおおおおおおおおおお!!」
その怒号はロード以外の人間に反応した。皆それぞれ、ドクンと心臓の音が鳴る。
「「「「――――!!!?」」」」
その時、ドノミが鉄の棒を構えて守りの態勢を取った。
その時、スワンが肩を抱えて倒れた。
その時、グラスが短剣の糸を引き戻して、他の建物を刺し、建物を投げて無造作な破壊を起こした。
その時、ハズレは何歩も先の距離を取った。ほとんど逃げ出したに近い。
「皆どうした!?」
ロードだけは何の異常もなかった。
「なんだ? そうかお前は道の秘宝玉、ブレない道を行くから、オレの本能の共鳴が通用しないのか……」
「本能の共鳴だと?」
「そうさ、見てみろこの女の防御、まさしくスライムを守ろうとする目、母性本能。あっちの短剣使いは戦闘本能か~~ひゅ~~~~めちゃくちゃにやるねーー、それから距離を取った奴、あれは逃走本能か? オレの脅威差にビビって逃げだしてるぞ。そこの精霊の術使いは本能覚醒に当てられ自己破壊を起こしてるな。これでまた一対一。さてどうする?」
魔王バグバニッシャーがせせら笑う。
(これが本能の秘宝玉の力)
「なぁにやっと本気を出したか……みたいな顔してんだ? ここからだよ、俺様の本気は!」
「き、気を付けてロードアイツの戦闘形態に……」
スワンがそれだけ言うと、近くの建物の上に移動した。
「戦闘形態……」
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