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第八章 スライム達の暮らす可愛らしい異世界

第428話 スワンの状況説明とアカの戦闘

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 赤い竜、アカがスライムサイズの魔王バグバニッシャーと対峙する。

 その間ロードはスワンから状況を聞こうとしていた。

 観客席の方は依然としてスライム同士のケンカが絶えない。

「――――――!! どこへ行った小さいの!」

 アカがバグバニッシャーを探す。

「――驚いたまさか、竜なんかがこの異世界にいたなんて……だが図体がでかいだでは俺様は倒されないぞ」

 バグバニッシャーは堂々とアカの前に姿を現した。

 アカが鋭い爪を振るう。その動きに合わせて魔王はジャンプし避ける。

 空中に出たところをもう一方の腕の爪が襲う。魔王は卵の殻の中から腕を出し爪を掴み、避ける。

 アカは連続して攻撃を放っていたが、一向に当たる気配がなかった。それは相手が小さすぎたからだった。

 そこでアカは出し惜しみせず、炎のブレスを吐いた。すると、地面に着地した魔王に襲い掛かる。

 しかし、アカが見たものは、魔王の霧散化ではなく。魔王が身に着けていたタマゴの殻だった。

 この時、
(何だこ奴は、以前戦った魔王アグロ―ニより、やりにくいぞ)
 アカは早々に決着をつける気でいたが、そうはいかなかった。

 この時、
(竜か、大した攻撃スピードじゃない……ある程度疲れさせて戦闘状態で一気に叩きのめすか)
 魔王バグバニッシャーはこう考えていた。

「アカ! 炎はやめて! 他のスライムに飛び火する!」

 スワンが叫ぶ。

「ん? ああ、分かった」

 アカが了承した。

「スワン何があった? 観客みたいなスライムは何故争ってる? 後さっきの化物は何だ?」

 ロードは青い剣を構え、臨戦態勢を整えていた。

「あの卵の殻に覆われたスライムのせいだった」

「何が?」

「この異世界で度々見かけたスライム達や無害な魔物の異常な行動。それはアイツの本能の秘宝玉による力だって自分で言ってた」

「本能の秘宝玉? どういう効果だ?」

「魔物にはやっぱり、根本的から、他者に害成すものみたいで、その害成す力は無害認定された魔物たちにも当然ある。人で言うと魔力みたいなもの……」

「よく分からないが、アイツが暴走の原因を作り出してる魔物か……」

「アイツ、この異世界を凶暴な魔物でいっぱいにするのが狙いなんだ」

「だから暴走させているのか……段々話がつながて来た」

「あと、アイツ自分を魔王と名乗ってる。秘宝玉の選定式があって――――あーーーー!?」

「どうしたスワン」

「アイツ、魔王祭の秘宝玉を自分の体の中に取り込んだんだ! その隙に自分の黒い本能の秘宝玉出して皆に見せつけたんだ」

「……何のことか分からないが、密猟団はどうしたここに向かっていたのを見たが……」

「アイツに食べられた」

「――――!!」

「それからトンガリも――言ってたよトンガリ、この異世界を平和にして、皆を幸せにするって、けどアイツは――」

「もういい、分かった。スワンあいつを倒せばすべてカタが付きそうか?」

 ロードの目はもう魔王バグバニッシャーに向いていた。

「分からない。秘宝玉の効果で暴れているスライム達が正気に戻るかどうか……」

「それならまた生命力を奪って正気に戻すだけだ。そしてオレが訊きたいのはそこじゃない」

「えっ」

「あいつは無害な魔物か? 有害な魔物か? どっちだ!」

「ゆ、有害な方」

 スワンは一瞬言うのを躊躇たが、自分の見解だけで話す。

「よし、ならオレが偽りの魔王を倒す!」

 ダッとっ地面を蹴り、走り出すロード。その青い剣を卵の殻を被ったスライムに差し向けた、だが、その一撃は卵の殻に妨げられた。

(――――!? 硬い)

「済まないロード、時間切れだ。奴が小さすぎて攻撃を与えるどころか移動が変則的で目視するのも難しかった」

 魔王と戦っていたアカが言う。

「ああ、分かった。あとは任せろ……」

 ロードの一言にアカは竜の姿から赤い剣の姿に戻っていく。

「ハッ! こいつはいい!」

 魔王バグバニッシャーが言う。

「何がだ?」

 ロードが訊く。

「その赤い剣の竜を暴走させれば、異世界に行ったとき大きな戦力となるだろう。俺様の眷属使魔にも相応しいかもしれん」

「眷属使魔だと?」

 ロードが会場に突き刺さった一本の剣を引き抜いて、両手に剣のある状態で構える。

「面白そうな人間だが、竜の方が欲しい。人間はあまり興味がないし、大人しく渡せ」

「………………前にもお前みたいな魔王がこの剣をよこせと言って来た。だがオレは渡さずにそいつに勝った。それは今回も同じだ」

 ロードは走り出した。有害な魔物魔王バグバニッシャーに向かって、

「ほう、少しはオレの闘争本能に火を付けてくれそうだ」

 対して、バグバニッシャーは余裕そうな顔で迎え撃とうとしていた。
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