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第八章 スライム達の暮らす可愛らしい異世界
第419話 第2試練、高跳び
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橋を渡り切ったスライム達は会場に入るための門の前にいた。
フィッシュ系のスライムは水路に飛び込んで全滅していたが、まだ他の種族のスライム達が残っていた。
スライム達は大きな門の前に魔王城の衛兵たちによって連れてこられた。
堂々と魔王祭参加者のスライムと向き合う衛兵長が一歩前に出る。
「皆。おめでとう、おめでとう。ここにいる者たちは魔王になるための魔王さまになるための第一歩を踏み歩いた者たちだ。これからの皆の活躍に期待する」
その時、魔王城の門が開いた。
「では、魔王になるための試練を突破して見事我らの主となってくれ!」
門から刺し込む光が参加者たちを照らす。
わーーーーーー!! わーーーーーー!! 大歓声が巻き起こった。
様々なスライム達が観客席に付き、第1試練を終えたスライム達を歓迎していた。
第1試練を突破したスライムはおよそ500匹。
この中の誰かが魔王になる素質のある者たちかもしれないのだ。もちろん今年も魔王は現れないかもしれないが、観客たちは勇敢なスライムたちを見て盛り上がっていた。
そして、門が完全に開くと、魔王祭参加者たちは衛兵について行き、ある物の前に連れて来られる。
それは高跳びの道具とマットだった。
この時、
(次の種目は高跳び?)
スワンはそう思った。
高跳びの幅は10メートルスライムも飛べる様に調整され、高さ50センチとスライム達の背丈からしたら高すぎた。スライム一匹の平均高さは17センチである。
「さぁ、次の試練は高跳びだ! 見事これを跳び越えて次なる試練に望んでくれ!」
衛兵長が言う。
「兄ちゃん! 頑張れ!」「あなた! 頑張って!」「息子よ、お前なら出来るぞ!」「ああ、私のお父さんがいない」
観客のスライム達も各々応援したり、第1試練で失格となった者たちのことを考えたりしていた。
「誰も行かねぇならオレから行くぜ」「何一番乗りはオレだ」「レベル100のオレに道を開けな」
活発なアニマル系スライム達が騒いでいた。
「順番だ! 最初に声を上げたキミから飛んでもらう」
「よし」「くっ」「声を出しておけば」
アニマル系が高跳びから丁度いい距離を取って走り出す。すると助走が効いたのか自分の背丈の倍以上ある棒を跳び越えた。
「おっしゃーーーー!!」
大声を上げるアニマル系。
「よし次はオレだ」
またアニマル系が名乗りを上げて、高跳びを成功していく。
助走が足りずに棒にぶつかってしまった参加者や走りが止まらなくて棒の下をくぐって行ったアニマル系は失格となった。アニマル系80匹の内、15匹は失格となった。
続いて、ウィング系が高跳びをする。第1試練で橋の上を飛んで、全員がクリアしたウィング系はここでも空を飛んで軽々と高跳びをクリアしていった。合計約100匹はいた。
次の参加者は今回の魔王祭で一番の巨体を誇る10メートル級のスライムだった。
「うむ、何というビッグスライム」
衛兵長がこのスライムに期待していた。
「ぬおーーーー!!」
ビッグスライムが50センチの高跳びを成功させる。その着地の時、会場が揺れた。その振動で魔王祭参加者のスライム達は浮き上がる。それから意図してやったのか偶然なのか、卵の殻を被ったスライムが跳ねたときの振動を利用して高跳びを跳び越えた。
「うわ~~」「眩しい」「高いよ~~」「ボウ落としちゃった」「あっ跳べなかった」
それから、ホラー系が高跳びに挑戦するが、日の光が苦手や夜行性ということもあって、多くの失格者を出した。元々運動も苦手そうだった。30匹中1匹だけが高跳びに成功した。
そしてシンプル系スライム達も順番に飛んで行く。トンガリの友達であるガボとオニブリは高跳びに成功したが、シーボはここで失敗してしまった。一回しかチャレンジできないのが、この試練の厳しいところだった。
そしてついにトンガリの番が来た。
「う~~~~と、跳べるかな~~」
弱気になるトンガリ。
「大丈夫、最初トンガリと出会ったとき、あなたは1メートルくらいの高さもある障害物に体当たりしてた」
スワンは初めてトンガリと出会って、ロードに体当たりしてきたトンガリを思い出す。
「オレが1メートルも?」
「うん。だから自信を持って……」
スワンが応援する。
「分かった! よーし! 行くぞ!」
トンガリが助走をつける為、高跳びから距離を取り、走り出す。そして高跳びの棒の上を軽々と飛んで行った。
「…………やった!」
マットに着地したトンガリが小さく喜ぶ。
「ほらね、跳べたでしょ、私の言った通りに――」
「――声がしたんだ。心の中でお前は跳べるって声がしたんだ」
「……声?」
「アハハ、良かった、跳べたーー」
トンガリは第2試練をクリアした。
この時、
(たまにトンガリの言う声ってなんなんだろう)
スワンは考え込んだ。
それからシンプル系が跳んで、30匹クリア。ネイチャー系が15匹クリア。スイーツ系が5匹クリア。フルーツ系が12匹クリアした。
高跳びをクリアできたスライムは合計で223匹だった。
クリアした参加者たちには観客たちから熱いエールを送られていた。
フィッシュ系のスライムは水路に飛び込んで全滅していたが、まだ他の種族のスライム達が残っていた。
スライム達は大きな門の前に魔王城の衛兵たちによって連れてこられた。
堂々と魔王祭参加者のスライムと向き合う衛兵長が一歩前に出る。
「皆。おめでとう、おめでとう。ここにいる者たちは魔王になるための魔王さまになるための第一歩を踏み歩いた者たちだ。これからの皆の活躍に期待する」
その時、魔王城の門が開いた。
「では、魔王になるための試練を突破して見事我らの主となってくれ!」
門から刺し込む光が参加者たちを照らす。
わーーーーーー!! わーーーーーー!! 大歓声が巻き起こった。
様々なスライム達が観客席に付き、第1試練を終えたスライム達を歓迎していた。
第1試練を突破したスライムはおよそ500匹。
この中の誰かが魔王になる素質のある者たちかもしれないのだ。もちろん今年も魔王は現れないかもしれないが、観客たちは勇敢なスライムたちを見て盛り上がっていた。
そして、門が完全に開くと、魔王祭参加者たちは衛兵について行き、ある物の前に連れて来られる。
それは高跳びの道具とマットだった。
この時、
(次の種目は高跳び?)
スワンはそう思った。
高跳びの幅は10メートルスライムも飛べる様に調整され、高さ50センチとスライム達の背丈からしたら高すぎた。スライム一匹の平均高さは17センチである。
「さぁ、次の試練は高跳びだ! 見事これを跳び越えて次なる試練に望んでくれ!」
衛兵長が言う。
「兄ちゃん! 頑張れ!」「あなた! 頑張って!」「息子よ、お前なら出来るぞ!」「ああ、私のお父さんがいない」
観客のスライム達も各々応援したり、第1試練で失格となった者たちのことを考えたりしていた。
「誰も行かねぇならオレから行くぜ」「何一番乗りはオレだ」「レベル100のオレに道を開けな」
活発なアニマル系スライム達が騒いでいた。
「順番だ! 最初に声を上げたキミから飛んでもらう」
「よし」「くっ」「声を出しておけば」
アニマル系が高跳びから丁度いい距離を取って走り出す。すると助走が効いたのか自分の背丈の倍以上ある棒を跳び越えた。
「おっしゃーーーー!!」
大声を上げるアニマル系。
「よし次はオレだ」
またアニマル系が名乗りを上げて、高跳びを成功していく。
助走が足りずに棒にぶつかってしまった参加者や走りが止まらなくて棒の下をくぐって行ったアニマル系は失格となった。アニマル系80匹の内、15匹は失格となった。
続いて、ウィング系が高跳びをする。第1試練で橋の上を飛んで、全員がクリアしたウィング系はここでも空を飛んで軽々と高跳びをクリアしていった。合計約100匹はいた。
次の参加者は今回の魔王祭で一番の巨体を誇る10メートル級のスライムだった。
「うむ、何というビッグスライム」
衛兵長がこのスライムに期待していた。
「ぬおーーーー!!」
ビッグスライムが50センチの高跳びを成功させる。その着地の時、会場が揺れた。その振動で魔王祭参加者のスライム達は浮き上がる。それから意図してやったのか偶然なのか、卵の殻を被ったスライムが跳ねたときの振動を利用して高跳びを跳び越えた。
「うわ~~」「眩しい」「高いよ~~」「ボウ落としちゃった」「あっ跳べなかった」
それから、ホラー系が高跳びに挑戦するが、日の光が苦手や夜行性ということもあって、多くの失格者を出した。元々運動も苦手そうだった。30匹中1匹だけが高跳びに成功した。
そしてシンプル系スライム達も順番に飛んで行く。トンガリの友達であるガボとオニブリは高跳びに成功したが、シーボはここで失敗してしまった。一回しかチャレンジできないのが、この試練の厳しいところだった。
そしてついにトンガリの番が来た。
「う~~~~と、跳べるかな~~」
弱気になるトンガリ。
「大丈夫、最初トンガリと出会ったとき、あなたは1メートルくらいの高さもある障害物に体当たりしてた」
スワンは初めてトンガリと出会って、ロードに体当たりしてきたトンガリを思い出す。
「オレが1メートルも?」
「うん。だから自信を持って……」
スワンが応援する。
「分かった! よーし! 行くぞ!」
トンガリが助走をつける為、高跳びから距離を取り、走り出す。そして高跳びの棒の上を軽々と飛んで行った。
「…………やった!」
マットに着地したトンガリが小さく喜ぶ。
「ほらね、跳べたでしょ、私の言った通りに――」
「――声がしたんだ。心の中でお前は跳べるって声がしたんだ」
「……声?」
「アハハ、良かった、跳べたーー」
トンガリは第2試練をクリアした。
この時、
(たまにトンガリの言う声ってなんなんだろう)
スワンは考え込んだ。
それからシンプル系が跳んで、30匹クリア。ネイチャー系が15匹クリア。スイーツ系が5匹クリア。フルーツ系が12匹クリアした。
高跳びをクリアできたスライムは合計で223匹だった。
クリアした参加者たちには観客たちから熱いエールを送られていた。
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