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第八章 スライム達の暮らす可愛らしい異世界
第389話 スワンを看病しよう
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ハズレはドノミさんの案内の元、スワンの病気を和らげるためのヒエタイヨ草を、ドルフィーナに乗って取りに行った。
「うう……くぅ……」
スワンが呻きながら倒れる。
「スワン!」
ロードが名を呼ぶ。
「大丈夫かーー」
トンガリが訊く。
「う……う……うう……」
スワンは身体を抱え横になる。
「さっきより悪くなってねーか?」
グラスが表情を覗き込んで言う。
「たぶんな。スワン今日は寝ていろ」
「うう……うあ、あああ!」
スワンが苦しそうな声を上げる。
「スワン何の心配もいらない! ずっとついてるから!」
ロードが安心させようとする。
「頑張れーースワーン」
トンガリも応援している。
「……………………」
グラスがキョロキョロと辺りを見渡す。
「グラス!」
ロードがどこかへ行こうとするグラスを呼び止める。
「ちょっと待ってろ」
そういってグラスは森の奥へと入って行った。
「――う!」
痛みに苦しむスワン。
「ス、スワーン、が、頑張れーよくわかんないけど薬が来れば治るんだよな?」
トンガリが心配そうに訊く。
「ああ、もちろんだ。治るさ」
ロードが確信を持って言う。
「うう、ロード……ロード」
スワンが苦しみながらも手を差し向ける。
「なんだ? オレはここだぞ」
「ごめんね」
「え」
「うう、足、引っ張って、ごめん」
「そんなこと思ってない……お前が魔物の気で苦しんでるんだ。オレたちが傍に居なくてどうする……いいんだ一人にならなくて、一緒に戦おう。魔王祭にもし間に合わなかったらまた考えよう。今はまず休んで身体を治そう」
ロードが励ます。
「…………うん」
苦しみながらも頷くスワン。
「う、うう、う……う」
「スワン頑張れ~~、頑張ればレベルアップだ……」
「うう、ぐう……」
(スワン)
ロードは自分も何かできないか考えた。そして――
「よしトンガリ、落ち葉を集めよう」
ロードは立ち上がった。
「えっいいよ」
▼ ▼ ▼
落ち葉を集めたロードとトンガリ、それをベットの形にしてスワンを寝かせた。
「うう」
「少しは寝やすくなっただろ……?」
ロードが訊いてみるが答えはない。
「ねぇオレ、レベルアップした?」
トンガリが訊いてくる。
「ああ、したさ」
ロードが答える。
その時ザッザッと後ろから雑草を踏む音が聞こえて来た。その足音の正体はグラスのものだった。
「グラスどこに行ってたんだ?」
「向こうで休めそうな町を見つけたが必要なかったか? 空き家がいくつかあったが……」
グラスが親指で後ろを差す。
「いや、外で寝るよりそっちの方がいい。だが……」
ロードは荷船とハズレたちの消えて行った方向を見る。
「荷船はオレが見てる。あいつらもオレがここで待って連れて行ってやる」
グラスが提案する。
「分かった…………スワン、移動するが大丈夫か?」
ロードがスワンに訊いてみる。
「べ、別にここでもいいよ?」
「きっとここよりもっといいところだ……治りが速くなる」
「わかった」
スワンは了承する。
「じゃ行ってくる。ありがとうグラス」
スワンをお姫様抱っこで抱えるロード。
「オ、オレが先頭を行って安全を確認するぞーー」
トンガリが前を行く。
移動するロードたちを見て、グラスは気を背に座り込む。
その時、異形なスライム達が森の茂みの奥から見ていた。
◆ ◆ ◆ ◆
空き家の多い町。
ロードたちは空き家の中を見て、何者もいないことを確認する。
逆に不気味に思えるほどのゴーストタウンだったが、今はそれに救われた。
スワンが休めそうなベッド付きの空き家を見つけた。
「はぁ……はぁ……」
スワンがベッドの中で休む。
ロードの方はオレンジ色の火起こし石をカッカッと打ち付けて暖炉に火を灯そうとしていた。
何度かカッカッと石と石をぶつけるうちに藁に火花が落ちて火種が出来る。
「すっげーーどうやってつけたの?」
トンガリが訊いてくる。
「火起こし石だ。ここまで使えるようになるまで、ハズレにやり方を教えてもらった」
「キレーな石だなー、どうなってんだろ」
トンガリが感心する。
▼ ▼ ▼
日も暮れる頃。
パタパタと大きな葉っぱで横になるスワンを仰ぐロードとトンガリ。
「フフフ、なんか、お姫様になったみたい」
スワンが笑った。
「お姫様でもいいが、しっかり寝て休んでくれ」
仰ぎながら言うロード。
「はーーーーい」
スワンは山場を越したみたいだった。
「ロード他に何が出来るかなーー?」
トンガリが訊いてくる。
「うーーん……そうだ! 水が欲しいな。スワンは水が好きだし元気になる」
ロードが言う。
「水? どこにある?」
「オレが探して来る。トンガリは待っててくれ」
「待ってる間、何してればいい?」
「スワンの横でじっとしてるだけでいい」
「そしたらレベルアップできる?」
「ん? ああ、出来る。何があってもスワンから離れず守り切るんだ。じっとしているとはそういうことだ」
「わかった! スワン守るよ! じっとしてレベルアップする!」
「頼んだぞトンガリ。スワンすぐに戻って来るからな」
「うん……」
スワンの返事を聞いたロードは、水をくんでくる大きなつぼを持って、空き家から出て行った。
川か湖を探しにタタタッと走り出していく。
そして、別の空き家の陰から異形なスライム達が、スワンのいる空き家を見ていた。
「うう……くぅ……」
スワンが呻きながら倒れる。
「スワン!」
ロードが名を呼ぶ。
「大丈夫かーー」
トンガリが訊く。
「う……う……うう……」
スワンは身体を抱え横になる。
「さっきより悪くなってねーか?」
グラスが表情を覗き込んで言う。
「たぶんな。スワン今日は寝ていろ」
「うう……うあ、あああ!」
スワンが苦しそうな声を上げる。
「スワン何の心配もいらない! ずっとついてるから!」
ロードが安心させようとする。
「頑張れーースワーン」
トンガリも応援している。
「……………………」
グラスがキョロキョロと辺りを見渡す。
「グラス!」
ロードがどこかへ行こうとするグラスを呼び止める。
「ちょっと待ってろ」
そういってグラスは森の奥へと入って行った。
「――う!」
痛みに苦しむスワン。
「ス、スワーン、が、頑張れーよくわかんないけど薬が来れば治るんだよな?」
トンガリが心配そうに訊く。
「ああ、もちろんだ。治るさ」
ロードが確信を持って言う。
「うう、ロード……ロード」
スワンが苦しみながらも手を差し向ける。
「なんだ? オレはここだぞ」
「ごめんね」
「え」
「うう、足、引っ張って、ごめん」
「そんなこと思ってない……お前が魔物の気で苦しんでるんだ。オレたちが傍に居なくてどうする……いいんだ一人にならなくて、一緒に戦おう。魔王祭にもし間に合わなかったらまた考えよう。今はまず休んで身体を治そう」
ロードが励ます。
「…………うん」
苦しみながらも頷くスワン。
「う、うう、う……う」
「スワン頑張れ~~、頑張ればレベルアップだ……」
「うう、ぐう……」
(スワン)
ロードは自分も何かできないか考えた。そして――
「よしトンガリ、落ち葉を集めよう」
ロードは立ち上がった。
「えっいいよ」
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落ち葉を集めたロードとトンガリ、それをベットの形にしてスワンを寝かせた。
「うう」
「少しは寝やすくなっただろ……?」
ロードが訊いてみるが答えはない。
「ねぇオレ、レベルアップした?」
トンガリが訊いてくる。
「ああ、したさ」
ロードが答える。
その時ザッザッと後ろから雑草を踏む音が聞こえて来た。その足音の正体はグラスのものだった。
「グラスどこに行ってたんだ?」
「向こうで休めそうな町を見つけたが必要なかったか? 空き家がいくつかあったが……」
グラスが親指で後ろを差す。
「いや、外で寝るよりそっちの方がいい。だが……」
ロードは荷船とハズレたちの消えて行った方向を見る。
「荷船はオレが見てる。あいつらもオレがここで待って連れて行ってやる」
グラスが提案する。
「分かった…………スワン、移動するが大丈夫か?」
ロードがスワンに訊いてみる。
「べ、別にここでもいいよ?」
「きっとここよりもっといいところだ……治りが速くなる」
「わかった」
スワンは了承する。
「じゃ行ってくる。ありがとうグラス」
スワンをお姫様抱っこで抱えるロード。
「オ、オレが先頭を行って安全を確認するぞーー」
トンガリが前を行く。
移動するロードたちを見て、グラスは気を背に座り込む。
その時、異形なスライム達が森の茂みの奥から見ていた。
◆ ◆ ◆ ◆
空き家の多い町。
ロードたちは空き家の中を見て、何者もいないことを確認する。
逆に不気味に思えるほどのゴーストタウンだったが、今はそれに救われた。
スワンが休めそうなベッド付きの空き家を見つけた。
「はぁ……はぁ……」
スワンがベッドの中で休む。
ロードの方はオレンジ色の火起こし石をカッカッと打ち付けて暖炉に火を灯そうとしていた。
何度かカッカッと石と石をぶつけるうちに藁に火花が落ちて火種が出来る。
「すっげーーどうやってつけたの?」
トンガリが訊いてくる。
「火起こし石だ。ここまで使えるようになるまで、ハズレにやり方を教えてもらった」
「キレーな石だなー、どうなってんだろ」
トンガリが感心する。
▼ ▼ ▼
日も暮れる頃。
パタパタと大きな葉っぱで横になるスワンを仰ぐロードとトンガリ。
「フフフ、なんか、お姫様になったみたい」
スワンが笑った。
「お姫様でもいいが、しっかり寝て休んでくれ」
仰ぎながら言うロード。
「はーーーーい」
スワンは山場を越したみたいだった。
「ロード他に何が出来るかなーー?」
トンガリが訊いてくる。
「うーーん……そうだ! 水が欲しいな。スワンは水が好きだし元気になる」
ロードが言う。
「水? どこにある?」
「オレが探して来る。トンガリは待っててくれ」
「待ってる間、何してればいい?」
「スワンの横でじっとしてるだけでいい」
「そしたらレベルアップできる?」
「ん? ああ、出来る。何があってもスワンから離れず守り切るんだ。じっとしているとはそういうことだ」
「わかった! スワン守るよ! じっとしてレベルアップする!」
「頼んだぞトンガリ。スワンすぐに戻って来るからな」
「うん……」
スワンの返事を聞いたロードは、水をくんでくる大きなつぼを持って、空き家から出て行った。
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