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第八章 スライム達の暮らす可愛らしい異世界

第382話 メタルバウンドボール

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 ロードは密猟団の一人の顔面にとび膝蹴りを打ち込んだ。

「あーーくそーーいてーーな」

 顔面を抑える黒い男。

「だろ―な……ドノミさんはその何倍も痛いんだぞ」

 拳を構えるロード。

「粋がるなよガキ、あーーさらい時を誤った……こんなに集まってきやがって、まぁいい、誰かに案内させりゃ俺たちの勝ちだ。テメーは殺すがな」

 黒い男が右腕を振り被る。そしてブンと腕を振り、玉のようなものを投げた。

(玉……?)

 ロードが向かってくる玉を受け止めようとする。そしてバシンと受け止める。だが、

「うっ!」

 ロードが呻く。

「えっ?」

「――これは?」

 ロードが手にした玉を落とした。そしてダンダンと跳ねて持ち主である黒い男の元に戻っていく。

「いてーだろ……こいつはただのボールじゃねーメタルバウンドがフルコーティングされている鉄の玉なんだよ。重くはねーが硬さは10倍以上……そんなもんが投げられりゃ例え掴んだって手にダメージが入る。オレの様にスポンジグローブでもねーとまともに受け止められねーよ」

「何か知らないが妙なものを使うな~~」

 ロードが呟く。

「さぁ一方的に決めてやる!」

 ダッと走り出しボールをj投げる黒い男。

(避けてしまえば何の問題もない)

 ロードは顔面に飛んで来るボールを避けた。そして走りだし拳を握って振り被る――だが、

「ロード!! 後ろ!!」

「――――!!」

 ロードの背中にメタルバウンドのボールが直撃した。

「バッカやろーーが!!」

 黒い男が隙を作ったロードを殴った。

 この時、
(ボールは戻ってくるように投げている。オレの前に来ても……跳ね返ったボールにやられるんだよ)
 黒い男は勝利を確信した。だが――
(――――!! 倒れない……)

 ロードは顔を殴られたが、後ろに引くことどころか立ち位置すら変わらないよう耐えた。

 キッと黒い男を見る。そして右手拳を下から敵の顎に打ち込んでアッパーを決めた。

「おあ――」

 そして、タンと跳ぶ。宙に浮いた黒い男はロードの追い打ちである腹部をドッと受ける。

 ダアン!! と地面に落ちる黒い男。

「があああ!!」

 口から吐血する黒い男。倒れた黒い男の腕を掴む。

「オレのこの何十倍のもの痛みをドノミさんは受けたのか……」

 ロードは倒れた黒い男を無理やり起こす。

「うぐっ……くっ、離せテメ……」

「離さない。だが、ここで寝ろ……次目が覚めたとき、スライムの代わりに牢屋か何かに入れておく」

 スッと手刀を作るロード。首に打ち当てて気絶させるつもりのようだった。

 その時、空から3人の黒い男と同じ服装をした者たちが現れた。

 タタタンと着地する。

「――新手!?」

 スワンが驚いた。

「そうだまだ……仲間がいるって言ってた」

 ドノミが弱々しく言う。

「………………」

 ロードが3人の顔を見る。

「メットキャプテン、状況は?」

 ドレッドヘアーの黒い肌をした男が訊いていた。

「見りゃわかるだろ……捕まりかけてるんだ」

 メットと呼ばれた男が言う。

「なら敵だね殺ろう」

 目をパッチリ開いた坊主頭の黒い男が言う。

「油断しないで……メットを捕まえるような奴みたい」

 オカマ口調の黒い男が言う。

「あの女たちは?」

 ドレッドヘアーの黒い男が言う。

「一人は残せ案内役が必要だ」

 メットが言う。

「ウイ」

 タタタッとドレッドヘアーの男がスワンたちの方に走っていく。

「来た! 後ろに下がってドノミさん!」

 スワンが言う。

「させるか!」

 ロードが地面に落ちてた鉄のボールを蹴った。

「おぐうっ!!」

 ドレッドヘアーの黒い男の背中に当たる。そしてドレッドヘアー男は体勢を崩す。

「メタルバウンドボールを蹴りやがったね」

 坊主頭の黒い男が言う。

「どういう足してんだ小僧」

 体勢を立て直したメットがロードの首を絞める。

「――――!!」

「ロード!!」

 トンガリが叫ぶ。

「スライム?」

 オカマの黒い男が言う。

「ほっとけ!」

 メットが言う。

「まずはこいつだね」

 メタルバウンドボールを投げる坊主頭の黒い男。

「ぐおっ!!」

 狙われたロードは身体を回転させて、首を絞めていたメットの背中に鉄のボールを食らわせた。

「あっ!」

「フン! これしき! おおおおおおおおお!!」

 背中に当たったボールを掴んで座り込んだロードに振り被る。

 ロードは急いでその場から離れる。すると鉄のボールが地面を割る。そしてロードは3人の黒い男に囲まれる。

「こいつからやるぞ」

 ドレッドヘアーが言う。

「トライアングルフォーメーションで……」

 オカマ口調の黒い男が言う。

「いくねーー」

 坊主頭の黒い男が配置に着く。

 3方向から3つのメタルバウンドボールが迫りくる。ロードはそれを跳んで躱す。

(ボールを3つ、オレを囲むようにパスし合ってぶつける根端か……間合いが広すぎて近づこうとしても……かと言ってボールを取っても手に負担が……)

「ダブル!」

 ドレッドヘアーがもう一つボールを飛ばしてきた。それに合わせて他の二人もボールを増やす。

「ロード!」

 スワンが心配そうに言う。

「倍に」

 ドノミが言う。

 さらなる3つのボールがロードの飛んで回避する手段を防ぐかのように突撃して来る。

 しかしロードは青い剣を引き抜いて地面に突き刺し、柄の上に着地してメタルボールをやり過ごす。そして柄を足場にしてさらに飛ぶ。

「「「――――!!」」」

 3人は驚く。

「避けただと!?」「しびれるじゃない」「おおーー上に~~」

 この時、
「(上なら狙いも付けやすい)やるぞ!!」
 メットがメタルバウンドのボールを投げつける。

 そして他の3人もボールを投げつける。4つのボールが宙にいるロードに襲い掛かる。
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