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第七章 千年以上眠り続ける希望のダンジョンの宝
第319話 グラスを救うという答え
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時刻も深夜帯。
ロードとハズレとスワンは食事を終えて和やかな談義をしていた。
「オハバリはどうしてるだろうか」
ロードがポツリと呟く。
「またすぐに会えるさ。彼もグラスを心配してる、必ずこの戦いにも駆けつけるさ」
「それで……グラスを助けた後……どうする? これだけは結論付けよう」
「このまま枷を外して、逃がしたとしても、また、人に迷惑をかけると思う」
ハズレが訊いてくる。
「二人はグラスのことどう思う? どうしたらいいと思う?」
ロードは質問を質問で返した。
「オレはグラスがオレたちといて何か変わったとは思えない。ハラパから魔物の手を引かせたのも、結局ロードを脅すためのものだったようだし、解放したとしても生き方は変えないだろうな……時間をかけてオハバリに見てもらう方がいいかもしれない」
ハズレは自分の意見をまとめる。
「そうか……オハバリはアイツの唯一の友達だったな……スワンの考えは?」
ロードが訊いてみる。
「グラスをどうすればいいか分からない」
「この異世界に盗賊たちがはびこってる限りグラスみたいな人がこれからも現れると思う」
「だからってオハバリに面倒を見させても」
「オハバリだってあのツルバシセン団のように奴隷だった」
「同じように盗賊になるかもしれない」
「他の盗賊に任せてもそう」
「エミさんのところに置いたって、子供たちの影響に悪い」
「ましてや一人にもさせられない」
スワンはこう語った。
「だから……どうすればいいか分からないか……」
ハズレが言う。
「だけど、もうグラスを拘束してはおけない……オレは一度……アイツの命を危険にさらした……面倒を見られなかったんだ」
ロードは顔を俯かせる。
「だから……そんな卑屈にならない……最初に言ったよ。何か起きても3人の責任だって、皆で背負うって……私がもっとグラスを怖がらずにいれば……そんなことにはならなかったのかもしれない。だからその失敗はこの話に関係ないよ」
スワンがロードのすぐそばに座る。
「スワン」
「それに、あいつがうろうろしてたからハラパはそんなに被害が出なかった」
「グラスもまだ生きてる。何も失敗していない。だからまだグラスは様子見でいいと思う」
「それにロードは間違ってない。ここで諦めて欲しくない」
「あの集会で盗賊たちなんか私たちを見ていなかった」
「本当に伝えたかった魔王の怖さや倒すために協力する大切さなんか、ろくに知ろうともしなかった」
「誰も彼もがそう、自分の今までの生き方が正しいって疑ってない」
「奪い合う世界、それが子の世界だって、皆が言って、皆がそれで納得して耳を貸そうとしない」
「あの大人たちは、きっと今さら変わろうとしない」
「けど、グラスは違うと思う」
「もちろん盗みも襲い掛かって来もした」
「私たちを敵視して快く思っていなかった、盗賊みたいな人だった」
「それでも……」
「私たちの言ってることをずっと聞いて見続けてくれた」
「きっといつか変わってくれる。ロードが言ったように……」
「グラスならロードの言うことちゃんと聞いてくれると私は思う」
それがスワンの出した答えだった。
「………………」
ロードは夜空を見上げる。
「スワンも変わったんじゃないか?」
ハズレが水の入ったコップを渡す。
「まぁそれなりに……」
コップを受け取り水を飲むスワン。
「それでロード彼をどう思いどうしたい? 最後に聞かせてくれ、キミの答えを……」
ハズレが改まって訊く。
ロードは笑っていた。
「グラスは人の命を大切にする奴だ。どんなことがあっても救いたい」
ロードは答えを出した。
「ククククク」「フフフフフ」
二人は笑いをこらえていた。
「おかしいか?」
ロードは二人の様子を見て訊いた。
「いや、答えが期待通り過ぎてさ」
ハズレが笑っていた。
「ロードってばいつもと一緒」
スワンが笑っていた。
「まぁキミはそれでいい」
ハズレが手を前に出す。
「うん。私たちで救おう。に訂正すればそれでいい」
スワンがハズレの手の上に自分の手を重ねる。
「ああ、救おう3人でグラスを……」
ロードがスワンの手の上に自分の手を重ねる。
それぞれ思うことはあったが目的は一つになった。
ロードとハズレとスワンは食事を終えて和やかな談義をしていた。
「オハバリはどうしてるだろうか」
ロードがポツリと呟く。
「またすぐに会えるさ。彼もグラスを心配してる、必ずこの戦いにも駆けつけるさ」
「それで……グラスを助けた後……どうする? これだけは結論付けよう」
「このまま枷を外して、逃がしたとしても、また、人に迷惑をかけると思う」
ハズレが訊いてくる。
「二人はグラスのことどう思う? どうしたらいいと思う?」
ロードは質問を質問で返した。
「オレはグラスがオレたちといて何か変わったとは思えない。ハラパから魔物の手を引かせたのも、結局ロードを脅すためのものだったようだし、解放したとしても生き方は変えないだろうな……時間をかけてオハバリに見てもらう方がいいかもしれない」
ハズレは自分の意見をまとめる。
「そうか……オハバリはアイツの唯一の友達だったな……スワンの考えは?」
ロードが訊いてみる。
「グラスをどうすればいいか分からない」
「この異世界に盗賊たちがはびこってる限りグラスみたいな人がこれからも現れると思う」
「だからってオハバリに面倒を見させても」
「オハバリだってあのツルバシセン団のように奴隷だった」
「同じように盗賊になるかもしれない」
「他の盗賊に任せてもそう」
「エミさんのところに置いたって、子供たちの影響に悪い」
「ましてや一人にもさせられない」
スワンはこう語った。
「だから……どうすればいいか分からないか……」
ハズレが言う。
「だけど、もうグラスを拘束してはおけない……オレは一度……アイツの命を危険にさらした……面倒を見られなかったんだ」
ロードは顔を俯かせる。
「だから……そんな卑屈にならない……最初に言ったよ。何か起きても3人の責任だって、皆で背負うって……私がもっとグラスを怖がらずにいれば……そんなことにはならなかったのかもしれない。だからその失敗はこの話に関係ないよ」
スワンがロードのすぐそばに座る。
「スワン」
「それに、あいつがうろうろしてたからハラパはそんなに被害が出なかった」
「グラスもまだ生きてる。何も失敗していない。だからまだグラスは様子見でいいと思う」
「それにロードは間違ってない。ここで諦めて欲しくない」
「あの集会で盗賊たちなんか私たちを見ていなかった」
「本当に伝えたかった魔王の怖さや倒すために協力する大切さなんか、ろくに知ろうともしなかった」
「誰も彼もがそう、自分の今までの生き方が正しいって疑ってない」
「奪い合う世界、それが子の世界だって、皆が言って、皆がそれで納得して耳を貸そうとしない」
「あの大人たちは、きっと今さら変わろうとしない」
「けど、グラスは違うと思う」
「もちろん盗みも襲い掛かって来もした」
「私たちを敵視して快く思っていなかった、盗賊みたいな人だった」
「それでも……」
「私たちの言ってることをずっと聞いて見続けてくれた」
「きっといつか変わってくれる。ロードが言ったように……」
「グラスならロードの言うことちゃんと聞いてくれると私は思う」
それがスワンの出した答えだった。
「………………」
ロードは夜空を見上げる。
「スワンも変わったんじゃないか?」
ハズレが水の入ったコップを渡す。
「まぁそれなりに……」
コップを受け取り水を飲むスワン。
「それでロード彼をどう思いどうしたい? 最後に聞かせてくれ、キミの答えを……」
ハズレが改まって訊く。
ロードは笑っていた。
「グラスは人の命を大切にする奴だ。どんなことがあっても救いたい」
ロードは答えを出した。
「ククククク」「フフフフフ」
二人は笑いをこらえていた。
「おかしいか?」
ロードは二人の様子を見て訊いた。
「いや、答えが期待通り過ぎてさ」
ハズレが笑っていた。
「ロードってばいつもと一緒」
スワンが笑っていた。
「まぁキミはそれでいい」
ハズレが手を前に出す。
「うん。私たちで救おう。に訂正すればそれでいい」
スワンがハズレの手の上に自分の手を重ねる。
「ああ、救おう3人でグラスを……」
ロードがスワンの手の上に自分の手を重ねる。
それぞれ思うことはあったが目的は一つになった。
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