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第七章 千年以上眠り続ける希望のダンジョンの宝
第308話 革命への旗印
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ハラパの街。
アンダートピアから地上に出たロードたちが異変に気付く。
ワーーーー!! キャーーーー!! という悲鳴が聞こえてくるのだ。
ロードはすぐさま家屋の扉を開ける。すると何十人もの悲鳴が聞こえてきた。
(何だ? 何の騒ぎだ?)
「悲鳴だ! あちこちから人の悲鳴が聞こえるぞ!」
オハバリが報告する。
「あ、アレ見て!!」
スワンがある物体を指差す。
それは天翔木馬と呼ばれるもので、ロッカーライいわく名前はトロイアという超大型の飛行する馬の形をした木材の魔物だった。
「空駆ける木馬、魔王フリフライか……」
ロードが観察する。そして知る何体かの魔物がトロイアから出てきて空から降りてくるのを……
「ギィアーーーー!!」
そして目の前では街の住人が魔物に襲われかけていた。すかさずロードは魔物を斬って霧散化させた。
「わ、わあーーーーーー!!」
住人の方はロードに例も言わず走り去っていった。
戦闘態勢に入ったロード。しかし、精霊の術である水の道しるべはグラスのところまで移動していく。
「皆魔王に気を付けろ!! オレはグラスの元へ先に行く!!」
ロードは走りだしていた。
「分かったお願い!!」
スワンが後ろから激励を飛ばす。
ダッとジャンプしたロードは建物の屋上沿いを走りながら移動していく。
空は天翔木馬から出てきた魔物たちでいっぱいだった。魔物たちが空を飛んでいる。獣型だろうが、魚型だろうが、ガイコツ型だろうが空を飛んでいる。
「あんなにたくさんの魔物が人をさらっている」
スワンは目を凝らしよく見ると魔物たちが人間を運んでいくところが見えた。
「全てを相手にして助け出すのはムリだ」
ハズレは冷静に状況を整理する。
「――――!!」
その時、オハバリは向かいの建物の隙間から見えた。独裁の王ゲロベルデを見て顔色を変える。
「――ゲロベルデ!」
気がついたら身体が勝手に動いていたオハバリだった。
「ギィヤーーーー!!」
魔物たちがスワンたち目がけて襲い掛かって来た。
「来た!!」
ハズレはすぐさまオイルを塗った炎の剣で応戦し、スワンは必死に急いでかき集めた水で腕を作り、魔物に攻撃していく。
「オハバリ! オレたちから離れないでくれ!」
ハズレが言う。
「私たちこれでも結構強いから!」
スワンも言う。
「――!? オハバリ!?」
ハズレは呼びかけに返事がないので、振り返ってみるとそこにオハバリの姿はなかった。
「――えっ!? 居ない!?」
スワンも後ろを振り返る。
「何だ貴様らはただの人間ではないな……」
その時、不意に声を掛けられた。相手をよく見ると木のお化けのような魔物だった。枝らしき鼻が飛び出て口が大きく上下して喋っていた。
「レアだな。よしアレを捕えよ。生かしてな」
部下の魔物たちに命令する木の魔物。その腕は四本で、中身がぽっかり空いた木だった。
「ハッ!! ボクネンジン様!」
部下の魔物たちがボクネンジンの後ろになん十体もいた。
「オハバリはきっとアンダートピアに帰ったんだ!! 構えろスワン!!」
ハズレが無理やり解釈する。
「だと……いいんだけど……」
スワンが両手を構えて水の玉を両手に作り出していた。
何十体もの空飛ぶ魔物が二人を襲っていく。
◆ ◆ ◆ ◆
ハラパ・とある民家の中。
「ハァ……ハァ……」
息を切らせるゲロベルデ走っていたのに疲れたのか、壁を背に座って一休みをしていた。その時――
民家のドアを蹴り飛ばした者がいた。その者は民家の中へと入って行く。正体はオハバリだった。
「おわっ!! う……ぐ……何だ貴様は余を誰だと思っている!!」
こんな時でも態度は変わらないゲロベルデ。
「フォックスグリードの四大独裁王の一人ゲロベルデだろ……?」
「分かっているならひざまずけ!! 虫がぁ!!」
叫び散らすゲロベルデ。
「虫……そうやってお前らは何人使い捨てた。オレの親もグラスの親も、優しかった爺さんも、色々教えてくれたあのアニキも、何人も使い捨てやがって……」
「この奴隷ごときが!! 余の言うことを聞け!! お前も捨ててやるぞ!! お前の命は誰が手にしていると思ってるんだ!!」
このセリフを聞いたオハバリは突撃した。短剣を持って、ゲロベルデの腹に突き刺した。
「――!!」
「オレの命はオレのものだ。馬鹿野郎があの世で皆にボコボコにされて来い」
オハバリはゲロベルデの返り血を浴びる。ゲロベルデは息を引き取り倒れ込む。
「お前の首を旗印にこの時代を変えてやる。オレは革命家オハバリだ。世界の奴隷はオレが解放する」
はぁ……はぁ……と息を漏らし、初めて人を殺めたオハバリだった。
▼ ▼ ▼
タン!! タン!! タン!! と次から次へと建物から建物へと移動するロード。
「待て人間!! お前もトロイアの燃料だぁ!!」
並行して飛び並ぶ鳥人のような魔物が現れた。
「邪魔だ!!」
二本の剣を振り、
「おああああああ!!」
魔物を霧散化させた。
(しまった今の攻撃でスワンの水の追跡を見失った)
とある民家の上で水の行く道を探すロード。
そこから改めて聞く街の悲鳴、ロード一人ではどうすることも出来なかった。
(グラス、お前には聞きたいことや、言いたいこと、返すものがあったが今はやはり――)
悲鳴の聞こえる町へ行こうとした瞬間だった。
「よくここがわかったなぁ」
聞き慣れた声が聞こえてくる。
「――――!!」
「また、テメーらのおかしな術か? 気に入らねー」
そこにはグラスの姿があった。建物の上で対峙するロードとグラスだった。
アンダートピアから地上に出たロードたちが異変に気付く。
ワーーーー!! キャーーーー!! という悲鳴が聞こえてくるのだ。
ロードはすぐさま家屋の扉を開ける。すると何十人もの悲鳴が聞こえてきた。
(何だ? 何の騒ぎだ?)
「悲鳴だ! あちこちから人の悲鳴が聞こえるぞ!」
オハバリが報告する。
「あ、アレ見て!!」
スワンがある物体を指差す。
それは天翔木馬と呼ばれるもので、ロッカーライいわく名前はトロイアという超大型の飛行する馬の形をした木材の魔物だった。
「空駆ける木馬、魔王フリフライか……」
ロードが観察する。そして知る何体かの魔物がトロイアから出てきて空から降りてくるのを……
「ギィアーーーー!!」
そして目の前では街の住人が魔物に襲われかけていた。すかさずロードは魔物を斬って霧散化させた。
「わ、わあーーーーーー!!」
住人の方はロードに例も言わず走り去っていった。
戦闘態勢に入ったロード。しかし、精霊の術である水の道しるべはグラスのところまで移動していく。
「皆魔王に気を付けろ!! オレはグラスの元へ先に行く!!」
ロードは走りだしていた。
「分かったお願い!!」
スワンが後ろから激励を飛ばす。
ダッとジャンプしたロードは建物の屋上沿いを走りながら移動していく。
空は天翔木馬から出てきた魔物たちでいっぱいだった。魔物たちが空を飛んでいる。獣型だろうが、魚型だろうが、ガイコツ型だろうが空を飛んでいる。
「あんなにたくさんの魔物が人をさらっている」
スワンは目を凝らしよく見ると魔物たちが人間を運んでいくところが見えた。
「全てを相手にして助け出すのはムリだ」
ハズレは冷静に状況を整理する。
「――――!!」
その時、オハバリは向かいの建物の隙間から見えた。独裁の王ゲロベルデを見て顔色を変える。
「――ゲロベルデ!」
気がついたら身体が勝手に動いていたオハバリだった。
「ギィヤーーーー!!」
魔物たちがスワンたち目がけて襲い掛かって来た。
「来た!!」
ハズレはすぐさまオイルを塗った炎の剣で応戦し、スワンは必死に急いでかき集めた水で腕を作り、魔物に攻撃していく。
「オハバリ! オレたちから離れないでくれ!」
ハズレが言う。
「私たちこれでも結構強いから!」
スワンも言う。
「――!? オハバリ!?」
ハズレは呼びかけに返事がないので、振り返ってみるとそこにオハバリの姿はなかった。
「――えっ!? 居ない!?」
スワンも後ろを振り返る。
「何だ貴様らはただの人間ではないな……」
その時、不意に声を掛けられた。相手をよく見ると木のお化けのような魔物だった。枝らしき鼻が飛び出て口が大きく上下して喋っていた。
「レアだな。よしアレを捕えよ。生かしてな」
部下の魔物たちに命令する木の魔物。その腕は四本で、中身がぽっかり空いた木だった。
「ハッ!! ボクネンジン様!」
部下の魔物たちがボクネンジンの後ろになん十体もいた。
「オハバリはきっとアンダートピアに帰ったんだ!! 構えろスワン!!」
ハズレが無理やり解釈する。
「だと……いいんだけど……」
スワンが両手を構えて水の玉を両手に作り出していた。
何十体もの空飛ぶ魔物が二人を襲っていく。
◆ ◆ ◆ ◆
ハラパ・とある民家の中。
「ハァ……ハァ……」
息を切らせるゲロベルデ走っていたのに疲れたのか、壁を背に座って一休みをしていた。その時――
民家のドアを蹴り飛ばした者がいた。その者は民家の中へと入って行く。正体はオハバリだった。
「おわっ!! う……ぐ……何だ貴様は余を誰だと思っている!!」
こんな時でも態度は変わらないゲロベルデ。
「フォックスグリードの四大独裁王の一人ゲロベルデだろ……?」
「分かっているならひざまずけ!! 虫がぁ!!」
叫び散らすゲロベルデ。
「虫……そうやってお前らは何人使い捨てた。オレの親もグラスの親も、優しかった爺さんも、色々教えてくれたあのアニキも、何人も使い捨てやがって……」
「この奴隷ごときが!! 余の言うことを聞け!! お前も捨ててやるぞ!! お前の命は誰が手にしていると思ってるんだ!!」
このセリフを聞いたオハバリは突撃した。短剣を持って、ゲロベルデの腹に突き刺した。
「――!!」
「オレの命はオレのものだ。馬鹿野郎があの世で皆にボコボコにされて来い」
オハバリはゲロベルデの返り血を浴びる。ゲロベルデは息を引き取り倒れ込む。
「お前の首を旗印にこの時代を変えてやる。オレは革命家オハバリだ。世界の奴隷はオレが解放する」
はぁ……はぁ……と息を漏らし、初めて人を殺めたオハバリだった。
▼ ▼ ▼
タン!! タン!! タン!! と次から次へと建物から建物へと移動するロード。
「待て人間!! お前もトロイアの燃料だぁ!!」
並行して飛び並ぶ鳥人のような魔物が現れた。
「邪魔だ!!」
二本の剣を振り、
「おああああああ!!」
魔物を霧散化させた。
(しまった今の攻撃でスワンの水の追跡を見失った)
とある民家の上で水の行く道を探すロード。
そこから改めて聞く街の悲鳴、ロード一人ではどうすることも出来なかった。
(グラス、お前には聞きたいことや、言いたいこと、返すものがあったが今はやはり――)
悲鳴の聞こえる町へ行こうとした瞬間だった。
「よくここがわかったなぁ」
聞き慣れた声が聞こえてくる。
「――――!!」
「また、テメーらのおかしな術か? 気に入らねー」
そこにはグラスの姿があった。建物の上で対峙するロードとグラスだった。
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