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第六章 盗み、奪い、取る、緑色の襲撃者

第299話 見せてやる一致団結の力

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 ロードに向かってロッカーライがロックスター状態で突っ込んできた。

 ロードは左に避けて躱し、ハズレがロープの輪をロッカーライに引っ掛けて通り過ぎる。

 ダダダダダダダダッと走り抜けるロッカーライ。ハズレは何とかロックスターという攻撃を躱した。

「華麗に作戦を果たしたな。ハズレ」

 ロードがハズレの姿を見て呟く。

「どうした!? 熱き命の咆哮を見せてみろ!!」

 ガバッとたてがみを開くロッカーライ。

「引けぇ!!」

 ハズレが叫ぶ。

「――――!!」

 ビン!! ビン!! ビン!! と三つのロープがロッカーライの首から伸びる。ツルバシセン団がロープを崖の上から引っ張っているのだ。

「ツルバシセン団!! 何としても踏ん張れ!!」

 フセルが気合いを入れる。

「日頃の力自慢を発揮しろ!!」

 オテダシも奮い立たせる。

「がぁ……あ……」

 ロッカーライは先ほどハズレが通した三つのロープの輪に首を絞められていた。

「今だロード!! これで首を絞めている間は咆哮できない!! それに動きを封じた今なら攻撃を撃ち込める!!」

「分かっている!!」

 ロードは赤い剣を高らかに上げて生命力を一点集中させていく。

 その時バシッバシッとロードの手が握られていく。

「確実に仕留めよう。私の力も使って――」

「オレもだロード」

「分かった二人共やろう……」

 生命力を伝わせていく中。ロッカーライは動きを見せた。

「こんなもので我が止められるものか!!」

 ロッカーライは前足を上げて飛び出そうとする。

「「「――――!?」」」

 ここで突っ込まれては作戦は台無しだと三人は思った。だが――

 螺旋拳と剱山刀がバッカ―ンッとロッカーライの両前足をぶっ壊した。

「ぬおおおお~~~~」

 前足を失ったロッカーライは前のめりに倒れる。

「まさか、アンタが手を貸してくれるとは思ってなかったぜ」

 リョウが剱山刀を肩に担いで言う。

「テメーが勝手にオレの獲物を横取りしてるだけじゃねーか!! ドリドリム団!! この死にぞこないの獅子を止めろ!!」

『『『おおおおおおおおおおおおおおおお!!』』』

 テンロウの一言で動き出すドリドリム団。

「ガキ共に後れを取るなぁ!!」

 ワーが叫ぶ。

「起きろ!! テメーら!!」

 ダイシンが厳つい声を放つ。

「さっさと動け!! 頭にぶっ殺されるぞ!!」

 ハイエが命令する。

 ロッカーライはドリドリム団によって両サイドからもロープによって引っ張られていった。

「おのれーーはかったな、人間共がーーロックオンを使わせたのはワザとか……」

 顔を上げるロッカーライ。そして目の前に立つロードたちを見る。

 この時、
(――!! なんだアレは――何をしている。ただならぬ力まずい!!)
 危機感を感じたロッカーライ。

 ダンダンと後ろ足で崖を攻撃し、地響きを鳴らしてロープを引っ張る者たちのバランスを崩そうとする。

『『『――――――!!!?』』』

「崩れろ!! 人間共!! 全員この場で燃え尽きたいか!!」

 ロッカーライは吠える。

「ツルバシセン団腕がちぎれても離すなよ!!」

 団長リョウが叫ぶ。

「ドリドリム団!! 全力を出してねーヤツはオレがぶっ殺す!!」

 テンロウ率いるドリドリム団はロープを引っ張っていた。

 ガオウン!! とロッカーライが咆哮を上げる。

 ロープで引っ張っていた全員がその強引な動きに引きずられる。

「オオオオオオオオオオオ!!」

 ブチブチブチッとロープがちぎれていく。

「良いだろう!! 見せてやろう!! 命の叫びを!!」

 ロッカーライはたてがみをトゲ状にして直立した。

「――――なっ!?」
 
 スワンが驚き、

「不味いロード!?」

 ハズレが急かす。

「エアーズロック!!」

 ロッカーライはトゲのままロードたちに突っ込んでいく。しかし――

「――最初の一撃!!」

 ロードは叫んで、全長20メートルの光の剣を現して、上から下へ振り下ろした。

 ズダンッと音を立ててロッカーライを一刀両断していく。

 両断されたロッカーライは、ロード、ハズレ、スワン、とすれ違い通り過ぎていく。

 そして霧散化して消えていく。

「見えなかったな、魔物一致団結の力を……」

 カァーーと夜が明けた。朝の光がロードたち勝者を照らし出す。

『『『おおおおおおおおおおおおおおお!!』』』

 崖の上の盗賊たちは歓声を起こしていた。

(そうだ! グラス!)

 思い出したロードが岩穴へ向かう。

「オイ、ロード」

 ハズレが追いかける。

「どうかした?」

 スワンも追いかける。

 タタタッと走って岩穴の中を見てみる。

 グラスの姿はなかった。

 確かにそこに降ろしたはずなのに、足に怪我を負って動けなかったのに、

 しーーーーんと洞窟は静かだった。

「どうしたロード?」

「この向こうに何かあるの?」

「グラスがいなくなった……」

 不安になるロード。

「逃げられたのか?」

「でも、拘束具の鍵はロードが持っているのに……」

「何故だグラス」

 ロードは呟いた。
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