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第六章 盗み、奪い、取る、緑色の襲撃者
第294話 混戦としてきた状況
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アリバレー牢屋。
ハズレ、オテダシ、ブン爺さんら、男たちは既に手かせを外し、洞窟の中を走っていた。
「――――!?」
タタタッとハズレたちが走っていると、シーちゃんを頭に乗っけたスワンが見える。
「やっと来たハズレ」
スワンが待っていたかのように言う。どうやらスワンの方の牢屋も開いていて女性たちが逃げる準備を終えていた。
「何だスワン、外に出られたのか? 急いできたんだが……」
「こっちには力持ちのジャブちゃんがいるから鍵を奪うなんて簡単」
「スワンから話は聞いた……急いでここを出よう」
マテヨが見張りから奪ったしんがり用の武器を構えて言う。
「先頭は任せたぞ、マテヨ」
オテダシも武器を拾う。
「それじゃオテダシさん、マテヨさん、この人たちを任せる。オレたちはロードを助けに行く」
「分かった死ぬなよ」
オテダシが言う。
「待って、シーちゃんからロードのことは訊いてるけど、グラスはどこにいる!?」
「彼はいなくなった、しかもドリドリム団に捕まる前にだ」
「えっ!? まさか逃げた!?」
「グラスは後だ。今はロードを早急に助けに行かなくてはいけない」
「うん」
その時――ズズズズンッと地響きが鳴った。
『『『――――!!』』』
ここにいる一同が驚いた。
「ゆ、揺れてる」「地震よ!!」「は、早くここから出よう」「そうだ、崩れるかもしれねー」
ざわめく男女。
「よし全員私について来い遅れるな!!」
マテヨが言い、すぐさま出口に向かって走り出した。
「いいな、間隔開けて走れ!」
オテダシが最後尾について行った。
「急ごう、次はスワンキミの出番だ」
「うん、この地に宿りし清らかな水の精霊たちよ、汝らの同胞として我が声に答えよ、波紋を投じ、望むべきもののありかを探り、我らを流せ、精霊石の剣へと導け」
スワンの用意した石ころ大の精霊石が浮かび上がり、バシャンとまるで水風船のように水の破裂が起こった。
スススーーーーっと水が目的地までの道を線で引いていく。
「行こうハズレ」
スワンが凛々しく言う。
「濡れたんだけどさー」
水の破裂をもろに食らったハズレだった。
「風邪に気を付けて」
それだけ言って二人は水の線を追う。
それを物陰から見ている三人組がいた。
「何だ今のは……珍しいものを見てしまった」
メガネをした老人が言う。
「ああ、しらべたい、しらべたい」
手をソワソワさせている白衣の女性がいた。
「しかし、石碑は目前です。せっかく牢から出られたのに……」
メガネをした男が言う。
「そうだ急げ、石碑が地震で埋もれてしまうやもしれん」
「「――――!?」」
「行くぞ、モト、ヂカラ」
「は、はい、ガシラ先生」
三人組はすぐさま石碑の間へ向かう。
◆ ◆ ◆ ◆
ズズズンと瓦礫が落ちてきたのは、天井を魔物がぶち抜いて来たからだった。
「まさに宝の山、豊富な輝かしい命という名の財宝、そうだこれぞ、命の山!!」
魔物はガオンと吠えた。その姿は全体が岩でできており、獅子の姿をしていた。
魔物を前にざわめくドリドリム団。
ロードとグラスも魔物を見ていた。
「こんな時に魔物まで乱入なんて……」
ロードが身震いする。
「ちっ……」
舌打ちするグラス。
「あらら、天井に大穴だ……やってくれるぜ」
ノロシが笑う。
魔物を見るドリドリム団幹部の面々。
魔物はスゥーーーーっと息を吸い込んで、ガオンと咆哮を上げた。
咆哮だけで瓦礫が飛び散らかり、盗賊団も飛んで行く。
「うああああ」「うわあああああ」「ひぃーーーー」
ロードたちにもビリビリと咆哮の余波が伝わってくる。
「なるほど、我が魂の咆哮ロックバンドに耐えうる人間共がいるとは、地上の石ころとは違う。やはり地下の鉱石はまだまだ秘められた宝の山だ」
ダンと足を鳴らす全長10メートルの魔物。
「聞け!! 人間共!! 我は魔王フリフライ様に仕えし眷属使魔ロッカーライ!!」
「喜べ!! お前たちには魔王様の飛翔木馬トロイアの原動力となってもらう!!」
「世界を支配する魔王様のお役に立てるのだ!! これほど光栄な待遇はない!! 歓喜しろ!!」
「さぁ、来てもらおう全員、我らの魔王様の為に魂が燃え尽きるまで働け!!」
ロッカーライの言いたいことは終わった。
「何が光栄な待遇だ……」
ダイシンが言う。
「勝手に吠えやがって……」
ワーが言う。
「魔王ってのは犬のしつけも出来ねーのか」
ノロシが言う。
「どうする頭」
ハイエが言う。
ダンと足踏みをするテンロウ。そして部下たちにこう告げた。
「アイツから殺す」
ハズレ、オテダシ、ブン爺さんら、男たちは既に手かせを外し、洞窟の中を走っていた。
「――――!?」
タタタッとハズレたちが走っていると、シーちゃんを頭に乗っけたスワンが見える。
「やっと来たハズレ」
スワンが待っていたかのように言う。どうやらスワンの方の牢屋も開いていて女性たちが逃げる準備を終えていた。
「何だスワン、外に出られたのか? 急いできたんだが……」
「こっちには力持ちのジャブちゃんがいるから鍵を奪うなんて簡単」
「スワンから話は聞いた……急いでここを出よう」
マテヨが見張りから奪ったしんがり用の武器を構えて言う。
「先頭は任せたぞ、マテヨ」
オテダシも武器を拾う。
「それじゃオテダシさん、マテヨさん、この人たちを任せる。オレたちはロードを助けに行く」
「分かった死ぬなよ」
オテダシが言う。
「待って、シーちゃんからロードのことは訊いてるけど、グラスはどこにいる!?」
「彼はいなくなった、しかもドリドリム団に捕まる前にだ」
「えっ!? まさか逃げた!?」
「グラスは後だ。今はロードを早急に助けに行かなくてはいけない」
「うん」
その時――ズズズズンッと地響きが鳴った。
『『『――――!!』』』
ここにいる一同が驚いた。
「ゆ、揺れてる」「地震よ!!」「は、早くここから出よう」「そうだ、崩れるかもしれねー」
ざわめく男女。
「よし全員私について来い遅れるな!!」
マテヨが言い、すぐさま出口に向かって走り出した。
「いいな、間隔開けて走れ!」
オテダシが最後尾について行った。
「急ごう、次はスワンキミの出番だ」
「うん、この地に宿りし清らかな水の精霊たちよ、汝らの同胞として我が声に答えよ、波紋を投じ、望むべきもののありかを探り、我らを流せ、精霊石の剣へと導け」
スワンの用意した石ころ大の精霊石が浮かび上がり、バシャンとまるで水風船のように水の破裂が起こった。
スススーーーーっと水が目的地までの道を線で引いていく。
「行こうハズレ」
スワンが凛々しく言う。
「濡れたんだけどさー」
水の破裂をもろに食らったハズレだった。
「風邪に気を付けて」
それだけ言って二人は水の線を追う。
それを物陰から見ている三人組がいた。
「何だ今のは……珍しいものを見てしまった」
メガネをした老人が言う。
「ああ、しらべたい、しらべたい」
手をソワソワさせている白衣の女性がいた。
「しかし、石碑は目前です。せっかく牢から出られたのに……」
メガネをした男が言う。
「そうだ急げ、石碑が地震で埋もれてしまうやもしれん」
「「――――!?」」
「行くぞ、モト、ヂカラ」
「は、はい、ガシラ先生」
三人組はすぐさま石碑の間へ向かう。
◆ ◆ ◆ ◆
ズズズンと瓦礫が落ちてきたのは、天井を魔物がぶち抜いて来たからだった。
「まさに宝の山、豊富な輝かしい命という名の財宝、そうだこれぞ、命の山!!」
魔物はガオンと吠えた。その姿は全体が岩でできており、獅子の姿をしていた。
魔物を前にざわめくドリドリム団。
ロードとグラスも魔物を見ていた。
「こんな時に魔物まで乱入なんて……」
ロードが身震いする。
「ちっ……」
舌打ちするグラス。
「あらら、天井に大穴だ……やってくれるぜ」
ノロシが笑う。
魔物を見るドリドリム団幹部の面々。
魔物はスゥーーーーっと息を吸い込んで、ガオンと咆哮を上げた。
咆哮だけで瓦礫が飛び散らかり、盗賊団も飛んで行く。
「うああああ」「うわあああああ」「ひぃーーーー」
ロードたちにもビリビリと咆哮の余波が伝わってくる。
「なるほど、我が魂の咆哮ロックバンドに耐えうる人間共がいるとは、地上の石ころとは違う。やはり地下の鉱石はまだまだ秘められた宝の山だ」
ダンと足を鳴らす全長10メートルの魔物。
「聞け!! 人間共!! 我は魔王フリフライ様に仕えし眷属使魔ロッカーライ!!」
「喜べ!! お前たちには魔王様の飛翔木馬トロイアの原動力となってもらう!!」
「世界を支配する魔王様のお役に立てるのだ!! これほど光栄な待遇はない!! 歓喜しろ!!」
「さぁ、来てもらおう全員、我らの魔王様の為に魂が燃え尽きるまで働け!!」
ロッカーライの言いたいことは終わった。
「何が光栄な待遇だ……」
ダイシンが言う。
「勝手に吠えやがって……」
ワーが言う。
「魔王ってのは犬のしつけも出来ねーのか」
ノロシが言う。
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