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第六章 盗み、奪い、取る、緑色の襲撃者
第287話 団長リョウが教える欲深き溝
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フォックスグリード・荒くれた森。
ロードたちは荷船をチュードオリに置いて来て、ツルバシセン団から馬を借りアリバレーを目指していた。
ツルバシセン団の団長リョウと他150人くらいもついて来てくれていた。
それはアリバレーがドリドリム団という盗賊の拠点になっているからである。
ロードはグラスと二人乗りしていた。グラスを前に跨らせて馬にまたがっている。
ハズレとスワンも二人乗りしていた。
「リョウさん! あとどれくらいだ!」
ロードがリョウに訊いてみる。
「何だ! 聞こえねーぞ!」
馬の足音でロードの声は埋もれていた。
「アリバレーまでどれくらいある!?」
今度は馬ごと近づいて訊いてみる。
「マテヨ!」
聞こえたリョウは団員である頭にバンドを撒いた女性に訊いていた。
「一時の間だ!」
答えが出た。
「――10時の方向欲深き溝だ!! 全員落ちるんじゃねーぞ!!」
青い髪を後ろで縛ったオテダシという名の団員が注意を促す。
森の先には大きな穴があった。直径数十キロ以上の大穴で、深さも良く見えはしない暗闇だった。
「あの穴、前にも見たことがある。橋の所で……」
大穴の横を通過していくスワンが言う。
「こんな所にも……いつ見ても不自然な崖、いや穴か……」
ハズレがゾクゾクとそこに落ちたらと想像する。
「リョウさん、あの穴は一体何なんだ!?」
ロードが訊いてみる。
「さぁな、知らねーけど……昔からあるだろ、いたるところに、今更珍しくもねーよ」
「オレたちにとっては不可解な穴なんだ何か知らないか?」
「そんなに気になるのか? あれは欲深き溝って昔から言われている。なんでそんなもんがあるのかは誰も分からねー、今のじじいやばばあ共が生まれる以前からあるらしい……ただ欲にまみれた人たちが……この世界をむしばみ生み出した、人の欲の深さを現した大穴とかいう言い伝えがある」
「人の欲深さが世界をむしばむか……」
「言い伝えだぞ、オレたち盗賊は穴の中は魔物の巣か、宝の山かで意見が分かれている。が、どこまでも続く深さ。底まで辿り着いた奴はいねー、もし落ちれば、穴から二度と出られやしねーだろーな」
「ち、近づかない方が良さそう」
聞いていたスワンが怖がる。
この時、
(スワンなら飛べるから、底に辿り着けるかも、問題はやってくれるだろうか……)
と考えるハズレ。
「ところでお前その剣はどこで手に入れたんだ? やっぱダンジョンか?」
今度はリョウが質問して来る。
「いや、この赤い剣は貰いもので、青い剣の方は作ってもらったんだ」
「すげーいい剣だ。オレらの拾い物と違って輝いてるしな。まるで宝石だ」
オテダシが剣を見て褒める。
「私ソレ欲しい」
マテヨが欲しがる。
「ダメだ、誰にも渡さないと決めている」
ロードがかたくなに拒否した。
「とりゃしねーよ、そんくらいいい剣だってことだ」
リョウが話す。
「そいえばアンタの剣、あれは何なんだ? 一振りするたびに斬撃が生まれていたが……」
「剱山刀な、あるダンジョンで見つけた。至高の武器。特別な力を持った剣だ」
「特別な剣? ダンジョンで?」
「ああ、ダンジョンには特別な力を宿したもんが収められている。もちろんこの剣も財宝の一種だが、大昔の歴史の遺品だな。昔の人間はこういう特別な武器で戦っていたらしい……何でこんなもんが作れるやら」
リョウは背負った剱山刀を振り上げて見せた。
「特別な力? ハズレ!」
スワンが思案する。
「言いたいことはわかる。秘宝玉の力かもしれないって言いたいんだろ?」
ハズレが答えを返す。
「リョウさん! 秘宝玉って知らないか? 手のひらサイズの丸い宝石なんだが……」
ロードは訊いてみた。
「ひほうぎょく? 知らねーなただの宝石じゃないのか?」
「知らないのなら別にいいんだ」
この時、
(やっぱり、そう簡単に秘宝玉とかの情報は掴めないか……オレの持つ秘宝玉が使えれば、戦いもぐんと変わると思うんだが)
そう思っていた。
「――――!!」
その時ロードの首に提げていた裏切りの瞳が黒く輝きだした。
「リョウさん近くに魔物が居る!!」
「何! 本当か! ロード!」
「ああ、いる!」
「全員茂みに隠れろ! 息の根を殺せ! 魔物が来るぞ!」
数十秒後、馬で移動してきたロードたち含め、団員たちは全員茂みに隠れる。
しばらく隠れて、
「来ねーな、魔物」
リョウが口に漏らす。
「いや来ているはず……」
ロードは言う。
「あらら、ロード瞳に裏切られたか?」
ハズレが密かに話す。
「ジョーダン言ってる場合か? 気を引き締めて」
木の枝を持って息を潜めるスワン。
「辺りに気配はない。それほど大きな魔物ではなさそうだ」
マテヨが冷静に待つ。
その時後ろの方で身を潜めていた団員たちがざわついた。
「オイ、静かにしろ魔物が近くまで来てるんだぞ!」
オテダシが注意を勧告する。
「オテダシさん分かってますよ」「けどアレは」「上、上」
「「上?」」
フセルとオテダシが口をそろえる。
そしてマテヨが上を見上げる。木々の葉の隙間から見えたのは大きな空飛ぶ木馬だった。
「飛んでいる」
ハズレが唖然とする。
「木馬?」
スワンが口にする。
「まさか魔王フリフライの……?」
全長1キロ以上の木の翼を生やした巨大な木馬が空を飛んでいた。
それは船とエミさんは言っていた。恐らく居るのであろうその中に魔王フリフライが、
ロードたちは荷船をチュードオリに置いて来て、ツルバシセン団から馬を借りアリバレーを目指していた。
ツルバシセン団の団長リョウと他150人くらいもついて来てくれていた。
それはアリバレーがドリドリム団という盗賊の拠点になっているからである。
ロードはグラスと二人乗りしていた。グラスを前に跨らせて馬にまたがっている。
ハズレとスワンも二人乗りしていた。
「リョウさん! あとどれくらいだ!」
ロードがリョウに訊いてみる。
「何だ! 聞こえねーぞ!」
馬の足音でロードの声は埋もれていた。
「アリバレーまでどれくらいある!?」
今度は馬ごと近づいて訊いてみる。
「マテヨ!」
聞こえたリョウは団員である頭にバンドを撒いた女性に訊いていた。
「一時の間だ!」
答えが出た。
「――10時の方向欲深き溝だ!! 全員落ちるんじゃねーぞ!!」
青い髪を後ろで縛ったオテダシという名の団員が注意を促す。
森の先には大きな穴があった。直径数十キロ以上の大穴で、深さも良く見えはしない暗闇だった。
「あの穴、前にも見たことがある。橋の所で……」
大穴の横を通過していくスワンが言う。
「こんな所にも……いつ見ても不自然な崖、いや穴か……」
ハズレがゾクゾクとそこに落ちたらと想像する。
「リョウさん、あの穴は一体何なんだ!?」
ロードが訊いてみる。
「さぁな、知らねーけど……昔からあるだろ、いたるところに、今更珍しくもねーよ」
「オレたちにとっては不可解な穴なんだ何か知らないか?」
「そんなに気になるのか? あれは欲深き溝って昔から言われている。なんでそんなもんがあるのかは誰も分からねー、今のじじいやばばあ共が生まれる以前からあるらしい……ただ欲にまみれた人たちが……この世界をむしばみ生み出した、人の欲の深さを現した大穴とかいう言い伝えがある」
「人の欲深さが世界をむしばむか……」
「言い伝えだぞ、オレたち盗賊は穴の中は魔物の巣か、宝の山かで意見が分かれている。が、どこまでも続く深さ。底まで辿り着いた奴はいねー、もし落ちれば、穴から二度と出られやしねーだろーな」
「ち、近づかない方が良さそう」
聞いていたスワンが怖がる。
この時、
(スワンなら飛べるから、底に辿り着けるかも、問題はやってくれるだろうか……)
と考えるハズレ。
「ところでお前その剣はどこで手に入れたんだ? やっぱダンジョンか?」
今度はリョウが質問して来る。
「いや、この赤い剣は貰いもので、青い剣の方は作ってもらったんだ」
「すげーいい剣だ。オレらの拾い物と違って輝いてるしな。まるで宝石だ」
オテダシが剣を見て褒める。
「私ソレ欲しい」
マテヨが欲しがる。
「ダメだ、誰にも渡さないと決めている」
ロードがかたくなに拒否した。
「とりゃしねーよ、そんくらいいい剣だってことだ」
リョウが話す。
「そいえばアンタの剣、あれは何なんだ? 一振りするたびに斬撃が生まれていたが……」
「剱山刀な、あるダンジョンで見つけた。至高の武器。特別な力を持った剣だ」
「特別な剣? ダンジョンで?」
「ああ、ダンジョンには特別な力を宿したもんが収められている。もちろんこの剣も財宝の一種だが、大昔の歴史の遺品だな。昔の人間はこういう特別な武器で戦っていたらしい……何でこんなもんが作れるやら」
リョウは背負った剱山刀を振り上げて見せた。
「特別な力? ハズレ!」
スワンが思案する。
「言いたいことはわかる。秘宝玉の力かもしれないって言いたいんだろ?」
ハズレが答えを返す。
「リョウさん! 秘宝玉って知らないか? 手のひらサイズの丸い宝石なんだが……」
ロードは訊いてみた。
「ひほうぎょく? 知らねーなただの宝石じゃないのか?」
「知らないのなら別にいいんだ」
この時、
(やっぱり、そう簡単に秘宝玉とかの情報は掴めないか……オレの持つ秘宝玉が使えれば、戦いもぐんと変わると思うんだが)
そう思っていた。
「――――!!」
その時ロードの首に提げていた裏切りの瞳が黒く輝きだした。
「リョウさん近くに魔物が居る!!」
「何! 本当か! ロード!」
「ああ、いる!」
「全員茂みに隠れろ! 息の根を殺せ! 魔物が来るぞ!」
数十秒後、馬で移動してきたロードたち含め、団員たちは全員茂みに隠れる。
しばらく隠れて、
「来ねーな、魔物」
リョウが口に漏らす。
「いや来ているはず……」
ロードは言う。
「あらら、ロード瞳に裏切られたか?」
ハズレが密かに話す。
「ジョーダン言ってる場合か? 気を引き締めて」
木の枝を持って息を潜めるスワン。
「辺りに気配はない。それほど大きな魔物ではなさそうだ」
マテヨが冷静に待つ。
その時後ろの方で身を潜めていた団員たちがざわついた。
「オイ、静かにしろ魔物が近くまで来てるんだぞ!」
オテダシが注意を勧告する。
「オテダシさん分かってますよ」「けどアレは」「上、上」
「「上?」」
フセルとオテダシが口をそろえる。
そしてマテヨが上を見上げる。木々の葉の隙間から見えたのは大きな空飛ぶ木馬だった。
「飛んでいる」
ハズレが唖然とする。
「木馬?」
スワンが口にする。
「まさか魔王フリフライの……?」
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