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第六章 盗み、奪い、取る、緑色の襲撃者
第254話 人食い犬
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村外れの森の中。
ロード、スワン、ハズレは話し合っていた。
「何だったんだろうアイツ」
「さぁな、けど結構な腕前だった」
「ロードの剣の狙いをつけていたから盗賊か追い剥ぎだろう」
「ロード怪我してる!!」
スワンがロードの血の滲んだ左腕を見て言った。
「気にするほどじゃない」
先の戦闘で切れた衣服ごと傷を見る。
「いいから腕出して、付着したかもしれない菌を水で洗い流す」
ロードは言われて腕をまくる。そしてスワンが荷物の中から取り出した一つの水筒を持ち、水をダバーっとかけていく。
「ロードは確か包帯を持っていたよね。巻こうか?」
「自分で巻いておくよ、ありがとうスワン」
包帯を丁寧に巻き、口と片手を使って縛り付ける。
「狙われたのは精霊石で作られた青き剣か」
ハズレが緑色の襲撃者のことを思い出す。
「竜封じの剣も狙ってたかも……」
スワンも感想を口にする。
「………………ん?」
ふとその時、ロードが視界にとらえたのは何かの残骸だった。気になったので近づいてみる。
「馬車の残骸か……」
ロードが口にする。
「そういえば村に入る途中にも馬車の残骸はいくつかあった」
「ここも危険そうだな……どこか安全な場所はないのか」
やれやれと手を振るハズレ。一方ロードとスワンは残骸をよく観察する。
「「――――!?」」
二人は驚くべきものを発見した。
「人の頭蓋骨」
その時、ロードたちの背後からガルルルルと喉をうならす野犬たちが集まって来ていた。
「「「――――!?」」」
数にしてザッと10匹はいるだろう。
「ガルラァ!!」
リーダー犬が吠えると一斉に襲い掛かってくる野犬たち。
その時――懐から油を取り出し地面に巻き散らしていくハズレ。そしてもうひと手間裂く時間があり、マッチ棒に火をつけて、油に濡れた場所に投げ捨てた。そうすると、
ゴオオオオッ!! と引火して火の壁が出来、飛び掛かる野犬たちを吹き飛ばした。
「今の内に遠くに逃げよう!! 二人共荷船に乗って!! ドルちゃん出発!!」
「クパパパパパパパパパ」
一目散に泳いでいく精霊のドルフィーナは、スワン、ハズレ、ロードをその場から遠ざけた。
「何? 魔物だったわけ?」
「いや、裏切りの瞳が反応していない。ただの犬だ」
「ただの犬が襲い掛かってくる世界か~~」
ハズレが気の抜けた声を発する。
「ただの犬を何故追い払うハズレ」
「おいおいアレはどう見ても人食い野犬だぞ!? 追い払わなかったら食い殺されてたよ。あの馬車の残骸にいた頭蓋骨さんのように……」
「犬が人を食べる? 何故だ?」
「それは生きるためだろう」
「見てロード」
イルカ型の精霊に跨るスワンが指を差す。その方向を見てみると人の骨が落ちていた。
「人の骨……」
ロードが悲しそうな目で見つめる。
「思ったんだけどこの世界危険すぎる……まともに休める場所がない」
「確かに、山賊に緑色の襲撃者……人食い犬……荒れた村、壊れた馬車を考えると……」
「緑の襲撃者がロードの剣を奪おうとしたわけだし、俺たちのこの格好が呼び寄せているとかないか?」
ハズレが服装を示唆する。
「珍しいものを身に付けているからか……そうかもしれないな」
ロードが推測する。
「着替えなんて持ってない」
スワンが荷船の方に振り向いて言う。
「せめて貴金属は外しておこう。この絆結びの腕輪とか……」
カチャカチャと腕輪を外すハズレ。
「ああ、宝石があるからな」
「それって私たちの絆が足手まといってこと……?」
少し辛そうな顔を見せるスワン。
「違う絆を守るために外すんだ」
凛とした表情を見せるロード。
「なら許す」
こうして野犬の目をくらました三人は、絆結びの腕輪を外し、荷船に乗って快適に移動するのだった。
ロード、スワン、ハズレは話し合っていた。
「何だったんだろうアイツ」
「さぁな、けど結構な腕前だった」
「ロードの剣の狙いをつけていたから盗賊か追い剥ぎだろう」
「ロード怪我してる!!」
スワンがロードの血の滲んだ左腕を見て言った。
「気にするほどじゃない」
先の戦闘で切れた衣服ごと傷を見る。
「いいから腕出して、付着したかもしれない菌を水で洗い流す」
ロードは言われて腕をまくる。そしてスワンが荷物の中から取り出した一つの水筒を持ち、水をダバーっとかけていく。
「ロードは確か包帯を持っていたよね。巻こうか?」
「自分で巻いておくよ、ありがとうスワン」
包帯を丁寧に巻き、口と片手を使って縛り付ける。
「狙われたのは精霊石で作られた青き剣か」
ハズレが緑色の襲撃者のことを思い出す。
「竜封じの剣も狙ってたかも……」
スワンも感想を口にする。
「………………ん?」
ふとその時、ロードが視界にとらえたのは何かの残骸だった。気になったので近づいてみる。
「馬車の残骸か……」
ロードが口にする。
「そういえば村に入る途中にも馬車の残骸はいくつかあった」
「ここも危険そうだな……どこか安全な場所はないのか」
やれやれと手を振るハズレ。一方ロードとスワンは残骸をよく観察する。
「「――――!?」」
二人は驚くべきものを発見した。
「人の頭蓋骨」
その時、ロードたちの背後からガルルルルと喉をうならす野犬たちが集まって来ていた。
「「「――――!?」」」
数にしてザッと10匹はいるだろう。
「ガルラァ!!」
リーダー犬が吠えると一斉に襲い掛かってくる野犬たち。
その時――懐から油を取り出し地面に巻き散らしていくハズレ。そしてもうひと手間裂く時間があり、マッチ棒に火をつけて、油に濡れた場所に投げ捨てた。そうすると、
ゴオオオオッ!! と引火して火の壁が出来、飛び掛かる野犬たちを吹き飛ばした。
「今の内に遠くに逃げよう!! 二人共荷船に乗って!! ドルちゃん出発!!」
「クパパパパパパパパパ」
一目散に泳いでいく精霊のドルフィーナは、スワン、ハズレ、ロードをその場から遠ざけた。
「何? 魔物だったわけ?」
「いや、裏切りの瞳が反応していない。ただの犬だ」
「ただの犬が襲い掛かってくる世界か~~」
ハズレが気の抜けた声を発する。
「ただの犬を何故追い払うハズレ」
「おいおいアレはどう見ても人食い野犬だぞ!? 追い払わなかったら食い殺されてたよ。あの馬車の残骸にいた頭蓋骨さんのように……」
「犬が人を食べる? 何故だ?」
「それは生きるためだろう」
「見てロード」
イルカ型の精霊に跨るスワンが指を差す。その方向を見てみると人の骨が落ちていた。
「人の骨……」
ロードが悲しそうな目で見つめる。
「思ったんだけどこの世界危険すぎる……まともに休める場所がない」
「確かに、山賊に緑色の襲撃者……人食い犬……荒れた村、壊れた馬車を考えると……」
「緑の襲撃者がロードの剣を奪おうとしたわけだし、俺たちのこの格好が呼び寄せているとかないか?」
ハズレが服装を示唆する。
「珍しいものを身に付けているからか……そうかもしれないな」
ロードが推測する。
「着替えなんて持ってない」
スワンが荷船の方に振り向いて言う。
「せめて貴金属は外しておこう。この絆結びの腕輪とか……」
カチャカチャと腕輪を外すハズレ。
「ああ、宝石があるからな」
「それって私たちの絆が足手まといってこと……?」
少し辛そうな顔を見せるスワン。
「違う絆を守るために外すんだ」
凛とした表情を見せるロード。
「なら許す」
こうして野犬の目をくらました三人は、絆結びの腕輪を外し、荷船に乗って快適に移動するのだった。
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