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第五章 絆をはぐくんだ三人はいざ戦いへ
第246話 ロード、勧誘される
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魔王を倒した次の日の朝。
オーイワ城の広場にロードとバスタード、クウエンにそのパーティーメンバーに、各国の戦士長が集まっていた。
「それではギンゴさん魔物狩りの皆さん我々はこれで失礼するが、今後ともよいお付き合いが出来ることを……」
ミンド戦士長がギンゴ戦士長に手を差し出す。
「そうですね」
その手を握り返すギンゴ戦士長だった。
「貴殿らの働きには感服した。今までの比礼を詫びよう……」
アンダ戦士長がバスタードに対して言っていた。
「いや構わず、なれてますので……」
ひげ面のバスタードはそう返した。
「キミもな……あの娘にも……眷属使魔を討ち果たしたことを心より賞賛すると伝えてくれ……あと失礼を詫びていたとも……」
アンダ戦士長がロードに言伝を頼む。
「はい、伝えます」
「どうだろう、何なら我が国で戦士として戦わないか? キミならばゆくゆくは我の座を……」
アンダ戦士長が提案して来る。
「いや、オレは戦いたいのではなくて、人々を助けたいからその話は受けません」
ロードはキッパリと断った。
「そうか……うむ、ならば困ったことがあれば、我が国は力になろう」
それだけ言うと去っていた。
「はい」
ロードは返事をした。
そして、バスタードはミンド戦士長とも固い握手を交わす。
「ではな、ロード世話になった。ジャリオストに寄ることがあったら、ぜひ顔を出してくれ、仲間も共にな」
「達者でゲンガさん」
「うむ」
そうして、アンダ、ミンド、ゲンガは自国へと各々の戦士隊を連れて帰って行ったのだった。
▽ ▽ ▽
そして残ったのが、ロードとバスタードとクウエン。ギンゴ戦士長は席を外していた。
「話とはなんです……バスタードさん」
ロードが尋ねる。
「ああ、大したことじゃねーさ」
石像の台に腰掛けるバスタード。
「ロード、お前……ギルドにはまだ名前がなかっただろ……この機会に登録したらどうだ……」
「ギルド?」
「我々魔物狩りの業界のことだ、登録すれば様々な依頼を受けることが出来……実績に見合った報酬と名誉がもらえる」
顔にシミのある魔物狩りがそう言った。
「この世界、魔物を倒してもただ働きさせられるなんてことはザラだ。だったら拠点を構えて依頼人を待った方が金は入りやすい」
「ハズレも言っていたな。ランクがあるとかないとか……」
「ああ、実績に応じてな……ランクによって受けられる依頼も変わるし高い金で雇うことになるから……くだらない仕事は来なくなる」
「くだらない仕事?」
「羊の見張りとか……」「山に魔物がいないかの調査とか」「ああ、魔物の鳴き声かと思って討伐しに言ったらばあさんの大声でしたとか……」
クウエン率いるパーティーメンバーがそう言う。
「とまぁ、そんなところだが、魔王とタイマン張った唯一の生き残り、今回は100以上の魔物を斬り捨てた。お前は文句なしでダイヤモンドランクだろう。最強の男グレイドさんもいなくなったことだ。まさに今なら、お前に旨い話はいくつも舞い込んでくるだろう。ギルドとしてもそれは助かる。どうだ登録してみないか?」
「済まないが断る」
「何故だ?」
「オレが魔物を倒す理由はただ一つだけ……皆がオレを待っているからさ」
ロードの一言に魔物狩り達は新鮮な気分でいた。
「ったく、お前は大物だよ。グレイドさんが気に入る理由もわかる」
頭を掻くバスタード。
「分かった……好きなようにしろロード……だが何かあったら呼べよ……今度は俺たちが力になってやる。なぁ!! お前ら!!
『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』
控えていた魔物狩り達が大声で叫ぶ。
「そ、そうする」
びっくりしたロードだった。
「ロード……キミは凄いヤツだ……俺たちも負けてはいられないキミのように一から旅をやり直すよ」
クウエンが握手を求めてくる。
「また会ったときはぜひ力比べをしたいいいかな……」
「力比べ? 棒同士で戦うのならいいが……」
ロードは握手に応じた。
「分かったよ。それでは僕らはこれで、ハズレさんたちにもよろしく」
クウエンが踵を返した。
「ああ」
「俺たちも行く……気が変わったらいつでもギルドに来い」
「お世話になりました、バスタードさん」
「よせ、こっちのセリフだ……それから、あの二人にも言っといてくれ」
バスタードが言伝を頼む。
「――!!」
◆ ◆ ◆ ◆
「わたしたち?」「?」
キョトンとする二人。
「ハズレ、お前はブースタードさんとゲンガさんが言ってたが、眷属使魔を倒したことでランクがダイヤモンドになった。手続きとメダルを交換するからまた来てくれだそうだ」
「あーーーー別にいい、オレにはもう必要ない」
「!? 依頼が変わって報酬が増えるんじゃないのか?」
「そうだけどさぁ……」
「なら何故」
「言わない」
ハズレは指を立てて言う。ロードたちと居たおかげでモノの見方が変わったのだろう。
「フーン……それで、その、わたしは何? 興味ないけど何?」
「んーーーー興味ないならいいんだ」
「えっ!? ちょっとだけあるから言って!!」
この時、
(何だろう……)
(バカデカテを倒した功績で)
(わたしもダイヤモンド魔物ハンターとか)
(いいかも)
と思っていたのだが、
「よかったらギルドの受付で働かないか? と……」
「あっそ……」
興味なさげにロードから顔を背けるのだった。
オーイワ城の広場にロードとバスタード、クウエンにそのパーティーメンバーに、各国の戦士長が集まっていた。
「それではギンゴさん魔物狩りの皆さん我々はこれで失礼するが、今後ともよいお付き合いが出来ることを……」
ミンド戦士長がギンゴ戦士長に手を差し出す。
「そうですね」
その手を握り返すギンゴ戦士長だった。
「貴殿らの働きには感服した。今までの比礼を詫びよう……」
アンダ戦士長がバスタードに対して言っていた。
「いや構わず、なれてますので……」
ひげ面のバスタードはそう返した。
「キミもな……あの娘にも……眷属使魔を討ち果たしたことを心より賞賛すると伝えてくれ……あと失礼を詫びていたとも……」
アンダ戦士長がロードに言伝を頼む。
「はい、伝えます」
「どうだろう、何なら我が国で戦士として戦わないか? キミならばゆくゆくは我の座を……」
アンダ戦士長が提案して来る。
「いや、オレは戦いたいのではなくて、人々を助けたいからその話は受けません」
ロードはキッパリと断った。
「そうか……うむ、ならば困ったことがあれば、我が国は力になろう」
それだけ言うと去っていた。
「はい」
ロードは返事をした。
そして、バスタードはミンド戦士長とも固い握手を交わす。
「ではな、ロード世話になった。ジャリオストに寄ることがあったら、ぜひ顔を出してくれ、仲間も共にな」
「達者でゲンガさん」
「うむ」
そうして、アンダ、ミンド、ゲンガは自国へと各々の戦士隊を連れて帰って行ったのだった。
▽ ▽ ▽
そして残ったのが、ロードとバスタードとクウエン。ギンゴ戦士長は席を外していた。
「話とはなんです……バスタードさん」
ロードが尋ねる。
「ああ、大したことじゃねーさ」
石像の台に腰掛けるバスタード。
「ロード、お前……ギルドにはまだ名前がなかっただろ……この機会に登録したらどうだ……」
「ギルド?」
「我々魔物狩りの業界のことだ、登録すれば様々な依頼を受けることが出来……実績に見合った報酬と名誉がもらえる」
顔にシミのある魔物狩りがそう言った。
「この世界、魔物を倒してもただ働きさせられるなんてことはザラだ。だったら拠点を構えて依頼人を待った方が金は入りやすい」
「ハズレも言っていたな。ランクがあるとかないとか……」
「ああ、実績に応じてな……ランクによって受けられる依頼も変わるし高い金で雇うことになるから……くだらない仕事は来なくなる」
「くだらない仕事?」
「羊の見張りとか……」「山に魔物がいないかの調査とか」「ああ、魔物の鳴き声かと思って討伐しに言ったらばあさんの大声でしたとか……」
クウエン率いるパーティーメンバーがそう言う。
「とまぁ、そんなところだが、魔王とタイマン張った唯一の生き残り、今回は100以上の魔物を斬り捨てた。お前は文句なしでダイヤモンドランクだろう。最強の男グレイドさんもいなくなったことだ。まさに今なら、お前に旨い話はいくつも舞い込んでくるだろう。ギルドとしてもそれは助かる。どうだ登録してみないか?」
「済まないが断る」
「何故だ?」
「オレが魔物を倒す理由はただ一つだけ……皆がオレを待っているからさ」
ロードの一言に魔物狩り達は新鮮な気分でいた。
「ったく、お前は大物だよ。グレイドさんが気に入る理由もわかる」
頭を掻くバスタード。
「分かった……好きなようにしろロード……だが何かあったら呼べよ……今度は俺たちが力になってやる。なぁ!! お前ら!!
『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』
控えていた魔物狩り達が大声で叫ぶ。
「そ、そうする」
びっくりしたロードだった。
「ロード……キミは凄いヤツだ……俺たちも負けてはいられないキミのように一から旅をやり直すよ」
クウエンが握手を求めてくる。
「また会ったときはぜひ力比べをしたいいいかな……」
「力比べ? 棒同士で戦うのならいいが……」
ロードは握手に応じた。
「分かったよ。それでは僕らはこれで、ハズレさんたちにもよろしく」
クウエンが踵を返した。
「ああ」
「俺たちも行く……気が変わったらいつでもギルドに来い」
「お世話になりました、バスタードさん」
「よせ、こっちのセリフだ……それから、あの二人にも言っといてくれ」
バスタードが言伝を頼む。
「――!!」
◆ ◆ ◆ ◆
「わたしたち?」「?」
キョトンとする二人。
「ハズレ、お前はブースタードさんとゲンガさんが言ってたが、眷属使魔を倒したことでランクがダイヤモンドになった。手続きとメダルを交換するからまた来てくれだそうだ」
「あーーーー別にいい、オレにはもう必要ない」
「!? 依頼が変わって報酬が増えるんじゃないのか?」
「そうだけどさぁ……」
「なら何故」
「言わない」
ハズレは指を立てて言う。ロードたちと居たおかげでモノの見方が変わったのだろう。
「フーン……それで、その、わたしは何? 興味ないけど何?」
「んーーーー興味ないならいいんだ」
「えっ!? ちょっとだけあるから言って!!」
この時、
(何だろう……)
(バカデカテを倒した功績で)
(わたしもダイヤモンド魔物ハンターとか)
(いいかも)
と思っていたのだが、
「よかったらギルドの受付で働かないか? と……」
「あっそ……」
興味なさげにロードから顔を背けるのだった。
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