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第五章 絆をはぐくんだ三人はいざ戦いへ
第244話 全身全霊を賭した戦い
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ロードはハズレとスワンの残った力を受け継ぎ復活した。
「全て壊れろ!! 粉骨砕身!!」
破城槌をロードに向かって振り被る魔王ゴワドーン。
(オレたちの力をこの一撃に集約する)
ロードの出した技は、
「最初の一撃!!」
この時、赤き剣は光を宿し50メートルも伸びて、ゴワドーンに上から下へと振り下ろした。
「ぐおおおおおお!!」
振り被っていた破城槌を押し返され、剣の一太刀を食らっていく。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
魔王ゴワドーンの大絶叫がこだました。
片膝をつき赤き剣を地面に突き刺すロード。息も絶え絶えだった。それも当然、全身全霊の一撃だったのだから。
「はぁ……はぁ……」
しかし、
「――――!?」
ロードは信じられないものを見た。
「オオオーーーーアアーーーーー!!」
無傷とは行かずとも立ち上がる魔王ゴワドーンの姿がそこにあった。
(これでもダメなのか……)
「この力、お前持っているな? 秘宝玉を……」
(そうか……こいつも持っているのか!?)
「認めようお前はいずれ魔の脅威となる。だからこそここで破壊する!!」
「はぁ……はぁ……ハズレ……スワン」
フラフラのロード。気絶している二人。
(――オレは絶対に奴を倒す!!)
魔王に向けて最後の挑戦を仕掛けた。
「オオオオオオオオオオ!!」
赤い剣を持って走り出す。
魔王は死に急ぐ挑戦者を迎え撃つ。
ダッダッダッともう一つの足音も聞こえてきて、
「――――――――」
ロードはそちらに目線をやると――押された。
ズドーンと破城槌の攻撃音が響き渡る。
「ぐああ――――!!」
押されたロードはその攻撃から助かった。
(――今来たのはまさか)
「何ィ……!?」
驚いたのは魔王ゴワドーンも同じだった。
「お前は――――!!」
下半身を潰された男がそこに横たわっていた。
「――ダンさん!?」
「バカな……あんな死にぞこないを庇ったところで何になる。大人しく像を作っていればいいモノを」
「へ……へへ……」
ゴボッと血反吐を吐くダン。そして動く右手でそれを見せて来た。
「その石の残骸が何だ?」
その時、ビシシっと左腕の破城槌にひびが入った。そして割れた。
「――――!!」
魔王は驚いた。
(――!! 魔王の破城槌が割れた)
「オ、オマエ~~~~!!」
「どうやら気が付いたか……そうだ……この残骸は……お前が壊せなかった石像だ……お前はこいつを……自分自身と重ねて……壊れることさえ許せない奴だ……なら、その破城槌で破壊されれば……お前が壊れる」
またもバッカーーーーンと右腕の破城槌が破壊される。
この時、
(家族は返してもらう)
ダンはこう思っていた。
「おのれ~~!! このオレが破壊されるだと――破壊の魔王であるこのオレが~~!!」
ロードの方を見て最後の破壊に徹した。魔王ゴワドーンは尻尾を振って攻撃してくるが――
時すでに遅し、ロードに触れる前にバッカーーーーンっと破壊された。
ロードはガクッと膝を落とした。
「うおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああ!!」
魔王ゴワドーンが最後の言葉をロードに刻む。その身体にも亀裂が生じる。
「忘れるな! いずれ必ずお前たちの大切なものは壊されるのだ! 絆も思い出も魂も命も何もかも! 死が破壊する!」
魔王ゴワドーンの顔に亀裂が生じて、
「忘れるな……人間どもよ……」
割れていった魔王ゴワドーンは霧散化した。
その時、破城槌の秘宝玉が落ちて行ったが、炎に包まれて燃え尽きるように消えてしまった。
「ダンさん!!」
ロードはタッタッタッと駆け寄った。
「死ぬな!!」
下半身が破壊されて死ぬなという方が難しい。
「いいんだ……これで、魔王の槌を壊した……これで失った……形のないモノは皆取り戻せる……皆救われるんだ……例を言う、おかげで……別の道が……見つ……かった」
「何を全然良くないじゃないか!! ダンさんがこのまま死んでしまう。なにも良くない、救えないじゃないか」
「救われた……全部取り戻したんだ」
「人生は……どうだった」
ロードは声も震え涙目で訊く。
「ああ……いいもん……だった……」
最後はいい笑顔で息を引き取った。
ロードは涙をこぼす。
ロードは月明かりに照らされた。
背後から足音がいくつも聞こえてくる。
「魔王は、戦いはどうなった?」
鎧姿のギンゴ戦士長が訊いてくる。
その声に顔を袖で拭くロード。そして――
「魔王は滅びた。戦いは終わりだ」
「魔王が滅びたって?」
クウエンが驚いた。
「終わったのか」「そ、それでは……」
「我々の勝利だぁーー!!」
ギンゴ戦士長が剣を掲げる。
『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』
続いて戦士たちも魔物狩りたちも勝利の雄叫びを上げる。
◆ ◆ ◆ ◆
「バカな魔王様が――」「魔王様の気配が消えた」「死んでしまったのか?」「逃げろ! もうダメだ!」「皆殺しにされる前に逃げるんだ!」
タタタタと走り去っていく魔物たち。
「終わったか……」
兜を外して一言発するバスタード。
『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』
ここでも大歓声が起きた。
◆ ◆ ◆ ◆
オーイワ国・城下町入り口。
とうとうやって来たアンダ、ミンド、ゲンガ隊が、街の歓声を聞いていた。互いに頷き合って、剣を掲げて勝利の歓声を上げた。
『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』
続けて戦士たちも大歓声を上げる。
◆ ◆ ◆ ◆
ロードはダンさんに毛布を掛けた。
多くの犠牲を払い人々は魔王との戦いに勝利した。
壊れることのない人々の絆が思いが魂が命が、魔王を倒したのだった。
スワンは気絶していた。
ハズレは目を覚ましロードを見て戦いが終わったことを知る。
そして、目の前にはグレイドの持っていたと思われる秘宝玉が落ちていた。
魔王との戦いには勝った。
しかし、ロードたちにとって、その戦いは長く険しい物語のほんの序章でしかないのであった。
「全て壊れろ!! 粉骨砕身!!」
破城槌をロードに向かって振り被る魔王ゴワドーン。
(オレたちの力をこの一撃に集約する)
ロードの出した技は、
「最初の一撃!!」
この時、赤き剣は光を宿し50メートルも伸びて、ゴワドーンに上から下へと振り下ろした。
「ぐおおおおおお!!」
振り被っていた破城槌を押し返され、剣の一太刀を食らっていく。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
魔王ゴワドーンの大絶叫がこだました。
片膝をつき赤き剣を地面に突き刺すロード。息も絶え絶えだった。それも当然、全身全霊の一撃だったのだから。
「はぁ……はぁ……」
しかし、
「――――!?」
ロードは信じられないものを見た。
「オオオーーーーアアーーーーー!!」
無傷とは行かずとも立ち上がる魔王ゴワドーンの姿がそこにあった。
(これでもダメなのか……)
「この力、お前持っているな? 秘宝玉を……」
(そうか……こいつも持っているのか!?)
「認めようお前はいずれ魔の脅威となる。だからこそここで破壊する!!」
「はぁ……はぁ……ハズレ……スワン」
フラフラのロード。気絶している二人。
(――オレは絶対に奴を倒す!!)
魔王に向けて最後の挑戦を仕掛けた。
「オオオオオオオオオオ!!」
赤い剣を持って走り出す。
魔王は死に急ぐ挑戦者を迎え撃つ。
ダッダッダッともう一つの足音も聞こえてきて、
「――――――――」
ロードはそちらに目線をやると――押された。
ズドーンと破城槌の攻撃音が響き渡る。
「ぐああ――――!!」
押されたロードはその攻撃から助かった。
(――今来たのはまさか)
「何ィ……!?」
驚いたのは魔王ゴワドーンも同じだった。
「お前は――――!!」
下半身を潰された男がそこに横たわっていた。
「――ダンさん!?」
「バカな……あんな死にぞこないを庇ったところで何になる。大人しく像を作っていればいいモノを」
「へ……へへ……」
ゴボッと血反吐を吐くダン。そして動く右手でそれを見せて来た。
「その石の残骸が何だ?」
その時、ビシシっと左腕の破城槌にひびが入った。そして割れた。
「――――!!」
魔王は驚いた。
(――!! 魔王の破城槌が割れた)
「オ、オマエ~~~~!!」
「どうやら気が付いたか……そうだ……この残骸は……お前が壊せなかった石像だ……お前はこいつを……自分自身と重ねて……壊れることさえ許せない奴だ……なら、その破城槌で破壊されれば……お前が壊れる」
またもバッカーーーーンと右腕の破城槌が破壊される。
この時、
(家族は返してもらう)
ダンはこう思っていた。
「おのれ~~!! このオレが破壊されるだと――破壊の魔王であるこのオレが~~!!」
ロードの方を見て最後の破壊に徹した。魔王ゴワドーンは尻尾を振って攻撃してくるが――
時すでに遅し、ロードに触れる前にバッカーーーーンっと破壊された。
ロードはガクッと膝を落とした。
「うおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああ!!」
魔王ゴワドーンが最後の言葉をロードに刻む。その身体にも亀裂が生じる。
「忘れるな! いずれ必ずお前たちの大切なものは壊されるのだ! 絆も思い出も魂も命も何もかも! 死が破壊する!」
魔王ゴワドーンの顔に亀裂が生じて、
「忘れるな……人間どもよ……」
割れていった魔王ゴワドーンは霧散化した。
その時、破城槌の秘宝玉が落ちて行ったが、炎に包まれて燃え尽きるように消えてしまった。
「ダンさん!!」
ロードはタッタッタッと駆け寄った。
「死ぬな!!」
下半身が破壊されて死ぬなという方が難しい。
「いいんだ……これで、魔王の槌を壊した……これで失った……形のないモノは皆取り戻せる……皆救われるんだ……例を言う、おかげで……別の道が……見つ……かった」
「何を全然良くないじゃないか!! ダンさんがこのまま死んでしまう。なにも良くない、救えないじゃないか」
「救われた……全部取り戻したんだ」
「人生は……どうだった」
ロードは声も震え涙目で訊く。
「ああ……いいもん……だった……」
最後はいい笑顔で息を引き取った。
ロードは涙をこぼす。
ロードは月明かりに照らされた。
背後から足音がいくつも聞こえてくる。
「魔王は、戦いはどうなった?」
鎧姿のギンゴ戦士長が訊いてくる。
その声に顔を袖で拭くロード。そして――
「魔王は滅びた。戦いは終わりだ」
「魔王が滅びたって?」
クウエンが驚いた。
「終わったのか」「そ、それでは……」
「我々の勝利だぁーー!!」
ギンゴ戦士長が剣を掲げる。
『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』
続いて戦士たちも魔物狩りたちも勝利の雄叫びを上げる。
◆ ◆ ◆ ◆
「バカな魔王様が――」「魔王様の気配が消えた」「死んでしまったのか?」「逃げろ! もうダメだ!」「皆殺しにされる前に逃げるんだ!」
タタタタと走り去っていく魔物たち。
「終わったか……」
兜を外して一言発するバスタード。
『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』
ここでも大歓声が起きた。
◆ ◆ ◆ ◆
オーイワ国・城下町入り口。
とうとうやって来たアンダ、ミンド、ゲンガ隊が、街の歓声を聞いていた。互いに頷き合って、剣を掲げて勝利の歓声を上げた。
『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』
続けて戦士たちも大歓声を上げる。
◆ ◆ ◆ ◆
ロードはダンさんに毛布を掛けた。
多くの犠牲を払い人々は魔王との戦いに勝利した。
壊れることのない人々の絆が思いが魂が命が、魔王を倒したのだった。
スワンは気絶していた。
ハズレは目を覚ましロードを見て戦いが終わったことを知る。
そして、目の前にはグレイドの持っていたと思われる秘宝玉が落ちていた。
魔王との戦いには勝った。
しかし、ロードたちにとって、その戦いは長く険しい物語のほんの序章でしかないのであった。
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