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第五章 絆をはぐくんだ三人はいざ戦いへ

第231話 スワンを追う為に……

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 オーイワ国・城下町。
 時刻は21時を回ろうとしていた。
 あらゆる場所で戦乱が開かれていた。
 ワーーーー、ワーーーー、という絶叫や雄叫びが聞こえてくる。
 戦士たちや魔物狩り達の必死の攻防である。
 その中でも人一倍頑張って魔物を撃破していく者がいた。

「うわあああーー!!」「ああああああーー!!」

 二本の剣を持つロードが魔物たちに対してその本領を発揮していた。

「うおおおお!!」「よくもやったな!!」「大人しく死ね!!」

 あらゆる異形の姿をした魔物たちが言って来る。その数何と数百体。

 ズバッ、ズバッと二本の剣で魔物を斬っていく。

(くっ数が多すぎる)
(これでは、いつまで経っても)
(スワンの所へ行けやしない)
(前も後ろも右も左も上も魔物だらけとは――)
(あのオモシって魔物とシェードガイって魔物をどうにかすれば)
(魔物の統率はなくなるかもしれないが――)

 オモシとはやせ細った魔物にハンマーのある者。シェードガイとは貝殻で全身を鎧化した者。

 そして、ロードの背後から魔物たちな断末魔が聞こえた。

「――――!?」

 そちらを向くロードと魔物たち。

「手間取っているか? ロード」

 そこに立っていたのは全身鎧姿の者だった。

「えっ誰?」

「オレだバスタードだ」

「魔物みたいな格好ですね。間違えて斬りそう」

「今からその口を黙らせてやる。見てろ」

 ザッと魔物たちに向かって走り出すバスタード。

「ああああああ!!」「うわあああああ!!」

 早速、数体の魔物を仕留めたバスタード。

 膝の棘で魔物を突き刺し霧散化させ、肘の棘で魔物を突き刺し霧散化させていく。

(的確に相手の急所を突いている)
(やはり千体切りは伊達ではない)

 そんな時、別の魔物狩り達もこちらに到着していた。

「オラァー、敵がわんさか居やがるぞ!」「片っ端から片付けろ!」「オオオオ!」「邪魔だどけー!」「魔物を蹴散らせ!」

「ギャア……ア」「ウワァ」

 魔物たちが倒されていく。

「ロード今の内にオモシとシェードガイをやれ!」

 バスタードがそう言って来た。

「――――分かりました」

 ロードは他の魔物には目もくれず突っ込んで行く。

「来るぞ! シェードガイ」

「ああ、こいつは強い舐めてかかるな!」

 ロードはまず左手の赤き剣でシェードガイを狙った。

 ガァン! と腕の貝殻の鎧で防ぐシェードガイ。

「ぬおう!!」

 シェードガイからの拳を右手の青き剣で防ぐ

「ラァタァーーーー!!」

 真上からオモシが両腕のハンマーを振り被って襲い掛かって来た。

 とっさに右足を上げるロードは、オモシの顎に蹴りを放ってその場で前転する。そうするとオモシの頭が蹴りを入れられたまま地面に激突する。

「ふん!!」

 前転で背中を見せた際、シェードガイは拳を振るってきたが、ロードは攻撃を見落とさない。

 ブンと剣を振り、横一閃に薙いだ。

 しかしその剣はシェードガイには当たらない。まるで軟体生物のように背中を後ろへ反らす。

 しかし、それを隙と見たロードはもう一方の剣でシェードガイの下半身を狙うが、

 ブンと振られる横一閃を柔らかい下半身を引っ込めて攻撃を躱す。

「これしきーー!」

 オモシが態勢を整えた。そしてハンマーのような手で襲い掛かる。

 ドオーーーーンと音を地面に鳴らせたが、ロードには当たらなかった。

 しかし後ろに下がったことでシェードガイの間合いに入り、

「軟体ホールド」
 
 軟体動物のような手足が、ロードの手足に絡みついてきた。

「オモシやってしまえ!!」

 完全に動けずにいるロード、ガッチリと身体が硬められていた。

「でかしたぞ! シェードガイ!」

 ハンマーのような両腕を振り被っていくオモシ。

「ナックルハンマー!!」

「お前の力を見せてみろミチル」

 ピンチにも関わらず青き剣の能力に縋った。

 その時、青き精霊の剣がロードの手元を離れて、シェードガイの横腹へと勝手に突き刺さった。

「――――っ!!」

 その攻撃に耐えかねたシェードガイは、ガッチリホールドを解いてしまう。

 シュルシュルと手足が解放されたロードは、手元から離れた青き剣を掴み取り、引き抜いてオモシを一閃に切り裂いた。

「おっ?」

 腕や首が切断されていく。そしてオモシは霧散化していった。

 その場でぐるりと回り、ロードはシェードガイを狙う。

「このインチキヤローがあああ!!」

 ズイッと立ち向かうシェードガイだが、二本の剣を持つロードは、貝殻の鎧で覆われていない部位を切断され、

「おおおおああああああ!!」

 霧散化していくシェードガイだった。

「…………」

 終わった戦いを後に魔物狩り達の方を見るロード。

「ロードこっちは俺たちに任せろ!」

 バスタードさんが近づいてきた。

「オモシにシェードガイ、B級か、かなりの大物を一人で仕留めたか……」

「バスタードさん、スワンを見かけませんでしたか? そちらの方へ向かったはずなんですが……」

「見ていない、不味いなこんなとこで一人で迷うのは……」

「オレはスワンを探します」

「お前なら一人でも大丈夫か……分かったこっちも見かけたら保護する」

「助かります。では――――」

 ロードはスワンの走って行った方向へと目指していくのであった。
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