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第五章 絆をはぐくんだ三人はいざ戦いへ
第208話 ロードたちの役目
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「精霊の術は今見ていたが、そちらのA級魔物狩りはどうなんだ見たところ胸にはメダルがついていないみたいだが、隣の男はプラチナメダルを付けているが……」
「ん? ああ、オレなら既に魔王を――――!?」
ロードがアグロ―ニやフォッテイルを退けた話をしようとすると、
「いや~~実は新人の魔物狩りなんですよ~~」
ハズレが誤魔化した。
「ハズレ?」
対応の意図が読めないロードが訊いてきた。
「ロードは少し黙っていてくれ、ここで魔王を倒したなんて言ったら不審がられる。信用されるために耐えるんだ」
「しかし、黙っている訳には……」
「オーイワの人たちを救いたいんだろ」
「――――っ!? 分かった任せる」
ハズレとロードの小さな会話が終わった。
「A級の魔物を一人で狩った? 大層な経歴だが胸にランクメダルがついてやしないじゃないか。アリの様な魔物を倒して来たんじゃないのか。どうだバスタード殿」
アンダ戦士長が粘着して来る。
「そのような魔物は聞いたことも見たこともありません。彼が倒したのはフレアザーズ二頭一対の魔物」
目を閉じるバスタード。
「彼の能力については我が保証しよう先日我が隊にお力を貸してくれたのは彼のことだ」
ゲンガ戦士長もフォローに回る。
「まさか25体の魔物をただの一撃で倒したという話の……」
大臣の一人が口を零す。
「それだけではありませんあのタテトルの強固な甲羅に消えぬ傷をつけたほどの腕前です」
ゲンガ戦士長は付け足す。
「なんとあのタテトルに傷を……」
驚くギンゴ戦士長。
「ほう」
興味深げに話を聞く最強の男グレイド。そして、
(25体の魔物を一撃で……まさか秘宝玉か)
そう思っていた。
「それが本当なら実に頼もしい」
縦に長い帽子を被っている大臣が言う。
「あのタテトルに傷をつ得られるものがいたとは……」
髪の薄い大臣が感想を漏らす。
「して、バスタード殿はどのように奇襲を?」
「まず夜間に奇襲することが前提です。これで魔物たちの目を少しでも欺きます。次に侵入経路ですが以前ギンゴ殿の話にあった城内からの脱出経路を逆にたどり侵入します。中から敵が出てきたとあればバカデカテも全ての把握することは極めて困難になるでしょう。そしてここで3手に分かれます。街で魔物と戦い退路を確保する隊と、城で捕虜を解放しその後、戦う隊です。脱出経路さえあれば捕虜をすみやかに迅速に対応できるのでしょう。そして迅速に魔王を討ちに行く隊。この3つに分かれます」
「お言葉ですが夜間に行ったところで国周辺はとても暗くほとんど見えません。アイツらには我々と違い魔物の目があります。火を灯せば見つかりやすくなります脱出の出口まで行くには難しいです」
アサヒ偵察隊長がそう言う。
「それについては先ほど紹介したロードの出番です。その前にハズレ・マスカレードの持つ裏切りの瞳というのを知っていておいてください」
この時、
(えっオレの裏切りの瞳?)
ハズレはそう思っていた。
バスタードの一言に会議場はざわめく。
「彼の持っている裏切りの瞳という代物は近くに魔物がいると感知することが出来るのです」
「何と!」
大臣の一人が驚く。
「それさえあれば確実に魔物を避け森を進行できるでしょう」
「おおそんな代物があるとは……」
縦に長い帽子を被った大臣が言う。
「ならば奇襲の件は再検討するということで……」
髪の薄い大臣も口を動かす。
「その裏切りの瞳を彼にロード・ストンヒューに託すんです」
(その作戦の方がいいか)
ハズレもその作戦に乗ることにした。
「しかしタテトルへ唯一対抗できる彼を奇襲部隊に配属させるのですかな」
一人の大臣がぼやく。
「別のものが瞳を持てばよいのでは?」
もう一人の大臣は口を挟む。
「ふむ、確かにロードくんは作戦の切り札になり得るかもしれない」
メルクエム王が言う。
「いいや、奇襲にはロードが行くべきです。相手は魔王だ力の温存なんてせず一気に畳みかけた方がいい」
抗議したのはハズレだった。
「ふむ」
興味深げに聞く最強の男グレイド。
「それにこのロードには他のものと違い特別な力があります。他者に生命力や体力といったものを分け与える。疲れた味方や傷を負った味方に何度も戦いに復帰させることもできるのです。まぁ体力が尽きるまでですが……本拠地であるここメルクエムから離れて戦う奇襲部隊にとっては彼の存在が大いに役立つでしょう」
「うむ、では、ロードは奇襲部隊に配属させよう。これにて奇襲は――」
メルクエム王の言葉をギンゴは遮った。
「待ってください。まだ問題はあります。オーイワ国の脱出口です。アレは内部から出るものであって外部から中へ入ることは出来ません」
「誰かが内部に潜入し、その仕掛けを解いてくれればよいのでは?」
ミンド戦士長はそう言った。
「バカデカテ相手に……そんなことが出来るとは思えません」
ゲンガ戦士長が言う。
「バスタード殿のことだ……中央地までそのロードという者が裏切りの瞳をもちろん一人で行かせるのではないか? 外ならともかく中央地の中は魔物だらけだろうがな」
アンダ戦士長が言う。
「いえそれについては彼の役目ではありません。彼女に潜入してもらいます」
バスタードはスワンを紹介するように言った。
「ん? ああ、オレなら既に魔王を――――!?」
ロードがアグロ―ニやフォッテイルを退けた話をしようとすると、
「いや~~実は新人の魔物狩りなんですよ~~」
ハズレが誤魔化した。
「ハズレ?」
対応の意図が読めないロードが訊いてきた。
「ロードは少し黙っていてくれ、ここで魔王を倒したなんて言ったら不審がられる。信用されるために耐えるんだ」
「しかし、黙っている訳には……」
「オーイワの人たちを救いたいんだろ」
「――――っ!? 分かった任せる」
ハズレとロードの小さな会話が終わった。
「A級の魔物を一人で狩った? 大層な経歴だが胸にランクメダルがついてやしないじゃないか。アリの様な魔物を倒して来たんじゃないのか。どうだバスタード殿」
アンダ戦士長が粘着して来る。
「そのような魔物は聞いたことも見たこともありません。彼が倒したのはフレアザーズ二頭一対の魔物」
目を閉じるバスタード。
「彼の能力については我が保証しよう先日我が隊にお力を貸してくれたのは彼のことだ」
ゲンガ戦士長もフォローに回る。
「まさか25体の魔物をただの一撃で倒したという話の……」
大臣の一人が口を零す。
「それだけではありませんあのタテトルの強固な甲羅に消えぬ傷をつけたほどの腕前です」
ゲンガ戦士長は付け足す。
「なんとあのタテトルに傷を……」
驚くギンゴ戦士長。
「ほう」
興味深げに話を聞く最強の男グレイド。そして、
(25体の魔物を一撃で……まさか秘宝玉か)
そう思っていた。
「それが本当なら実に頼もしい」
縦に長い帽子を被っている大臣が言う。
「あのタテトルに傷をつ得られるものがいたとは……」
髪の薄い大臣が感想を漏らす。
「して、バスタード殿はどのように奇襲を?」
「まず夜間に奇襲することが前提です。これで魔物たちの目を少しでも欺きます。次に侵入経路ですが以前ギンゴ殿の話にあった城内からの脱出経路を逆にたどり侵入します。中から敵が出てきたとあればバカデカテも全ての把握することは極めて困難になるでしょう。そしてここで3手に分かれます。街で魔物と戦い退路を確保する隊と、城で捕虜を解放しその後、戦う隊です。脱出経路さえあれば捕虜をすみやかに迅速に対応できるのでしょう。そして迅速に魔王を討ちに行く隊。この3つに分かれます」
「お言葉ですが夜間に行ったところで国周辺はとても暗くほとんど見えません。アイツらには我々と違い魔物の目があります。火を灯せば見つかりやすくなります脱出の出口まで行くには難しいです」
アサヒ偵察隊長がそう言う。
「それについては先ほど紹介したロードの出番です。その前にハズレ・マスカレードの持つ裏切りの瞳というのを知っていておいてください」
この時、
(えっオレの裏切りの瞳?)
ハズレはそう思っていた。
バスタードの一言に会議場はざわめく。
「彼の持っている裏切りの瞳という代物は近くに魔物がいると感知することが出来るのです」
「何と!」
大臣の一人が驚く。
「それさえあれば確実に魔物を避け森を進行できるでしょう」
「おおそんな代物があるとは……」
縦に長い帽子を被った大臣が言う。
「ならば奇襲の件は再検討するということで……」
髪の薄い大臣も口を動かす。
「その裏切りの瞳を彼にロード・ストンヒューに託すんです」
(その作戦の方がいいか)
ハズレもその作戦に乗ることにした。
「しかしタテトルへ唯一対抗できる彼を奇襲部隊に配属させるのですかな」
一人の大臣がぼやく。
「別のものが瞳を持てばよいのでは?」
もう一人の大臣は口を挟む。
「ふむ、確かにロードくんは作戦の切り札になり得るかもしれない」
メルクエム王が言う。
「いいや、奇襲にはロードが行くべきです。相手は魔王だ力の温存なんてせず一気に畳みかけた方がいい」
抗議したのはハズレだった。
「ふむ」
興味深げに聞く最強の男グレイド。
「それにこのロードには他のものと違い特別な力があります。他者に生命力や体力といったものを分け与える。疲れた味方や傷を負った味方に何度も戦いに復帰させることもできるのです。まぁ体力が尽きるまでですが……本拠地であるここメルクエムから離れて戦う奇襲部隊にとっては彼の存在が大いに役立つでしょう」
「うむ、では、ロードは奇襲部隊に配属させよう。これにて奇襲は――」
メルクエム王の言葉をギンゴは遮った。
「待ってください。まだ問題はあります。オーイワ国の脱出口です。アレは内部から出るものであって外部から中へ入ることは出来ません」
「誰かが内部に潜入し、その仕掛けを解いてくれればよいのでは?」
ミンド戦士長はそう言った。
「バカデカテ相手に……そんなことが出来るとは思えません」
ゲンガ戦士長が言う。
「バスタード殿のことだ……中央地までそのロードという者が裏切りの瞳をもちろん一人で行かせるのではないか? 外ならともかく中央地の中は魔物だらけだろうがな」
アンダ戦士長が言う。
「いえそれについては彼の役目ではありません。彼女に潜入してもらいます」
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