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第四章 酒場の情報から精霊石や馬を手に入れて旅をする
第181話 反省会とこれから
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ルール―街・近隣の道。
レース後のロードは何かに乗っていた。
スイスイと進むその乗り物に全く揺れる気配がない。
「……ん? ううん?」
ロードは気持ちのいい眠気から目を覚まそうとしていた。
「ん? ここは……?」
ロードは目を覚ました。そこはどうやらスワンの荷船の上らしい。暗がりの景色が見えて来たので、どうやら夜に差し掛かっている頃合いらしかった。
「起きたかいロード……? スワンさん、ロードが起きたよ」
ハズレは荷船に腰を下ろしていたようだった。
「えっホント?」
スワンがドルちゃんに乗りながら訊いて来ていた。
「おはようスワン」
ロードは声を掛けた。
「おはようじゃなくて、もうこんばんわの時間なんだけど……」
スワンが指摘する。
「どうしてオレは寝ているんだ? レース会場にいたんじゃなかったのか?」
誰でもいいから答えてくれという問だった。
「キミはレースの表彰式の後、ディホースに乗ってまた気絶して、落馬したのさ」
ハズレが答えた。
「そして、ハズレがロードを担いで荷船のあるところまで来てくれて、乗せてくれたって訳」
スワンが答えた。
「そうか、また気絶したのか……」
「記憶はどこまで覚えているんだい?」
「えっと、ディホースに乗って会場の外へ出ようとしたところだな……そうだところでディホースは?」
「荷船の後ろに買った時についてきた檻があるでしょ、今は大人しくそこで眠っているから、あなたのことずっと心配していたみたい……でしょハズレ……?」
「ああ、餌をあげようとしてニンジンを渡したんだが、ロードの方にニンジンを食べさせようとしていた」
「そうか……」
少し嬉しそうなロードだった。
「それでどうして一位を逃したのかそろそろ聞かせてくれない?」
「ああ、最初の半分は捨て試合なものさ後半から一気に一位まで追い上げようとしたのさ……」
ハズレがそう切り出した。
「その作戦誰がたてたの?」
「もちろんオレさぁ、ロードの風よけになって一位まで突っ走り体力を温存したロードが一気に一位を追い越すって言うシナリオだったんだが……」
「だが?」
スワンが質問する。
「面目ないオレが気絶して落馬してしまったお陰で一位を逃した」
「いや、キミの疲れを計算に入れていなかったオレの痛恨のミスだよ……そんなに自分を責めないでくれ」
「一位はどのみち取れなかったと思うよ」
スワンが一石を投じた。
「「――?」」
「だってあのレイアル・スライダーってレース王、すぐにロードに追いついて抜かして行ったもん。もし作戦通りにロードが気絶しなくても一位は無理だったんじゃないかなぁ」
客観的な視点を持ったスワンがそう言う。
「「そうか~~完全に負けてたのか~~」」
二人はやっと肩の荷が下りたみたいにくつろぎ始めた。
「それでロード、もう一個質問なんだけど、ディホースはどうなるの? 約束通り野原に放し飼いにして逃がすつもり?」
「ああ、そのことか……オレも気になっていたんだよな。ぜひ聞かせてくれないか?」
「ああ、その話ならディホースはオレたちの旅に同行したいんだとさ……スワンどうする? 許してくれるか?」
「許すも何もあなたの馬でしょ? 責任を持って飼えるのならわたしは連れて行っても構わないから」
「そうか……ありがとう」
「……うん」
ドルちゃんに乗って背中越しに答えるスワン。
「それからごめん」
「何が? ごめんなの?」
「優勝して1500枚金貨獲得できなくて……」
「そんなの期待してなかったよ……」
内心では期待していたスワンだった。
「フフフ、期待してないはずないだろ? あの怒涛のレース現場を見ちゃったら」
ハズレが茶化すように言う。
「……ホントごめん」
「だから私は気にしてないって、そんなことより明日も二日酔いの人物狙っておいしい水を売りだすんだから手伝ってよね」
「ああ……わかった」
ロードは落ち込んでいた表情をキリッと切り替えた。
「いい彼女さんじゃないかロード、大切にしなよ」
「か、彼女!? 違っ!? わたしとロードは彼氏彼女の関係じゃない!」
魚のように逃げ出したいスワンであった。
「即否定は傷つくな……」
ショックを受けるロード。
「――だって、本当に付き合ってないんだもん」
意地になって否定のスワン。
「そうだったのか? 傍から見れば二人はカップルにしか見えなかったけど……」
「う~~~~ん」
顔を赤らめるスワンであった。
「それより今どこへ向かっているんだ。もう夜も近いここらで野宿でもする気か?」
「違うルール―街に向かっているんだ……」
答えたのはハズレだった。
「ルール―街って確か酒場のある街だったよな?」
「そう、酒場のマスターに今回の一連の旅を聞かせたくなったのさ……」
「そうか」
一行はルール―街へと向かって行った。
レース後のロードは何かに乗っていた。
スイスイと進むその乗り物に全く揺れる気配がない。
「……ん? ううん?」
ロードは気持ちのいい眠気から目を覚まそうとしていた。
「ん? ここは……?」
ロードは目を覚ました。そこはどうやらスワンの荷船の上らしい。暗がりの景色が見えて来たので、どうやら夜に差し掛かっている頃合いらしかった。
「起きたかいロード……? スワンさん、ロードが起きたよ」
ハズレは荷船に腰を下ろしていたようだった。
「えっホント?」
スワンがドルちゃんに乗りながら訊いて来ていた。
「おはようスワン」
ロードは声を掛けた。
「おはようじゃなくて、もうこんばんわの時間なんだけど……」
スワンが指摘する。
「どうしてオレは寝ているんだ? レース会場にいたんじゃなかったのか?」
誰でもいいから答えてくれという問だった。
「キミはレースの表彰式の後、ディホースに乗ってまた気絶して、落馬したのさ」
ハズレが答えた。
「そして、ハズレがロードを担いで荷船のあるところまで来てくれて、乗せてくれたって訳」
スワンが答えた。
「そうか、また気絶したのか……」
「記憶はどこまで覚えているんだい?」
「えっと、ディホースに乗って会場の外へ出ようとしたところだな……そうだところでディホースは?」
「荷船の後ろに買った時についてきた檻があるでしょ、今は大人しくそこで眠っているから、あなたのことずっと心配していたみたい……でしょハズレ……?」
「ああ、餌をあげようとしてニンジンを渡したんだが、ロードの方にニンジンを食べさせようとしていた」
「そうか……」
少し嬉しそうなロードだった。
「それでどうして一位を逃したのかそろそろ聞かせてくれない?」
「ああ、最初の半分は捨て試合なものさ後半から一気に一位まで追い上げようとしたのさ……」
ハズレがそう切り出した。
「その作戦誰がたてたの?」
「もちろんオレさぁ、ロードの風よけになって一位まで突っ走り体力を温存したロードが一気に一位を追い越すって言うシナリオだったんだが……」
「だが?」
スワンが質問する。
「面目ないオレが気絶して落馬してしまったお陰で一位を逃した」
「いや、キミの疲れを計算に入れていなかったオレの痛恨のミスだよ……そんなに自分を責めないでくれ」
「一位はどのみち取れなかったと思うよ」
スワンが一石を投じた。
「「――?」」
「だってあのレイアル・スライダーってレース王、すぐにロードに追いついて抜かして行ったもん。もし作戦通りにロードが気絶しなくても一位は無理だったんじゃないかなぁ」
客観的な視点を持ったスワンがそう言う。
「「そうか~~完全に負けてたのか~~」」
二人はやっと肩の荷が下りたみたいにくつろぎ始めた。
「それでロード、もう一個質問なんだけど、ディホースはどうなるの? 約束通り野原に放し飼いにして逃がすつもり?」
「ああ、そのことか……オレも気になっていたんだよな。ぜひ聞かせてくれないか?」
「ああ、その話ならディホースはオレたちの旅に同行したいんだとさ……スワンどうする? 許してくれるか?」
「許すも何もあなたの馬でしょ? 責任を持って飼えるのならわたしは連れて行っても構わないから」
「そうか……ありがとう」
「……うん」
ドルちゃんに乗って背中越しに答えるスワン。
「それからごめん」
「何が? ごめんなの?」
「優勝して1500枚金貨獲得できなくて……」
「そんなの期待してなかったよ……」
内心では期待していたスワンだった。
「フフフ、期待してないはずないだろ? あの怒涛のレース現場を見ちゃったら」
ハズレが茶化すように言う。
「……ホントごめん」
「だから私は気にしてないって、そんなことより明日も二日酔いの人物狙っておいしい水を売りだすんだから手伝ってよね」
「ああ……わかった」
ロードは落ち込んでいた表情をキリッと切り替えた。
「いい彼女さんじゃないかロード、大切にしなよ」
「か、彼女!? 違っ!? わたしとロードは彼氏彼女の関係じゃない!」
魚のように逃げ出したいスワンであった。
「即否定は傷つくな……」
ショックを受けるロード。
「――だって、本当に付き合ってないんだもん」
意地になって否定のスワン。
「そうだったのか? 傍から見れば二人はカップルにしか見えなかったけど……」
「う~~~~ん」
顔を赤らめるスワンであった。
「それより今どこへ向かっているんだ。もう夜も近いここらで野宿でもする気か?」
「違うルール―街に向かっているんだ……」
答えたのはハズレだった。
「ルール―街って確か酒場のある街だったよな?」
「そう、酒場のマスターに今回の一連の旅を聞かせたくなったのさ……」
「そうか」
一行はルール―街へと向かって行った。
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