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第四章 酒場の情報から精霊石や馬を手に入れて旅をする

第164話 飲料店の繁盛

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 上空。
 アカに乗って高速移動している最中にハズレとスワンに話しかけられるロード。

「ロードォ! キミは一体何者だ!」

「勇者だよ」

「このドラゴンが前に言っていた友達の竜なわけ!?」

「そうだけど……あまりしゃべらない方がいいぞ二人共、舌を噛むからな」

 ロードは完全にアカに乗り慣れていた。

「おい見えて来たぞヤマダシオだ!」

 そうこうしている間にヤマダシオの街が見えて来てハズレが叫んだ。

「アカ! あの丘に着陸してくれ!」

「ダメ! 何人かの人が見える! 竜を見たらきっとビックリして大騒ぎになる!」

「じゃあその辺りの森の着陸してくれ!」

「わかった……」


 ▼ ▼ ▼


 ヤマダシオ・近隣の森。
 アカはまず手に持っていた荷船をゆっくり下ろし、ハズレとスワンが降りやすい態勢を取った。
 ロードが飛び降り、ハズレスワンの順番で降りてくる。
 
「今回はここまででいいご苦労さまアカ」

「ああでは我はまた眠りにつくとしよう。ハズレ、スワン、また会おう」

 そしてアカは竜封じの剣に姿を戻した。

「その剣に竜が封じ込めてあるのは本当だったんだ……」

 スワンは未だ信じられないものを見ているかのような目を向けていた。

「さて、本当に2時間で着いてしまったが……これからどうする馬乗レースは2日後だぞ」

 ハズレは冷静に宣告する。

「それまではのんびりと飲料店でも繁盛させないか……?」

 ロードが提案する。

「さんせー!」

 スワンは乗ってくれた。

「飲料店? 赤い竜に荷船を透明にさせる指輪、キミたち本当に何者だよ」

 ハズレは不思議そうな目で二人を見ていた。


 ▼ ▼ ▼


 ヤマダシオ・街の中。

「おいし水はいかがですか! 甘くておいしい水はいかがですか!」

 スワンがドルちゃんに乗りながら客引きしていた。

「うう、二日酔いなんだ。一杯水をくれないか」

「は~~い、少々お待ちください」

 スワンはドルちゃんから降りて、店に保存されたおいしい水を一杯注いでいく。

「おいしいおいしいフルーツのジュースもありますよ! いかがですか!」

 ロードも負けずと客引きをしていた。

「フルーツのジュースってなんだい?」

 ハズレが訊いてきた。

「フルーツから果汁を絞り出した飲み物のことさ」

「へ~~お金を払うから一杯くれないか?」

「わかった。じゃあここに書いてあるメニューから選んでくれ」

 ゼンワ語で書かれた文字でハズレは読めるかどうか気になったが、どうも読めたようで、

「じゃあこのレモン水をくれないか?」

「わかった待っていろ」

 ロードも店に保存されていたレモンをすぐに搾り機で搾り、おいしい水を少々加えてジュースの完成させた。

「はいどうぞ赤銅貨10枚です。冷たい間にお召し上がりください」

「ああ、ありがとう」

 ハズレは赤銅貨10枚を払う。そして一口味見する。

「すっぱ! それと甘すぎないか?」

「そう言う飲み物なんだ。不味いか?」

「不味くはないけど、酒やワインを飲みなれた下には物足りないな」

「ロードォ! 突っ立ってないで手伝って、おいしい水10杯の注文だよ!」

「わかった今用意する」

 この時ハズレは、
(もっと幅広い商品を出さないと……甘いだけの客引きじゃあすぐに店が廃れるぞ)
 と思っていた。

 しかしハズレの分析とは異なり、今回昼までの収入は赤銅貨3000枚越えの売り上げを達成した。

「やったーー今回のおいし水は売り切れた!」

 スワンが大喜びしていた。

「ジュースの方は売れ残ってしまったか、はぁ~~」

 冷蔵保存されたフルーツたちを見て落ち込むロードだった。

 この時、
(マジか、水の方が売り切れたか!?)
 とハズレは思っていた。

「赤銅貨3000枚も売り上げるなんて銀貨30枚レベルの売り上げじゃない黒字だ黒字」

 スワンが水を得た魚のように飛び跳ねた。

「凄い売り上げだな金閣寺で武器を買えるレベルだぞ」

 ハズレが言い出した。

「水は殆どタダなレベルだからこれは凄いことなんだぞ……」

 ロードが言い放った。

「へ~~考えたもんだなぁ、酒飲み世界で二日酔いの連中相手に水を売るなんて、朝方に商売してよかったな」

「えっ!? そう言うことだったの? 皆、ビールやお酒の酔い覚ましで買っていたの?」

「それはそうだろ? 気が付かなかったのか?」

「「全然……」」

 スワンもロードも気づいていなかった

「水また汲んでこないとな~~」

 ロードが呟く。

「そうね、もう一度この売り上げを出したいからあとで水を汲みに行きましょう。でもまずは昼食にしましょう」

 スワンを先頭に荷船が進みゆく。

「ヒヒ―ンヒヒ―ン!」

 その時、ロードは耳にしていた。そして黒馬の姿をその目に捉えていた。
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