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第三章 素晴らしき飲料店で働き始めます
第146話 いざ、異世界への新たな旅へ
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フルケット村・近隣の森。
フルーツの祭典も終わり夕方頃には村もお祭りを開始していた。
「お祭り、寄って行かないのか?」
スワンについて来ていたロードが訊く。
「うん、わたしは早く借金返して一人前の飲料店を開かないといけないから……チェーン店もたくさん出すよ」
スワンは隠者の指輪で隠していた荷船を現した。
「そうか……スワンには夢があるんだったな」
ロードが呟くと、スワンは今度、右手中指の指輪にキスをしてドルちゃんを出現させる。クパパパパパパパパパとドルちゃんは鳴いていた。
「その水で出来たイルカのような生き物はもしかして精霊か?」
「まぁ今さら隠してもしょうがないか、そう、ドルちゃんは精霊だよ」
「そうか…………」
名残惜しそうに見つめるロードだった。
「じゃあここでお別れね」
「ちょっと待ってくれ、オレも一緒に同行させてくれないだろうか……?」
「ん? わたしの旅について行きたいって言うの?」
「ああ、そうだ!」
「やめてあなたの夢は何? 最魔の元凶を倒す旅でしょ? わたしは違う飲料店で無限大世界を渡り歩いて有名になることなの……だから、あなたの夢は手伝えない」
「どうしてだ? 最魔の元凶を倒せば無限大世界の魔王をどうにかできるんだろ?」
「前にも言ったけどあくまで噂だから、それにわたしは戦闘が好きじゃないし、魔王と何て戦って命を散らすリスクなんて負いたくない」
「嘘だな……」
「どうしてそう思うの?」
「だってお前は今日、魔王フォッテイルの元へ帰って来たじゃないか」
「――――!?」
今度はスワンの息が詰まる。
「お前だってできる事なら、最魔の元凶を何とかしたいと思っているんだろう? 違うか?」
「違う今日はたまたまだった……」
「いいやオレたちは協力し合えると思う」
「…………」
スワンが真っ直ぐと見つめてくるロードの目を見ていた。
「それにオレはこの飲料店というものが気に入った。ぜひ同行させてほしい」
「気に入ったって何が?」
「おいしい水で皆を笑顔にできるからさぁ」
「そう、でもそんな興味本意でわたしの船には乗れないから」
「じゃあこれならどうだ……」
「何?」
「今日のようにジュースで人々を幸せな気持ちにしたいと言ったら乗せてくれるか?」
「じゅ、ジュースを作る気?」
「ああ、いいアイディアだろう?」
「……………………」
「どうしたスワン?」
「いえ、昔であった男の子の話、覚えているかな?」
「ああ、泣き虫な男の子のことだろう?」
「昔ねその子も言っていた? こんなおいし水で人々を幸せにできるならいい夢だなって」
「そうか」
「――――わかった荷船に乗せてあげる」
「ほ、本当か!?」
「ただし、給料は安いから」
「いい、食事だけがつくのならそれだけでいい」
「しごき倒してあげるから」
「ああ、おいしいジュースはどんどん作るぞ」
「そしてこれだけは約束して……」
「なんだ?」
「もし、とんでもなく強い魔王が来たらそいつを追い払うか、打ち倒すかして……精霊の術を使う私をそいつらから守って……」
「心得たこの命に代えても守って見せるぞ」
「ふふ……ふふふふふふ」
「なんだなんだ? 何かおかしなこと言ったか?」
「いいえ、言ってない。ただ、ちょっとあなたはが変わり者なだけ」
「オオカミの友達にも言われた」
「さぁ、そうと決まれば荷船に乗って次の異世界に出発するから……」
「もう出発するのか? せめて祭りで楽しんでから行かないか?」
「何を言ってるの? 借金があるって言ったじゃない、今すぐにでも返さないと利子って言うのがどんどん上がって来るんだから」
「りしってなんだ?」
「借りたお金の返済額に上乗せされて返さないといけないお金の事、しかも返さなかった期間に応じてどんどん膨れ上がっていくの」
「へ~~じゃあ急いで返さないと」
「そう、だから出発するの」
「どうやって異世界に行くんだ?」
「もちろん、荷船に乗って異世界の狭間を大波超えて、荒波超えてでしょ」
「危険なのか?」
「大丈夫、言ったでしょ50の異世界は周って来たからって、ドルやんの操縦には自信もあるし免許だってここにある」
スワンが懐から出した免許カードを見せてくる。
「めんきょ?」
「今度詳しく教えてあげる」
そう言いながらドルちゃんの背中に跨るスワンであった。
「さぁ荷船に乗って次の異世界へ出発するから」
「わかった」
ロードは荷船へと飛び乗った。
その時スワンとドルちゃんの目の前の空間に大きな穴が開かれた。
「これは?」
「異世界の狭間へと飛び出す精霊の術による水のリング――ここを通って異世界の狭間へと船旅するの」
「そうか」
「それじゃあ次なる異世界に向けて出発するよ~~ドルちゃん」
「クパパパパパパパパパパパパパパパ」
スワンの合図を聞いたドルちゃんは荷船を牽いて、水のリングを通過していった。
(さようならフルーツの世界)
ロードは今の今までいた世界に別れを告げて旅立って行った。
その異世界ではロードのデラックスレインボーミックスジュースの話題で持ち切るとも知らずに旅立った。
これから始まるのはロードとスワンの長い長い異世界冒険譚である。
フルーツの祭典も終わり夕方頃には村もお祭りを開始していた。
「お祭り、寄って行かないのか?」
スワンについて来ていたロードが訊く。
「うん、わたしは早く借金返して一人前の飲料店を開かないといけないから……チェーン店もたくさん出すよ」
スワンは隠者の指輪で隠していた荷船を現した。
「そうか……スワンには夢があるんだったな」
ロードが呟くと、スワンは今度、右手中指の指輪にキスをしてドルちゃんを出現させる。クパパパパパパパパパとドルちゃんは鳴いていた。
「その水で出来たイルカのような生き物はもしかして精霊か?」
「まぁ今さら隠してもしょうがないか、そう、ドルちゃんは精霊だよ」
「そうか…………」
名残惜しそうに見つめるロードだった。
「じゃあここでお別れね」
「ちょっと待ってくれ、オレも一緒に同行させてくれないだろうか……?」
「ん? わたしの旅について行きたいって言うの?」
「ああ、そうだ!」
「やめてあなたの夢は何? 最魔の元凶を倒す旅でしょ? わたしは違う飲料店で無限大世界を渡り歩いて有名になることなの……だから、あなたの夢は手伝えない」
「どうしてだ? 最魔の元凶を倒せば無限大世界の魔王をどうにかできるんだろ?」
「前にも言ったけどあくまで噂だから、それにわたしは戦闘が好きじゃないし、魔王と何て戦って命を散らすリスクなんて負いたくない」
「嘘だな……」
「どうしてそう思うの?」
「だってお前は今日、魔王フォッテイルの元へ帰って来たじゃないか」
「――――!?」
今度はスワンの息が詰まる。
「お前だってできる事なら、最魔の元凶を何とかしたいと思っているんだろう? 違うか?」
「違う今日はたまたまだった……」
「いいやオレたちは協力し合えると思う」
「…………」
スワンが真っ直ぐと見つめてくるロードの目を見ていた。
「それにオレはこの飲料店というものが気に入った。ぜひ同行させてほしい」
「気に入ったって何が?」
「おいしい水で皆を笑顔にできるからさぁ」
「そう、でもそんな興味本意でわたしの船には乗れないから」
「じゃあこれならどうだ……」
「何?」
「今日のようにジュースで人々を幸せな気持ちにしたいと言ったら乗せてくれるか?」
「じゅ、ジュースを作る気?」
「ああ、いいアイディアだろう?」
「……………………」
「どうしたスワン?」
「いえ、昔であった男の子の話、覚えているかな?」
「ああ、泣き虫な男の子のことだろう?」
「昔ねその子も言っていた? こんなおいし水で人々を幸せにできるならいい夢だなって」
「そうか」
「――――わかった荷船に乗せてあげる」
「ほ、本当か!?」
「ただし、給料は安いから」
「いい、食事だけがつくのならそれだけでいい」
「しごき倒してあげるから」
「ああ、おいしいジュースはどんどん作るぞ」
「そしてこれだけは約束して……」
「なんだ?」
「もし、とんでもなく強い魔王が来たらそいつを追い払うか、打ち倒すかして……精霊の術を使う私をそいつらから守って……」
「心得たこの命に代えても守って見せるぞ」
「ふふ……ふふふふふふ」
「なんだなんだ? 何かおかしなこと言ったか?」
「いいえ、言ってない。ただ、ちょっとあなたはが変わり者なだけ」
「オオカミの友達にも言われた」
「さぁ、そうと決まれば荷船に乗って次の異世界に出発するから……」
「もう出発するのか? せめて祭りで楽しんでから行かないか?」
「何を言ってるの? 借金があるって言ったじゃない、今すぐにでも返さないと利子って言うのがどんどん上がって来るんだから」
「りしってなんだ?」
「借りたお金の返済額に上乗せされて返さないといけないお金の事、しかも返さなかった期間に応じてどんどん膨れ上がっていくの」
「へ~~じゃあ急いで返さないと」
「そう、だから出発するの」
「どうやって異世界に行くんだ?」
「もちろん、荷船に乗って異世界の狭間を大波超えて、荒波超えてでしょ」
「危険なのか?」
「大丈夫、言ったでしょ50の異世界は周って来たからって、ドルやんの操縦には自信もあるし免許だってここにある」
スワンが懐から出した免許カードを見せてくる。
「めんきょ?」
「今度詳しく教えてあげる」
そう言いながらドルちゃんの背中に跨るスワンであった。
「さぁ荷船に乗って次の異世界へ出発するから」
「わかった」
ロードは荷船へと飛び乗った。
その時スワンとドルちゃんの目の前の空間に大きな穴が開かれた。
「これは?」
「異世界の狭間へと飛び出す精霊の術による水のリング――ここを通って異世界の狭間へと船旅するの」
「そうか」
「それじゃあ次なる異世界に向けて出発するよ~~ドルちゃん」
「クパパパパパパパパパパパパパパパ」
スワンの合図を聞いたドルちゃんは荷船を牽いて、水のリングを通過していった。
(さようならフルーツの世界)
ロードは今の今までいた世界に別れを告げて旅立って行った。
その異世界ではロードのデラックスレインボーミックスジュースの話題で持ち切るとも知らずに旅立った。
これから始まるのはロードとスワンの長い長い異世界冒険譚である。
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