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第三章 素晴らしき飲料店で働き始めます
第129話 開幕フルーツの祭典
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フルケット村・フルーツの祭典場のレンガの塔。
「ふぅ~~~~これでジュースは完成したっと……あとは氷水で冷やしつつ雑菌が入らないように布を被せておこう」
とりあえずロードは完成した一品に布を被せた。
「ロード!! こんなところにいた……はぁ、はぁ……探したんだから」
背後からスワンに声が聞こえて来た。
「えっ何でスワンがこんなところに……」
「何でってレンガ塔の中に友人がいるんですって言ったら、あっさり通れたの」
「そうか……で今何時だ?」
「もう周りくらい見たら? あそこに時計が吊るされているでしょ?」
辺りを見回してみると壁に掛けられた時計を見つけた。
「11時59分か……あと一分で祭典が始まるか……?」
「料理の方は出来たの?」
「ああ、バッチリだ味見もちゃんとしてみたぞ」
「そう、じゃあフルーツの祭典はここから見ましょう、ここ塔の3階だし見晴らしはいいと思う」
レンガの塔にはいくつかの通気口があり、そこから外を眺めることが出来た。もちろんフルーツの祭典場もだ。
「ここから見えるのか、どれどれ」
「すっごい数の人これ全部フルーツの祭典を見に来ている人なのね」
「いよいよ始まるな」
◆ ◆ ◆ ◆
「えーーーーっと会場にお集まりの皆さまお待たせしました。これより年に一度のフルーツの祭典を執り行います」
司会者らしき人物が大声で祭典の音頭を取っていた。
『『『おおーーーーーーーー』』』
「まず今回の参加者なのですが前年度に加えて10人の参加者が増えましたこれは大変喜ばしいことです」
「10人増えたで喜ばしいの?」
レンガの通気口から会場を覗くスワンが訊いてきた。
「今回の参加者は50名くらいらしいってさ」
「なら優勝は十分狙えるかもね」
「どうかな、この祭典には前年度の優勝者も来ているみたいだし、そう簡単にいくとは思えない」
「けど、もう料理は決めているんでしょ?」
「ああ」
「なら、あとは審査員の舌や判断に委ねるしかないじゃない。もっと自分に自信を持ちなさい……? まったくそんな調子じゃあ、わたしが実験台になってあげた意味がないじゃない」
「やっぱり試作品はまずいものだったか? オレはすんなりと飲めたんだが……」
「まぁいいからそれより司会者の話を聞きましょう」
二人は再び目線を会場内へと移す。
「それで今回の優勝賞品は何と疲労回復、長寿の秘訣、健康維持とまで言われる。幻のフルーツ、ゴールデンアップル10個となりま~~す」
「――おい、司会~~去年も同じ賞品だったぞ」
『『『わははははははははははははははは』』』
会場は笑いの渦に包まれた。
「えっと残念ながら村に残された唯一のとりえそこは目をつぶっていただきたい」
そのやりとりを見ていたロードとスワンがこんな会話をしていた。
「アレがゴールデンアップルか」
「まるで絵本にでも出てきそうなリンゴね……?」
「実際そういう絵本を見たことがある」
「えっ何の絵本?」
「また今度教えてやる」
二人の会話はまたそこで切れる。
「さて皆さまお待ちかねかと思いますが、何と今年も審査委員を発表しようと思います」
パチパチと観客たちがまばらな拍手を送っていた。
「審査委員長はこの人、フルケット村の村長トロッピ氏だ、そして副審査委員長は奥さんのナニガシ氏だ」
「ん? あのおばあさん見覚えがあるぞ……」
ロードが吐露する。
「どこであったの?」
スワンが訊いてくる。
「フルケット村に着いてすぐさ、フルーツ一つで色々な話を聞かせてもらったよ」
「さぁお次はいつものメンツの紹介だ!」
司会者がレンガの塔の内部まで聞こえる声を出す。
「いつものメンツって審査委員長たちもいつものメンツだぞ!」
『『『わははははははははははははははは』』』
「仕方ないでしょこちとら盛り上げも大変なんだから!」
「いいから、早く紹介しなよ!」
「えーーーーゴホン! ではまず、フルーツ料理の味を舌鼓する味部門の審査員グルアキ氏、続いて紹介しますのが美しい見た目にしか全く興味のない見た目部門の審査員ビューナツ氏、更に最後の紹介です、斬新なアイデアを見るのが楽しみで楽しみで仕方のない発想部門の審査員ジャンハル氏です」
通気口から覗いていたロードたちはその面々の顔を見る。
「彼らが審査員か」
「なんか皆、気難しそうなのばかっりだけど」
「さてでは今回もエントリー形式で料理を運んでもらいましょう」
司会者がさり気なく重要ことを言う。
「エントリーナンバーは?」
さり気なくスワンが訊いてくる。
「一番最後だと思う」
「オオトリじゃん。けどそれはそうか、ここに着くのギリギリだったでしょうね。って言うかよく間に合ったよね。わたしここに来るまでに一時間くらいかかったけど……」
「屋根や壁を走っていたらギリギリ間に合った」
「えっ!? どんな身体能力してるわけ!?」
「まぁその話もいいじゃないか、ほら参加者が入場して来たぞ」
「では、フルーツの祭典の始まり始まり~~~~エントリーナンバー1番さんどうぞ」
司会者がそう言いながらエントリーナンバー1の参加者が料理を運んできた。
(せっかくのお祭りだ優勝して見せる)
ロードは固く決意するのであった。
「ふぅ~~~~これでジュースは完成したっと……あとは氷水で冷やしつつ雑菌が入らないように布を被せておこう」
とりあえずロードは完成した一品に布を被せた。
「ロード!! こんなところにいた……はぁ、はぁ……探したんだから」
背後からスワンに声が聞こえて来た。
「えっ何でスワンがこんなところに……」
「何でってレンガ塔の中に友人がいるんですって言ったら、あっさり通れたの」
「そうか……で今何時だ?」
「もう周りくらい見たら? あそこに時計が吊るされているでしょ?」
辺りを見回してみると壁に掛けられた時計を見つけた。
「11時59分か……あと一分で祭典が始まるか……?」
「料理の方は出来たの?」
「ああ、バッチリだ味見もちゃんとしてみたぞ」
「そう、じゃあフルーツの祭典はここから見ましょう、ここ塔の3階だし見晴らしはいいと思う」
レンガの塔にはいくつかの通気口があり、そこから外を眺めることが出来た。もちろんフルーツの祭典場もだ。
「ここから見えるのか、どれどれ」
「すっごい数の人これ全部フルーツの祭典を見に来ている人なのね」
「いよいよ始まるな」
◆ ◆ ◆ ◆
「えーーーーっと会場にお集まりの皆さまお待たせしました。これより年に一度のフルーツの祭典を執り行います」
司会者らしき人物が大声で祭典の音頭を取っていた。
『『『おおーーーーーーーー』』』
「まず今回の参加者なのですが前年度に加えて10人の参加者が増えましたこれは大変喜ばしいことです」
「10人増えたで喜ばしいの?」
レンガの通気口から会場を覗くスワンが訊いてきた。
「今回の参加者は50名くらいらしいってさ」
「なら優勝は十分狙えるかもね」
「どうかな、この祭典には前年度の優勝者も来ているみたいだし、そう簡単にいくとは思えない」
「けど、もう料理は決めているんでしょ?」
「ああ」
「なら、あとは審査員の舌や判断に委ねるしかないじゃない。もっと自分に自信を持ちなさい……? まったくそんな調子じゃあ、わたしが実験台になってあげた意味がないじゃない」
「やっぱり試作品はまずいものだったか? オレはすんなりと飲めたんだが……」
「まぁいいからそれより司会者の話を聞きましょう」
二人は再び目線を会場内へと移す。
「それで今回の優勝賞品は何と疲労回復、長寿の秘訣、健康維持とまで言われる。幻のフルーツ、ゴールデンアップル10個となりま~~す」
「――おい、司会~~去年も同じ賞品だったぞ」
『『『わははははははははははははははは』』』
会場は笑いの渦に包まれた。
「えっと残念ながら村に残された唯一のとりえそこは目をつぶっていただきたい」
そのやりとりを見ていたロードとスワンがこんな会話をしていた。
「アレがゴールデンアップルか」
「まるで絵本にでも出てきそうなリンゴね……?」
「実際そういう絵本を見たことがある」
「えっ何の絵本?」
「また今度教えてやる」
二人の会話はまたそこで切れる。
「さて皆さまお待ちかねかと思いますが、何と今年も審査委員を発表しようと思います」
パチパチと観客たちがまばらな拍手を送っていた。
「審査委員長はこの人、フルケット村の村長トロッピ氏だ、そして副審査委員長は奥さんのナニガシ氏だ」
「ん? あのおばあさん見覚えがあるぞ……」
ロードが吐露する。
「どこであったの?」
スワンが訊いてくる。
「フルケット村に着いてすぐさ、フルーツ一つで色々な話を聞かせてもらったよ」
「さぁお次はいつものメンツの紹介だ!」
司会者がレンガの塔の内部まで聞こえる声を出す。
「いつものメンツって審査委員長たちもいつものメンツだぞ!」
『『『わははははははははははははははは』』』
「仕方ないでしょこちとら盛り上げも大変なんだから!」
「いいから、早く紹介しなよ!」
「えーーーーゴホン! ではまず、フルーツ料理の味を舌鼓する味部門の審査員グルアキ氏、続いて紹介しますのが美しい見た目にしか全く興味のない見た目部門の審査員ビューナツ氏、更に最後の紹介です、斬新なアイデアを見るのが楽しみで楽しみで仕方のない発想部門の審査員ジャンハル氏です」
通気口から覗いていたロードたちはその面々の顔を見る。
「彼らが審査員か」
「なんか皆、気難しそうなのばかっりだけど」
「さてでは今回もエントリー形式で料理を運んでもらいましょう」
司会者がさり気なく重要ことを言う。
「エントリーナンバーは?」
さり気なくスワンが訊いてくる。
「一番最後だと思う」
「オオトリじゃん。けどそれはそうか、ここに着くのギリギリだったでしょうね。って言うかよく間に合ったよね。わたしここに来るまでに一時間くらいかかったけど……」
「屋根や壁を走っていたらギリギリ間に合った」
「えっ!? どんな身体能力してるわけ!?」
「まぁその話もいいじゃないか、ほら参加者が入場して来たぞ」
「では、フルーツの祭典の始まり始まり~~~~エントリーナンバー1番さんどうぞ」
司会者がそう言いながらエントリーナンバー1の参加者が料理を運んできた。
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