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第三章 素晴らしき飲料店で働き始めます

第114話 トローのイチゴで交渉成立

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 フルケット村・大通り

 ロードとスワンは紅茶カフェから、支払いも済ませ、出て来たところだった。

「さっきはありがとう。助かった……まさか果物が通過になる世界だなんて思いもよらなかった」

「スワン先輩は知らなかったのか」

「もう先輩はやめていいよ……威張って先輩面してただけだし、同じ旅仲間同士仲良くしましょう」

「お、おう(えらく態度が変わったな)」

「そうだもう失敗しないようにどこかの商店で果物買ってみましょうよ。本当に果物が物々交換で取引されているのなら見てみたいし……」

(やけに上機嫌だな)
(さっきはあんなに愛想がなかったのに)
(助けられたことで心を許してくれたのかな)

「階段でずっと止まってないで、早く行きましょうよ~~~~ロード」

「あ、ああ……」

 二人はまた村の大通りを移動するのであった。
 周囲にはテント張りした出店がいっぱいある。
 看板の紋様がどこもかしこも違うくせに売っているのは、どれもこれも同じような果物だった。

「店の選び方なら任せて、、、これでもアマチュア商人なんだから……」

 手を頭につけて背伸びをするスワン。

「あっ! いいところ見つけた! あそこに向かいましょう!」

「あそこってどこ――――おあ!?」

 思いっきり腕を引っ張られながら、人ごみの中を突き進んでいく。
 そこは丸い果物の紋様が描かれた出店だった。

「何でここのお店がいいのかな」

「シンプル・イズ・ザ・ベストこういう店の方が新鮮でおいしい果物が売っているはずだから」

「そういうモノなのか」

 ロードはとにかく品ぞろえを見ることにした。

「なるほどどれもこれもみずみずしい果物だ」

「おっ兄ちゃんわかってるねぇ~~そうさぁ~~うちの商品は毎日取れたての果物を扱っているからね~~どこも傷みがないのが売りなのさ」

「ねぇ見て見てロードこのマスクメロンなんかどうかしら……?」

 メロンにほおづりしながら訊いてくるスワン。

「マスクメロン?」

「知らないのメロンのこと……まぁいいけど、おじさんこれどれくらいの価値があるの?」

「そうだなぁうちは果物の質で売りさばいているからそっちの果物を見せてくれないと交渉の仕様がないな」

「わかった。ロード果物を見せてあげて」

「はいはい(何でスワンに仕切られているんだろう)」

とりあえず紙袋の果物を全部見せてみたが、

「こいつはダメだな。鮮度が悪いうちでは交換できないな……」

「え~~~~このバナナとかオススメなんだけど……」

 何故かスワンが交渉している。

「バナナならうちにはもっと新鮮なのがある。このバナナは殆ど熟しきっていて食べ時を見誤っている。悪いけど売り物にならない商品は物々交換しないことにしているんだ。売れ残りのようなバナナは取り扱えないなぁお嬢ちゃん、まぁバナナの一本や二本でマスクメロンは買えないけどね」

「ぐぬぬ~~」

 何故か悔しそうなスワン。

「新鮮な商品でしたら……」

 ロードは荷物袋を降ろしていた。そして中から出て来たのはパックに包まれた新鮮なイチゴ。あのスベリさんと言う人にもらったイチゴ20個を差し出してみる。

「――ッ!? こいつはすげぇトロ―のイチゴじゃないか!?」

「トロ―のイチゴそんなに有名なの?」

「有名も何も第11回目の、つまり去年のフルーツ祭典で優勝を着飾った果物さぁ」

「「ゆ、優勝!?」」

「何だいお前さんたち知らなかったのかい、、、うん、鮮度もいいし、色つやも悪くない。これならイチゴ1個でマスクメロンと交換してやれる」

「――えっ!? 1個でいいのか?」

「トロ―のイチゴはずっとずーーーーと南西へ行かなければ手に入らないんだ。ここから買い出しに往復しても往復で七日はかかっちまう。だから鮮度を保つのは難しくてオレは売ったことが無いんだ。けど、トロ―のイチゴか~~、よしサービスだ! 1個でここにある商品と1個づつ交換していかないか!?」

「じゃあそのブルーベリーとパイナップル、あとそれから……」

「交渉成立、まいどあり~~」

 こうして10個のイチゴを失ってしまったがまだ半分ある。紙袋を貰いマスクメロンやパイナップルを入れて出店を後にした。

 ▼ ▼ ▼

「何であんなに珍しいイチゴを持っていたの?」

「スベリさんって人にフルケット村までの道案内したら貰ったんだよ」

 二人でブルーベリーを摘まみながらいい店はないかと村を散策していた。
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