102 / 774
第三章 素晴らしき飲料店で働き始めます
第102話 勘違いから歓迎へ
しおりを挟む
足場の落差が激しい森の中を進み歩いていると、柵が歩みの邪魔をした。そして柵の内側には多くのどしっりとした木や変に曲がりくねった木が目に入る。どれもこれもおいしそうな実を宿していた。その奥には一軒の家があった。
(誰か住んでいるのだろうか……この世界のことを聞いても問題ないだろうか……?)
アカとの二人旅ではあったが、その相棒は今、世渡りの力を使ったことで弱り、眠りについていた。
(こんな所で足を止めていても仕方がない。とにかく訊いてみるか)
(柵沿いに行けば屋敷への入り口も見つかるだろう)
ロードがそう決断して歩みを進めたとたん、何かが足に引っ掛かった。
(ん? ワイヤーか?)
カランカランという木片と木片が掠れる音が響き渡り、屋敷の主と思われるオーバーオールに内側にシャツを着こんだ大男が出てくる。
「コラーーーー!! うちに実ったフルーツ泥棒め、今日こそ捕まえてやる!!」
(ちょ、誰か出て来たんだけど!? フルーツ泥棒じゃないし……)
(面倒事は避けるべきか? それとも正直に何もしていないと言うべきか?)
大男が門を開けて柵の外側、こちらに向かってやってくる。
(ここは正直に話してみよう。いざとなったらジョギングで鍛えた足腰で逃げるとするか……?)
「お前だな! 最近うちで実らせているフルーツを盗んでいく奴は――」
「違う何か誤解をしてないか? オレはロード別に怪しいものではない」
「嘘をつけ! こんな柵の近くまでやって来ておいて、今更オレは何もしていないだと? ふざけるな! フルーツ狙いの盗人め!」
「いやいや、オレはここを通りかかっただけだ。そちらの家のフルーツを狙いにやって来たわけではない」
「だったらその荷物の中身を見せてもらおうか! どうせ他の屋敷からもたんまりフルーツを盗んでいやがったんだろう! 嘘じゃないなら見せて見ろ!」
(貴重品の金貨はポケットの内側、まぁ荷物を見せて疑いが晴れるならそれに越したことはないだろう)
「わかりました。調べてください」
ロードは旅に必要なモノが入った荷物袋を大男に渡して、中身を確認させてやる。
「何だこれは……」
大男が尋ねて来た。
「それは火起こし石、そっちはサバイバル道具ツール、そっちは圧縮寝袋。まぁ大体そんな物かなぁ」
「くっ、こんなものでオレが騙されるものか! その胃袋に既にフルーツを詰め込んだ後であろう!」
その時、カランカランと音がした。また何かが大男の仕掛けた罠に引っ掛かったのだ。その正体が俺たちの前に現れる。
(えっ、おサルさん?)
木の上から飛び降りて来たのはフルーツをかじるおサルさんだった。
「コラーーーー!! フルーツ泥棒はお前だな! 返せこの猿めが!!」
ウキキィーーーーと言いながら逃げていくサル。それを追いかけていく大男であった。
数十分後、大男が戻ってくる。
「はぁ、はぁ……おやおやお兄さんまだいたのかい? てっきりこの場を離れたものかと思っていたのだが……」
「誤解されたまま、立ち去りたくなかったんですよ。フルーツ泥棒はさっきのおサルさんだったみたいですね」
この様子だとさっきのフルーツ泥棒には逃げられたのだろう。
「いや~~疑って済まなかった。お詫びに朝ごはんを食べていってくれないか? まだ朝餉がまだだったらの話だが……」
「えっ、いいんですか? じゃあお言葉に甘えようかな」
「どうぞどうぞ、ささこちらへ」
大男に連れられて屋敷の中へとお邪魔することにした。
(そういえば朝ごはんと言っていたな……この世界ではまだこの時間帯は朝なんだな……オレがいた異世界より少し時間の流れが遅いのだろうか……いや、それよりアカは何も食べなくても平気なんだろうか……?)
「ささ、玄関で靴を脱いで……」
「? 靴を脱ぐ?」
「そりゃ常識ではそうでしょ……うちの床を土まみれにする気ですか? ささ玄関で靴をお脱ぎなさい」
言われるがままに靴を脱いでみるロード。それは動物たちと暮らしていた時には考えられない常識だった。
(常識ねぇ……)
ロードたちは屋敷の廊下を進みゆく、そして大広間に出て長机の上には山のように積まれたフルーツが輝いていた。
「ささ、朝ごはんにしましょう、えっと確か……名前は?」
「ロードですよ」
こうしてロードは異世界に来て初めての朝ごはんを大男と共にするのだった。
(誰か住んでいるのだろうか……この世界のことを聞いても問題ないだろうか……?)
アカとの二人旅ではあったが、その相棒は今、世渡りの力を使ったことで弱り、眠りについていた。
(こんな所で足を止めていても仕方がない。とにかく訊いてみるか)
(柵沿いに行けば屋敷への入り口も見つかるだろう)
ロードがそう決断して歩みを進めたとたん、何かが足に引っ掛かった。
(ん? ワイヤーか?)
カランカランという木片と木片が掠れる音が響き渡り、屋敷の主と思われるオーバーオールに内側にシャツを着こんだ大男が出てくる。
「コラーーーー!! うちに実ったフルーツ泥棒め、今日こそ捕まえてやる!!」
(ちょ、誰か出て来たんだけど!? フルーツ泥棒じゃないし……)
(面倒事は避けるべきか? それとも正直に何もしていないと言うべきか?)
大男が門を開けて柵の外側、こちらに向かってやってくる。
(ここは正直に話してみよう。いざとなったらジョギングで鍛えた足腰で逃げるとするか……?)
「お前だな! 最近うちで実らせているフルーツを盗んでいく奴は――」
「違う何か誤解をしてないか? オレはロード別に怪しいものではない」
「嘘をつけ! こんな柵の近くまでやって来ておいて、今更オレは何もしていないだと? ふざけるな! フルーツ狙いの盗人め!」
「いやいや、オレはここを通りかかっただけだ。そちらの家のフルーツを狙いにやって来たわけではない」
「だったらその荷物の中身を見せてもらおうか! どうせ他の屋敷からもたんまりフルーツを盗んでいやがったんだろう! 嘘じゃないなら見せて見ろ!」
(貴重品の金貨はポケットの内側、まぁ荷物を見せて疑いが晴れるならそれに越したことはないだろう)
「わかりました。調べてください」
ロードは旅に必要なモノが入った荷物袋を大男に渡して、中身を確認させてやる。
「何だこれは……」
大男が尋ねて来た。
「それは火起こし石、そっちはサバイバル道具ツール、そっちは圧縮寝袋。まぁ大体そんな物かなぁ」
「くっ、こんなものでオレが騙されるものか! その胃袋に既にフルーツを詰め込んだ後であろう!」
その時、カランカランと音がした。また何かが大男の仕掛けた罠に引っ掛かったのだ。その正体が俺たちの前に現れる。
(えっ、おサルさん?)
木の上から飛び降りて来たのはフルーツをかじるおサルさんだった。
「コラーーーー!! フルーツ泥棒はお前だな! 返せこの猿めが!!」
ウキキィーーーーと言いながら逃げていくサル。それを追いかけていく大男であった。
数十分後、大男が戻ってくる。
「はぁ、はぁ……おやおやお兄さんまだいたのかい? てっきりこの場を離れたものかと思っていたのだが……」
「誤解されたまま、立ち去りたくなかったんですよ。フルーツ泥棒はさっきのおサルさんだったみたいですね」
この様子だとさっきのフルーツ泥棒には逃げられたのだろう。
「いや~~疑って済まなかった。お詫びに朝ごはんを食べていってくれないか? まだ朝餉がまだだったらの話だが……」
「えっ、いいんですか? じゃあお言葉に甘えようかな」
「どうぞどうぞ、ささこちらへ」
大男に連れられて屋敷の中へとお邪魔することにした。
(そういえば朝ごはんと言っていたな……この世界ではまだこの時間帯は朝なんだな……オレがいた異世界より少し時間の流れが遅いのだろうか……いや、それよりアカは何も食べなくても平気なんだろうか……?)
「ささ、玄関で靴を脱いで……」
「? 靴を脱ぐ?」
「そりゃ常識ではそうでしょ……うちの床を土まみれにする気ですか? ささ玄関で靴をお脱ぎなさい」
言われるがままに靴を脱いでみるロード。それは動物たちと暮らしていた時には考えられない常識だった。
(常識ねぇ……)
ロードたちは屋敷の廊下を進みゆく、そして大広間に出て長机の上には山のように積まれたフルーツが輝いていた。
「ささ、朝ごはんにしましょう、えっと確か……名前は?」
「ロードですよ」
こうしてロードは異世界に来て初めての朝ごはんを大男と共にするのだった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる