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第二章 異なる世界からやって来た最強の魔王
第98話 勇ましい王の道を進め
しおりを挟む「世界の狭間。人の身で通るにはかなり危険って話があったけど……」
背中には赤い剣が刺さったままだった。
「この剣を掴んでいればいいんだな……?」
「それで我が力が、世渡り中の迫りくる災難からお前を守るだろう。初めてのことで海に溺れるような感覚があって驚くかもしれないが気にするな」
「怖いことに変わりはないけど……わかった」
最後の確認を終わらせたので皆の方に振り向いた。
別れを告げるために、
「それでは……」
「うむ」パレロットは手を上げる。
「あとは頼んだ」
「ああ」シャルンスは頷く。
「ありがとう」
「はい」片手にハンカチを持つビッシィさん。
「頑張れよ」
「はい……先輩」いつものような明るい笑顔を見せるダラネーさん。
「楽しんでくるよ」
「おう」武運を祈るルロウ
「またな」
「「「チュー」」」ハチュ、チッカ、ツアに別れを告げる。
別れを済ませ、アカに突き刺さった赤い剣を握りしめる。
「――飛ぶぞ!!」
アカがとうとう旅立つために翼を広げた。
はばたいてその巨体が上昇していく。
「――皆!! いつまでも元気で!!」
最後に叫んだ。皆が手を振ってくれている。
「――オレはもっと先へ進むから!!」
「オレたちは~~」
その時、衛兵長が歌いだし、
他のストンヒューとレオリカンの衛兵たちも歌い始めていた。
『勇ましき王の道を征け』まずはその一番を歌い始める。
そして次に続く二番を……。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
我らは勇ましい人だ~~我らは勇ましい人だ~~
人の民のために今日も走り~~動物の民のために今日も走る
楽しいことが大好きだ~~けど悲しいことは大っ嫌いだ~~
我らは勇ましい人だ~~我らは勇ましい人だ~~
国の民のために今日もは働き~~世界の民のために今日も働く
美味しいものが大好きだ~~けど不味いものは大っ嫌いだ~~
鋭いクリスタルの剣を構えて~~丈夫なダイヤモンドの盾を構える
巨大なゴーレムにも~~敗れはしない
強い身体で諦めず信じて戦え~~強い心を胸に抱いて戦う~~
巨大なドラゴンにも~~敗れはしない
あなたは勇ましい者だ~~あなたは勇ましい者だ~~
人の民のために今日も走り~~動物の民のために今日も走る
あなたは勇ましい者だ~~あなたは勇ましい者だ
国の民のために今日も走り~~世界の民のために今日も走る
希望となるために道を歩み~~愛を教えるために道を歩む
恐ろしい魔物にも~~勝利をするだろう~~
希望となるために道を歩み~~愛を教えるために道を歩む
悍ましい悪魔にも~~勝利をするだろう~~
ここから~~ここから~~
勇ましい王の道をすすめ~~
◆ ◆ ◆ ◆
その歌は空高くまで聞こえて来た。
こうして、ロードはアカに乗って大空へと舞い上がった。
異なる世界に行くために。
小さくなっていくストンヒュー王国から目を離し前を見る。
先には何があるかわからない、形を変え続ける雲の道。
その先に広がる大空は見納めるには勿体ない。
けど、進む。
アカの速度が上がり始めると、景色が斬られていくように様々な色の線を帯びていく。
(これが世渡りか)
(この先に何があるのかわからないけど……)
(最後まで進むんだ)
(この道を……)
もう、前だけ向いていた。
思い残していることもないはずだから。
(あっっっ!!!?)
と思っていたら、
(――タイトル決めるの忘れてた!?)
旅立ちを決めたのに早々、部屋に置いてきた筆記長《ひっきちょう》に思い残した。
(……まぁいいか)
(あの物語は終わってない)
(まだ、これから続くんだから……)
竜に乗ってその世界の境界線を越えた。
これがロードのここでの物語の終わり。
そして、
ここからは先は無限大に広がる世界へ行ってくる。
ここから歩むのはそんな誰もが進みたくなるような、
ロードという青年の新しい道だ。
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