97 / 743
第二章 異なる世界からやって来た最強の魔王
第97話 勇者ロード
しおりを挟む
「開門!!」
ルロウの掛け声とともに歯車仕掛けの大きな正門がとても迷惑な音を立てて開いていく。
すると、
『『『ワアアアアアアアアアアアア!!』』』
正門の向こう大通りから大歓声の波が押し寄せた。
☆「――!?」
ストンヒュー大通りには赤い絨毯が敷かれ、どこまでも続いている。
絨毯の両側には王国の全ての民たちがひしめいて並んでいる。
こちらに向けて手を振り、声援を投げかけ、笑顔を向けてくる。
正門の外には音楽隊が並び、こちらが絨毯を進み始めると同時に奏でる準備をしていた。
「旅立ちには相応しい道だ」
「さぁロード進むといい」
王様が促す。
「はい」
赤い絨毯の一歩前で止まる。
(これが最初の一歩)
赤い絨毯に足を進める。
そのとき、音楽隊の指揮者が手を振った。
この場に相応しい盛大な音楽が鳴り響いていく。
絨毯を歩き出し、正門を超える。
数歩離れた後ろからは王様たちも続いてくる。
赤い絨毯を進んでいると、作り物の花、色紙の吹雪、カラフルなリボンが撒かれていく。
声援と飛んできて、感謝も飛んできて、別れの言葉も飛んでくる。
旅立ちが祝福されている。
並ぶ民たちには見知った顔しかない。
毎朝牛乳をくれるおばさんやパン屋のお爺さん。
中には、ゲンウのお爺さんや、キケナ&ブクマまで見送りに来てくれていた。
手を振って応え、言葉をそれぞれに送り返し、進んでいく
赤い絨毯が敷かれた大通りを進んでいく。
そして、
広場に出た。
広場の真ん中には噴水があり、ここにも多くの民が集まっている。
ストンヒューの兵士たちとレオリカンの兵士たちも並び、その前にはハンス兵士長もいる。
そして、噴水の前にはカリフ王が待っていた。
真っ直ぐそちらへ進んで行く。
「おはようございます。カリフ王」
「ああ、おはよう、いよいよ、この日が来たな」
「はい」
カリフ王が首を振ると、兵士のゴリラさんがこちらに近づいてくる。
「ストンヒューの民ロードよ。レオリカンの王の名においてそなたの数々の偉業を称えよう。これを受け取るのだ」
ゴリラさんから綺麗に輝くライオンのようなバッチを渡された。
「これは……?」
「それは勲章。偉業を成し遂げた者に送られる由緒ある栄誉だ。悪しき魔王から世界の平和を取り戻してくれたことに対し、ストンヒュー王国とレオリカン王国並びに世界の民たちを代表して感謝する」
周りから拍手が飛び交ってきた。
「そして、この世界において強大な魔王に立ち向かったそなたに称号を授ける。皆を焚きつける勇ましさ、心に強さを宿した勇ましさ、あらゆる難関に挑む勇ましさ、これらを持つそなたに相応しい称号だ。ロードよ。そなたに勇者の称号を与える」
「――勇者!?」
「そなたの好きな絵本の主人公にちなんでの称号だ。これからはお前のその名にこの称号を刻み付け、あまねく世界にその在り方を示す道しるべになるといい……」
「――はい」
カリフ王に大臣と思われるトラが近づいてある物を咥えて来ていた。
「勇者ロード。今この時を持ってレオリカン王国は正式にこの赤き竜封じの剣を託そう」
カリフ王がトラさんから剣を受け取って、こちらに引き渡してくれた。
「ありがとうございます」
「その剣がそなたのこれからの道を切り拓いてくれることだろう……」
「はい」
周りから拍手が飛び交ってきた。
「さて旅立つ者に長話は不要だ。行くがいい新たな道に……」
カリフ王にそう言われて早速、鞘から剣を引き抜いて見せた。
「アカ……いるか? 出て来られるか?」
ゴゴゴオオッ!! と赤い剣が竜の形になる。
『『『おおおおぉぉ!!』』』
周囲の民たちからどよめきがあった。
見まごうなき、絵本で見るような伝説上の生き物だ。
「殺しの力と封じの力は互いにぶつかって忙しいようだ。そのせいで竜に対して働く効果に若干の隙が生まれこうして出て来られる」
「つまり……?」
「少しだけならこうして我は剣から出て来られる」
「行けるんだな……?」
「問題なく行ける。自由でいられる時間は多いわけではないが、世界を渡るくらいは容易い」
異なる世界から来た赤い竜はこちらを見つめてくる。
「最後に聞こう。何しに無限大の世界に行く? 冒険か? 強くなるためか? 何かを得るためか?」
「新しい道の果てまで行くためさ」
「いいだろう。乗るがいい」
アカが姿勢を低くしてくれたので、その背中に乗り込んでいく。
ルロウの掛け声とともに歯車仕掛けの大きな正門がとても迷惑な音を立てて開いていく。
すると、
『『『ワアアアアアアアアアアアア!!』』』
正門の向こう大通りから大歓声の波が押し寄せた。
☆「――!?」
ストンヒュー大通りには赤い絨毯が敷かれ、どこまでも続いている。
絨毯の両側には王国の全ての民たちがひしめいて並んでいる。
こちらに向けて手を振り、声援を投げかけ、笑顔を向けてくる。
正門の外には音楽隊が並び、こちらが絨毯を進み始めると同時に奏でる準備をしていた。
「旅立ちには相応しい道だ」
「さぁロード進むといい」
王様が促す。
「はい」
赤い絨毯の一歩前で止まる。
(これが最初の一歩)
赤い絨毯に足を進める。
そのとき、音楽隊の指揮者が手を振った。
この場に相応しい盛大な音楽が鳴り響いていく。
絨毯を歩き出し、正門を超える。
数歩離れた後ろからは王様たちも続いてくる。
赤い絨毯を進んでいると、作り物の花、色紙の吹雪、カラフルなリボンが撒かれていく。
声援と飛んできて、感謝も飛んできて、別れの言葉も飛んでくる。
旅立ちが祝福されている。
並ぶ民たちには見知った顔しかない。
毎朝牛乳をくれるおばさんやパン屋のお爺さん。
中には、ゲンウのお爺さんや、キケナ&ブクマまで見送りに来てくれていた。
手を振って応え、言葉をそれぞれに送り返し、進んでいく
赤い絨毯が敷かれた大通りを進んでいく。
そして、
広場に出た。
広場の真ん中には噴水があり、ここにも多くの民が集まっている。
ストンヒューの兵士たちとレオリカンの兵士たちも並び、その前にはハンス兵士長もいる。
そして、噴水の前にはカリフ王が待っていた。
真っ直ぐそちらへ進んで行く。
「おはようございます。カリフ王」
「ああ、おはよう、いよいよ、この日が来たな」
「はい」
カリフ王が首を振ると、兵士のゴリラさんがこちらに近づいてくる。
「ストンヒューの民ロードよ。レオリカンの王の名においてそなたの数々の偉業を称えよう。これを受け取るのだ」
ゴリラさんから綺麗に輝くライオンのようなバッチを渡された。
「これは……?」
「それは勲章。偉業を成し遂げた者に送られる由緒ある栄誉だ。悪しき魔王から世界の平和を取り戻してくれたことに対し、ストンヒュー王国とレオリカン王国並びに世界の民たちを代表して感謝する」
周りから拍手が飛び交ってきた。
「そして、この世界において強大な魔王に立ち向かったそなたに称号を授ける。皆を焚きつける勇ましさ、心に強さを宿した勇ましさ、あらゆる難関に挑む勇ましさ、これらを持つそなたに相応しい称号だ。ロードよ。そなたに勇者の称号を与える」
「――勇者!?」
「そなたの好きな絵本の主人公にちなんでの称号だ。これからはお前のその名にこの称号を刻み付け、あまねく世界にその在り方を示す道しるべになるといい……」
「――はい」
カリフ王に大臣と思われるトラが近づいてある物を咥えて来ていた。
「勇者ロード。今この時を持ってレオリカン王国は正式にこの赤き竜封じの剣を託そう」
カリフ王がトラさんから剣を受け取って、こちらに引き渡してくれた。
「ありがとうございます」
「その剣がそなたのこれからの道を切り拓いてくれることだろう……」
「はい」
周りから拍手が飛び交ってきた。
「さて旅立つ者に長話は不要だ。行くがいい新たな道に……」
カリフ王にそう言われて早速、鞘から剣を引き抜いて見せた。
「アカ……いるか? 出て来られるか?」
ゴゴゴオオッ!! と赤い剣が竜の形になる。
『『『おおおおぉぉ!!』』』
周囲の民たちからどよめきがあった。
見まごうなき、絵本で見るような伝説上の生き物だ。
「殺しの力と封じの力は互いにぶつかって忙しいようだ。そのせいで竜に対して働く効果に若干の隙が生まれこうして出て来られる」
「つまり……?」
「少しだけならこうして我は剣から出て来られる」
「行けるんだな……?」
「問題なく行ける。自由でいられる時間は多いわけではないが、世界を渡るくらいは容易い」
異なる世界から来た赤い竜はこちらを見つめてくる。
「最後に聞こう。何しに無限大の世界に行く? 冒険か? 強くなるためか? 何かを得るためか?」
「新しい道の果てまで行くためさ」
「いいだろう。乗るがいい」
アカが姿勢を低くしてくれたので、その背中に乗り込んでいく。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる