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第二章 異なる世界からやって来た最強の魔王

第79話 役割分担

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 ストンヒュー大通り・正門前。
 
 ロードたちは駆け抜けていく。すると……。
 
「見えました!! 正門です!!」

 衛兵の一人がそう言う。

「カリフ王たちの制圧はうまくいったのか!?」

 ハンス衛兵長が訊く。
 
「えっと……はい!!」
 
 衛兵が目を凝らして確認していた。
 
「王子! 宮殿までの道確保できたようです!」
 
「聞いたかロード! 中央突破の作戦は成功した! いよいよ私たちの番だ!!」

 シャルンスが宣言する。
 
「はい!!」
 
 
 ▼ ▼ ▼
 
 
 ストンヒュー宮殿・正門。
 
 
 30名ほどのカリフ王たちは無事ここを占拠することに成功した。
 こちらは200名ほどの兵士たち。
 ここで降りた馬を50名ほど合わせればまた数は違ってくる。
 他の兵士たちは途中で隊列を離れて、大通りの道を守るために戦い続けている。
 

「カリフ王! 宮殿の様子は――!」

 シャルンスがカリフ王に訊いていた。
 
「――宮殿にはまだクロヅノや、さらに大きいオオクロヅノがいるはずだ!」
 
「オオクロヅノ?」
 
 ロードが訊き返す。

「名前の通り大きいクロヅノだ。お前たちがここまで来たということは、道は保たれているな!!」
 
「――はい」

 ハンス衛兵長が答える。
 
「ならば行け! 増援のための道はこのまま保持しておく。後ろは気にせず、存分に戦ってこい!」

「行くぞ! ストンヒュー兵団!」
 
『『『おおおおおおおおおおお!!』』』
 
 200名に及ぶ兵士、人、イヌ、サル、キジ、サイ、ゾウたちが正門の奥へと突入していく。
 
「カリフ王! ありがとうございます!!」
 
 衛兵たちの後に走ってついて行く。
 
 正門を潜り終えると後ろから、
 
『ガオウ!!』とライオンらしい大きな声が吠える。
 
「強い衛兵たちよおお!! 魔物には何としてもここを譲るなああ!! ここは勝者が通る道になるのだああああ!!!!」
 
『『『おおおおおおおおおおおおおおおおお!!』』』
 
 衛兵たちが気合いの入った声を上げていた。
 
 
 ▼ ▼ ▼
 
 
 ストンヒュー宮殿・敷地内。
 
 
 とうとう宮殿に入り込んで前方に見える真っ黒い宮殿を見つめる。
 本来のストンヒュー宮殿を、何倍にも大きくしたように高い宮殿が出来上がっていた。
 
 
『『『……………………』』』
 
 変容してしまった宮殿を見て立ち止まっている衛兵たち。
 
「行きましょう」
 
 ロードは皆の前に堂々と出て進んで見せた。
 
「……ああ」

 ハンス衛兵長がそれに続く。
 
「……ん?」「待った待った!!」「み、皆止まれええ!!」
 
 騒ぐ衛兵たち。

「――――っ!?」
 
 ズドドーーーーン!! 慌てふためく衛兵たちの言った通り、目の前に巨大な何かが落ちて来た。
 
「――ア、アカ!?」
 
 落ちて来たのは、なんと、クロドラと戦っていたはずの赤い竜。
 
「――全員、伏せろ!!」
 
 起き上がったアカが皆に覆いかぶさる。
 
『ザオオオッッ!!』
 
 こちらに向かっていたクロドラが口から無数の黒い槍を発射した。
 
「グオウッ!!」
 
 身体を張って皆を庇い、黒い槍に背中や翼に突き刺される。
 
「ク、クロドラだ!!」「うわあああ!!」
 
 上空から黒い竜がこちらへ近づいて来たが、
 突然止まった。
 
「皆落ち着いてくれ! こちらには竜殺しの剣を持つロードがいる。クロドラは我々には近づいて来れない!」
 
 シャルンスは言葉を発し、それを衛兵たちは理解して平静を取り戻していく。
 
「……だ、大丈夫か?」

 ロードがアカに訊く。

「問題……ない……はぁ……悪いな……はぁ……驚かせた」
 
 身体に突き刺さった黒い槍は燃やされて消えていった。
 
(――まずい!! クロドラが大通りの方を見ている!)
 
 既にクロドラは動き出していた。狙いは大通りを占拠している兵士たちだ。
 
「行ってくれアカ! 皆をまた守ってくれ!!」
 
「ああ!! わかっているとも!! グオオオオオオオオオオオオ!!」
 
 咆哮をあげながら翼を大きく広げ飛び立った。
 
「が、頑張れ……」
 
「クロドラの相手をできなくなれば私たちは終わりだ。急ごう!!」
 
 王子たちが宮殿に向かって走り出す。
 
「――おい!! ロード見ろ!!」
 
「?――っ!?」
 
 ルロウの顔の先には3匹のネズミたちがいた。
 
「お前たち、な、何でこんなところにいるんだ!?」
 
「アカにこっそりしがみついて来たんだチュウ」
 
「どうしてだ……」
 
「やっぱり、ロードが心配チー、ほっとけないチー」
 
「じゃあさっきアカが戦っているときも……か?」
 
「いや~~凄い戦いだったチャア」
 
「「「チュチャチャチャチャチャチャ」」」
 
「笑い事じゃない! 命を落としかけたんだろ!」
 
「「「!?」」」
 
 ネズミたちが静まった。
 
「オレはアカとの戦いで身に染みたんだ……お前たちを危険な場所に連れて行ったこと。あのとき本当に怖かった……だから、ついて来るなって言ったんだ!!」
 
「「「……ごめんチュウ」」」
 
 ネズミたちを両手で掬い上げる。
 
「ホントにな、オレの心配ばかりしてさ……そんなお前たちをオレはいつもいつも心配ばかりしてた……」
 
「チュウたちを?」「心配チー……」「いつの間にか逆になってたんだチャア……」
 
「ルロウ……こいつらを乗せてやってくれ」
 
「わかった……」
 
 ネズミたちをルロウの背中に乗せてあげた。
 そして、王子たちを追いかける。
 
 
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