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第二章 異なる世界からやって来た最強の魔王
第58話 異なる世界から来た魔王
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レオリカン宮殿・玉座の間。
突如、ロードたちの前に魔王と名乗る怪物が現れた。
(アグローニ……魔王?)
「お、お前は異なる世界から来たのか……?」
「異なる世界を知っているか。だがそんなことを得意げに語るなよ。雑魚さが際立《きわだ》つわ!!」
「その剣はお前のか?」
「剣? 刀と言え! 物も知らぬ雑魚が!!」
(か、かたな?)
確かに普通の剣とは違って、刀身は少し反っている形をしていた。
それも刃が片側にしかない。
「その……刀のせいで何が起きたかわかるか……?」
「この刀に目を付けるくらいには、住人共の頭は雑魚ではないか……」
「その刀はなんだ……?」
「麻鬼刀、この刀に刺された者は黒い靄のような衣がそいつを包み、意のままに身体を操ることが出来る」
「やっぱり、お前が竜をワルモノにしたのか……?」
「それがなんだ……倒した後に気が付いたのか。察しの悪い雑魚が!」
「……そのチーターには何をした」
「ちいたー? 言葉を発しろ雑魚がぁ!」
足元に倒れていたチーターのことを聞いたのに馬鹿にされる。
「ん? もしやこれか?」
その動物の名称を知らなかった魔王は足元の動物を見て気が付いた。
「ふん、これの身体をオレが使っただけのことだ。雑魚のくせに意外と速かったぁーーーーぞおお!!」
ぞお!! と同時に倒れていたチーターをこちらに向けて蹴り飛ばしてきた。
「――わっ!!」
チーターを何とか受け止めたが、後ろに倒れてしまった。
「な、なんてことを!」
部下の身を案じて近寄ってきた。
「もう用はない。役に立ったから捌くのは後にしてやる」
「大丈夫。気絶しているだけです」
チーターをカリフ王に預けて、安全そうな場所に運んでもらう。
そして、魔王と名乗る者に話しかけるロード。
「オレたちに竜の話を聞かせたのは、お前だったんだな……全部わかったぞ」
「何?」
「どうして俺たちに悪い竜の存在を教えたのか」
「どういうことだ?」
パレロット王が質問してくる。
「オレたちは黒いチーター……いや、こいつの報せで悪い竜の存在を知ったでしょう? こいつはその知らせを少し変えてオレたちに教えたんです。話では『悪い竜が暴れたおかげでレオリカン王国が陥落し、自分以外の民が全滅した』と言いました。そして『仇を討ってほしい』とも……」
「「「言ってたチュー」」」
「おかしな話です。自分以外の皆は命を落としたと言っていて、実際には誰も命を落としてはいなかった。見ていなければ口にしたくもない話なのに、まるで見てきたかのように言っていた。真偽の定かでない情報をカリフ王の最後の命令だと言って来た使者が言うはずはなかった」
「あの話にはこの者の嘘が混ざっていたのか。なぜそのような……」
「こいつは『レオリカン王国の民の仇を討ってほしい』と言っていました。竜をオレたちの手で倒させる為に嘘をついたんです」
「私たちにアカを、悪い竜だと信じ込ませるためにか」
シャルンスが理解した。
「そうやって、国に危機感を植え付けることでオレたちを竜の討伐へと動かした」
「――だとしたら、狙いはなんだ!? なぜ操った竜の討伐を頼みに来る……?」
パレロットに新たな疑問が浮上する。
「狙い? お前たちなど、竜の餌としての魚にしか――」
「操れなかったんだ……」
「こいつはここに来る前にアカを真っ黒い刀で刺して操った」
「それからこの世界に、レオリカン王国に現れてアカを暴れさせたかった」
「けれど、アカは言うことを聞かなかった」
「それどころか、アカはこいつを倒そうと暴れてしまった」
「そんな状態でも、レオリカンの民の命を一つも奪わなかったけど……」
「こいつはアカに狙われ続けていた」
「そして、カリフ王の命令でストンヒュー王国に向かおうとしていたチーターに」
「さっきのように取り憑いたんだ」
「アカもそれを見抜いてか、知ってか、黒いチーターを追い回した」
「追い回されたから他の街や村に行って暴走したアカを撒くしかなかった」
「そして、ここにたどり着いて王国に竜は絶対悪だと嘘をついた」
「つまり……」
狙いは――そう言いかけた時、
「いつの話をしている雑魚が!!」
魔王が怒鳴って無理やり話を切った。
「だが、やはり暴走しても雑魚は雑魚か……こんな雑魚共に倒されるとはな、使えん竜だ」
「それが狙いだろ……自分でもどうにもならなくなった竜を、オレたちに倒させるためにあんな嘘をついたんだ」
「この魔王であるオレが……雑魚には頼らんわ!!」
「――けど、竜から逃げるためにチーターに憑りついたじゃないか」
その一言を耳にした魔王は、
「うおおおおおおおおおお!!」
叫びながら真っ直ぐ突っ込んできた。
「――――っ!?」
刀を持つ手とは違う手で拳を作り、思いっきり振り下ろしてくる。
ド――――ンと拳が床を叩き割った。
何とか避けた。
「逃げるためだと!! 今、オレを雑魚と同じにしたなぁ!!」
突如、ロードたちの前に魔王と名乗る怪物が現れた。
(アグローニ……魔王?)
「お、お前は異なる世界から来たのか……?」
「異なる世界を知っているか。だがそんなことを得意げに語るなよ。雑魚さが際立《きわだ》つわ!!」
「その剣はお前のか?」
「剣? 刀と言え! 物も知らぬ雑魚が!!」
(か、かたな?)
確かに普通の剣とは違って、刀身は少し反っている形をしていた。
それも刃が片側にしかない。
「その……刀のせいで何が起きたかわかるか……?」
「この刀に目を付けるくらいには、住人共の頭は雑魚ではないか……」
「その刀はなんだ……?」
「麻鬼刀、この刀に刺された者は黒い靄のような衣がそいつを包み、意のままに身体を操ることが出来る」
「やっぱり、お前が竜をワルモノにしたのか……?」
「それがなんだ……倒した後に気が付いたのか。察しの悪い雑魚が!」
「……そのチーターには何をした」
「ちいたー? 言葉を発しろ雑魚がぁ!」
足元に倒れていたチーターのことを聞いたのに馬鹿にされる。
「ん? もしやこれか?」
その動物の名称を知らなかった魔王は足元の動物を見て気が付いた。
「ふん、これの身体をオレが使っただけのことだ。雑魚のくせに意外と速かったぁーーーーぞおお!!」
ぞお!! と同時に倒れていたチーターをこちらに向けて蹴り飛ばしてきた。
「――わっ!!」
チーターを何とか受け止めたが、後ろに倒れてしまった。
「な、なんてことを!」
部下の身を案じて近寄ってきた。
「もう用はない。役に立ったから捌くのは後にしてやる」
「大丈夫。気絶しているだけです」
チーターをカリフ王に預けて、安全そうな場所に運んでもらう。
そして、魔王と名乗る者に話しかけるロード。
「オレたちに竜の話を聞かせたのは、お前だったんだな……全部わかったぞ」
「何?」
「どうして俺たちに悪い竜の存在を教えたのか」
「どういうことだ?」
パレロット王が質問してくる。
「オレたちは黒いチーター……いや、こいつの報せで悪い竜の存在を知ったでしょう? こいつはその知らせを少し変えてオレたちに教えたんです。話では『悪い竜が暴れたおかげでレオリカン王国が陥落し、自分以外の民が全滅した』と言いました。そして『仇を討ってほしい』とも……」
「「「言ってたチュー」」」
「おかしな話です。自分以外の皆は命を落としたと言っていて、実際には誰も命を落としてはいなかった。見ていなければ口にしたくもない話なのに、まるで見てきたかのように言っていた。真偽の定かでない情報をカリフ王の最後の命令だと言って来た使者が言うはずはなかった」
「あの話にはこの者の嘘が混ざっていたのか。なぜそのような……」
「こいつは『レオリカン王国の民の仇を討ってほしい』と言っていました。竜をオレたちの手で倒させる為に嘘をついたんです」
「私たちにアカを、悪い竜だと信じ込ませるためにか」
シャルンスが理解した。
「そうやって、国に危機感を植え付けることでオレたちを竜の討伐へと動かした」
「――だとしたら、狙いはなんだ!? なぜ操った竜の討伐を頼みに来る……?」
パレロットに新たな疑問が浮上する。
「狙い? お前たちなど、竜の餌としての魚にしか――」
「操れなかったんだ……」
「こいつはここに来る前にアカを真っ黒い刀で刺して操った」
「それからこの世界に、レオリカン王国に現れてアカを暴れさせたかった」
「けれど、アカは言うことを聞かなかった」
「それどころか、アカはこいつを倒そうと暴れてしまった」
「そんな状態でも、レオリカンの民の命を一つも奪わなかったけど……」
「こいつはアカに狙われ続けていた」
「そして、カリフ王の命令でストンヒュー王国に向かおうとしていたチーターに」
「さっきのように取り憑いたんだ」
「アカもそれを見抜いてか、知ってか、黒いチーターを追い回した」
「追い回されたから他の街や村に行って暴走したアカを撒くしかなかった」
「そして、ここにたどり着いて王国に竜は絶対悪だと嘘をついた」
「つまり……」
狙いは――そう言いかけた時、
「いつの話をしている雑魚が!!」
魔王が怒鳴って無理やり話を切った。
「だが、やはり暴走しても雑魚は雑魚か……こんな雑魚共に倒されるとはな、使えん竜だ」
「それが狙いだろ……自分でもどうにもならなくなった竜を、オレたちに倒させるためにあんな嘘をついたんだ」
「この魔王であるオレが……雑魚には頼らんわ!!」
「――けど、竜から逃げるためにチーターに憑りついたじゃないか」
その一言を耳にした魔王は、
「うおおおおおおおおおお!!」
叫びながら真っ直ぐ突っ込んできた。
「――――っ!?」
刀を持つ手とは違う手で拳を作り、思いっきり振り下ろしてくる。
ド――――ンと拳が床を叩き割った。
何とか避けた。
「逃げるためだと!! 今、オレを雑魚と同じにしたなぁ!!」
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