35 / 774
第一章 冒険の日々に憧れる青年の生活
第35話 竜から生き延びるための行動
しおりを挟む
『グオアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
ここから100メートルほど先に竜がいる。
悍ましい咆哮を放つ真っ黒い巨体の竜。
レオリカン王国を陥落させ住み着いた噂の悪しき竜。
長い尾が森の木々をへし折り、手足で地盤をひっくり返している。
滅茶苦茶に暴れながらも悪しき竜はこちらへ着々と近づいてくる。
(……竜)
〔ドスン! ダスン! ドスン! ダスン!〕
凍り付いていた時が動き出す。
「――み、皆逃げろ!」
ただちに荷車を押すのをやめて、全力で走って竜から逃げる。
「ブクマ荷物は捨てろ!」
「ええ、でも~~」
「のろま! 命を捨てる気か! いくブン!」
『ゴアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
ズガン! ズオン! ズガン! ズオン!
その顔で木々を薙ぎ払い、段差の壁もお構いなしに突き破っていた。
捨てられた荷車にある蜜アメとハチミツの原料の山にも目もくれず一直線で追いかけてくる。
「あ、あいつ! せっかく全部の蜜をくれてやったのに!」「僕らはおいしくないくま~~」
「や! やばいチュウ!」「追いつかれるチー!」「もうすぐそこチャア!」
頭や肩に乗っているネズミたちが後方を見て言っていた。
「――皆! オレが合図したら左に曲がれ!」
「はいブン!」「くま!」「よし!」
碌な説明は出来なかったが、皆は指示を聞いてくれた。
「ロード!」「無理チー!」「どうするチャア!」
その凄い慌てようはすぐ後ろに竜がいることを教えていた。
「もう少し待て!」
竜が至近に迫るのを見て、
「――今だ左にっ!」
走っている全員が一斉に進んでいた方角から逸れる。
ズドドドドドッドッ! ドドドン! ドドッ! ドン!
逸れたことで何とか竜を避ける。
一方、そのまま前に進んでいた竜は森の木々に自ら突っ込んで行った。
「や、やった離れたチュウ!」「流石ロードチー」「ま、また来るチャア!」
木々から抜け出して、また追いかけて来た。
「次の合図で右だ!」
『ゴアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
また竜が至近にまで迫るのを見て、
「――右にっ!」
皆にタイミングを指示して、前に走る状況から一斉に右に逸れる。
すると竜はこちらの動きに対応できず、そのまま前に進んで行く。
竜の進むその先には深い崖があった。
『オオオオオオォォォォォォ…………!!』
竜が崖から落ちた。
「おお~~」「落ちたチー」「ラッキーチャア!」
「この先に避難所の別の入り口がある! そこまで走れ!」
「のろま! 頑張れ!」「く、くま~~~~!」
『グオオオオオオオオオオ!!』
『『『!?』』』
一同は驚いた。
竜は翼を広げて飛んでいた、そうして崖の底から戻ってきた。
「と、飛んだチュウ!」「上に上にチー!」「何かヤバそうチャア!」
竜が森の上を飛んでしまっているせいで、木に遮られて姿が確認出来なくなった。
「入り口はまだか!」
「あれだ! あの穴だ!」
ルロウが叫び、よく見えないが急ぐ。
「「「ほ、ほのおチュー!!」」」
「――避けろ!!」
前を向いて走ってるのでネズミたちがどうつもりで言ったのかはわからなかったが、竜に関わることに違いないので皆に指示する。
だが、その恐ろしいさを直ぐに知ることになる。
シュゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
滝のような流れをした炎が森に降りかかる。
「――悪い!3匹とも!」
「「「チュー!?」」」
とっさに頭や肩に乗るネズミたちを走るルロウ背中に乗るように放る。
(くっ!)
そうしたのは炎が前に振ってきて足を止められたから。
さらに目の前を竜の炎が流れていく。
燃え盛る炎が僕と走って逃げる皆との間に火の川を作り、進む道を阻んだ。
何とかして道を探すが、見つからない。
微かに炎の向こうで、ロードを呼ぶ声がする。
炎に遮られて見えないが、皆は無事のようだ。
心配されるのは当然かもしれない。
けど返事は返せない。
ズダン!!
背後に竜が降り立ったから。
戦慄するほどの圧迫感を背中に受ける。
ここから100メートルほど先に竜がいる。
悍ましい咆哮を放つ真っ黒い巨体の竜。
レオリカン王国を陥落させ住み着いた噂の悪しき竜。
長い尾が森の木々をへし折り、手足で地盤をひっくり返している。
滅茶苦茶に暴れながらも悪しき竜はこちらへ着々と近づいてくる。
(……竜)
〔ドスン! ダスン! ドスン! ダスン!〕
凍り付いていた時が動き出す。
「――み、皆逃げろ!」
ただちに荷車を押すのをやめて、全力で走って竜から逃げる。
「ブクマ荷物は捨てろ!」
「ええ、でも~~」
「のろま! 命を捨てる気か! いくブン!」
『ゴアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
ズガン! ズオン! ズガン! ズオン!
その顔で木々を薙ぎ払い、段差の壁もお構いなしに突き破っていた。
捨てられた荷車にある蜜アメとハチミツの原料の山にも目もくれず一直線で追いかけてくる。
「あ、あいつ! せっかく全部の蜜をくれてやったのに!」「僕らはおいしくないくま~~」
「や! やばいチュウ!」「追いつかれるチー!」「もうすぐそこチャア!」
頭や肩に乗っているネズミたちが後方を見て言っていた。
「――皆! オレが合図したら左に曲がれ!」
「はいブン!」「くま!」「よし!」
碌な説明は出来なかったが、皆は指示を聞いてくれた。
「ロード!」「無理チー!」「どうするチャア!」
その凄い慌てようはすぐ後ろに竜がいることを教えていた。
「もう少し待て!」
竜が至近に迫るのを見て、
「――今だ左にっ!」
走っている全員が一斉に進んでいた方角から逸れる。
ズドドドドドッドッ! ドドドン! ドドッ! ドン!
逸れたことで何とか竜を避ける。
一方、そのまま前に進んでいた竜は森の木々に自ら突っ込んで行った。
「や、やった離れたチュウ!」「流石ロードチー」「ま、また来るチャア!」
木々から抜け出して、また追いかけて来た。
「次の合図で右だ!」
『ゴアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
また竜が至近にまで迫るのを見て、
「――右にっ!」
皆にタイミングを指示して、前に走る状況から一斉に右に逸れる。
すると竜はこちらの動きに対応できず、そのまま前に進んで行く。
竜の進むその先には深い崖があった。
『オオオオオオォォォォォォ…………!!』
竜が崖から落ちた。
「おお~~」「落ちたチー」「ラッキーチャア!」
「この先に避難所の別の入り口がある! そこまで走れ!」
「のろま! 頑張れ!」「く、くま~~~~!」
『グオオオオオオオオオオ!!』
『『『!?』』』
一同は驚いた。
竜は翼を広げて飛んでいた、そうして崖の底から戻ってきた。
「と、飛んだチュウ!」「上に上にチー!」「何かヤバそうチャア!」
竜が森の上を飛んでしまっているせいで、木に遮られて姿が確認出来なくなった。
「入り口はまだか!」
「あれだ! あの穴だ!」
ルロウが叫び、よく見えないが急ぐ。
「「「ほ、ほのおチュー!!」」」
「――避けろ!!」
前を向いて走ってるのでネズミたちがどうつもりで言ったのかはわからなかったが、竜に関わることに違いないので皆に指示する。
だが、その恐ろしいさを直ぐに知ることになる。
シュゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
滝のような流れをした炎が森に降りかかる。
「――悪い!3匹とも!」
「「「チュー!?」」」
とっさに頭や肩に乗るネズミたちを走るルロウ背中に乗るように放る。
(くっ!)
そうしたのは炎が前に振ってきて足を止められたから。
さらに目の前を竜の炎が流れていく。
燃え盛る炎が僕と走って逃げる皆との間に火の川を作り、進む道を阻んだ。
何とかして道を探すが、見つからない。
微かに炎の向こうで、ロードを呼ぶ声がする。
炎に遮られて見えないが、皆は無事のようだ。
心配されるのは当然かもしれない。
けど返事は返せない。
ズダン!!
背後に竜が降り立ったから。
戦慄するほどの圧迫感を背中に受ける。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。
最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。
でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。
記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ!
貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。
でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!!
このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない!
何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない!
だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。
それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!!
それでも、今日も関係修復頑張ります!!
5/9から小説になろうでも掲載中
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる