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第一章 冒険の日々に憧れる青年の生活

第14話 街に住む様々な住民たち

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 ストンヒュー王国・街。
 時刻は3時過ぎ。
 賑わう街は人と様々な動物が行きかっている。
 四足歩行の動物の専門とした定食屋。大きな柱に見えるものは鳥類たちの住む集合住宅。
 ウサギやキツネたちが掘り起こしてきた野菜の専門店。タヌキやリスが見つけて来た少し変わった石の置物の店。
 ハムスターなどが小さな動物の面倒を見る保育園。ネコや羊が通う美容室。
 街には色々な店がある。
 
 
 ▼ ▼ ▼
 
 
 僕はダラネーさんと荷台を運ぶサイさんと一緒に街を歩いていた。
 理由は宮殿で足りなくなってきた薪を十分に調達すること。
 
 ダラネーさんと二人で各店や家宅の住人に『薪を分けてもらえないか』と聞いてまわる。
 ビッシィさんが用意してくれたのは大きな荷台とストンヒュー兵団の一員である立派な一本ヅノを持つサイさん。
 すでに大量の薪が積まれている荷台を文句も言わず黙って牽いてくれている。
 
 
 ▼ ▼ ▼
 
 
 コンコンと一軒の家の扉をノックする。
 
「御免くださーーい」
 
 向こうから足音が近づいてくると扉が開き知り合いの女の人が顔を出す。
 
「ん? あらロードさん何か御用ですか?」
 
「その、宮殿の方で深刻な薪不足が発生しいるそうなので集めてるんですよ。宜しければ薪を分けていただけないでしょうか……」
 
「大変そうですね。わかりました、ちょっと待て居てください。今持ってきますね……」
 
 そう言われて少し待っていると薪を持って戻ってくる。
 
「これくらいでよろしでしょうか?」
 
「十分です。ありがとう、助かります」
 
 腕で抱えられるくらいの薪をもらう。
 
「いえいえ、いつもお話を聞いてくれるロードさんの頼みですから」
 
「では、失礼しました」
 
「は~~い」
 
 女性に頭を下げて戻った。
 
 
 ▼ ▼ ▼
 
 
「まだ、集めるド?」
 
 荷台に薪を積み上げるとサイさんに聞かれた。
 
「ああ、もう少し。ダラネ―さんは?」
 
「あそこにいるド」
 
 立派な一本ヅノで方向を示してくれたのでそちらに目を配る。
 かなり遠いところにいた彼女は老人から薪を受け取っていた。
 
(……おっ、帰ってきた)
 
 急ぎ足で戻ってきたダラネーさんはもらってきた薪を荷台に放り捨てる。
 
「さぁ、もっと、もぉーーともらってビッシィさん驚かせちゃいましょう」
 
「……進むドーー」
 
 元気に歩くダラネーさんに、荷台を牽くサイさんと一緒に続く。
 
 
 ▼ ▼ ▼
 

 荷台の通れるスペースの道を進んでいく。
 
「おう! ロード聞いたぜ薪集めてんだってなぁ! こいつも持ってきな!」

 大工のおじさんから薪を貰う。
 
「あっ、ありがとう」
 
「クワ! こっちも置いてくクワ!」

 ハゲワシさんから薪を貰う。
 
「ああ、ありがとう」
 
 街を歩いてるだけで顔見知りによく会うロード。
 わざわざ届けに来てくれたり、何をしてるのか問われて答えると協力してくれる。
 こうして、かなりの量の薪が集まっていく。
 
「ね~~ね~~さっきからロード先輩を知ってる人ばっかり会うんだけど、ひょっとして有名人なの?」
 
「有名人……? いや、単に知り合いなっただけだよ。昔から朝はジョギングしてて道ですれ違う人に挨拶してたんだ」
 
「やぁロード、こんにちは」

 今度はキツネさんに挨拶された。
 
「こんにちは」
 
 顔見知りに挨拶してすれ違い、ダラネーさんに話の続きをする。
 
「……こうしてたら、いつのまにか街に知り合いばっかりになってた」
 
「道理で皆がロード先輩を知ってるわけだ。いや~~ホントにストンヒュー王国を支配する裏の執事長かと思ぉ~~たよ」
 
「そんなわけないだろ……あっ! そいえばさ~~あと二つの宮殿伝説って何なんだ……?」
 
 思い出したので聞いてみる。
 
「ん? ああアレね~~、え~~っとね~~、どこまで話したっけ……? 六つ目だっけ?」
 
 聞かれたので頷いて見せる。
 
「えっと……六つ目の宮殿伝説は~~ズバリ! 『ケガを治す神様』がいる!」
 
「……神様? どんな話なんだ?」
 
「そのままだよ~~。というーかぁ、さっすがに神様はなくな~~い? 言い出した人ふざけてると思うの……」
 
「そうか? まぁ実在しないのは確かだろうけど……」
 
 そのとき、
 
「おぉ-! 丁度いいところに、ちょっと来てくれないか!」
 
 顔見知りの仕立て屋の兄さんに声をかけられた。何やら慌てた様子だ。
 
「ん? 仕立て屋さん? どうかしたんですか?」
 
「ああ、うちの前でトラブルさ。とにかくすぐ来てくれない!」
 
「はー、わかりま、したっ!?」
 
 したっ!? のところで手を引かれて連れ去られる。
 ダラネーさんが『えっ? えっ?』と困っていた顔をしていた。
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