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第一章 冒険の日々に憧れる青年の生活
第13話 深刻な薪不足
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「ごめん。それで、まだ、伝説があるんだっけ?」
「あるよ~~でも次の宮殿伝説は恐ろしすぎて信じたくないなぁ」
「そんなにヤバい話があるのか?」
「はい。それはもうヤバくて、五つ目の宮殿伝説は『ストンヒュー宮殿を裏から支配する使用人長を超えた使用人、その名も裏の執事長』っていう話です」
「……裏の執事長?」
「この裏の執事長は~~普段から普通の使用人に紛れて仕事をしていてるんだけど~~仮に存在しているとしたら、気に障った同僚を解雇《クビ》にしたり、あの使用人長のビッシィさんに頭を下げさせるほどの権力を持っているの」
「あ~~怖い話だな。人間不信になりそうだ……」
「もっとやばいよ~~この裏の執事長、大臣どころか王族の人たちも逆らえなくて~~宮殿どころかこの王国を影から支配して皆を操ってるの」
「…………ちょっと、怖すぎる話だ。だって皆操られてるって話だろ」
「さっすがにそれはないよね~~~~」
「うん。流石にそれはない」
「だ~~よね。あはははははははは」
「……ん、ビッシィさん」
今ちょっとだけ話題に上がった人物がこちらに近づいてくる。
「――――っ!?」
素早く反応するダラネーさん。
どうやら彼女はその人が苦手みたいだった。
「こちらにいましたかダラネ―さん」
「は、はい! 何か御用でしょうか!?」
呼ばれると背筋を伸ばして立ち上がる。
「いえ、数日前お任せしていた薪の発注ですが、そろそろ到着しますよね。何時ごろに来られるか聞いていますか?」
「うわぁっ!?」
素っ頓狂な声を上げる。
「へっ?」
「な、なんですか? 突然声をあげたりして、由緒正しきストンヒュー宮殿の使用人としてはあまり褒められた返事ではないようですけど……」
「あ、あ、あの~~~~~~大変申し上げにくいのですが~~~~」
「何ですか? 歯切れよくはっきりと答えてください」
「その~~~~薪の発注忘れてました~~~~あは、はは」
「は、はい!?」
ビッシィさんが取り乱した。内心ロードも。
「い、いや~~申し訳ない」
「あなた!? どうして、わたしが言った後に薪の申請に行ったのではなかったのですか!?」
「い、今から行ってきます」
「今からでは間に合いません。大浴場、厨房、ごみ処理、暖炉、篝火、どれだけ必要かわかってますか?」
「な、なんとかもちませんかね~~」
「薪は今日で切れてしまいます。例え今日乗り切ったとしても明日はどうするんですか?」
「は、はい。どうしましょう」
「ど、どうしましょうって、えっと、えっと」
「薪が足りないんですね。ならオレが行ってきますよ」
「ロ、ロードさん何かいい方法でも?」
「街へ行って、知り合いに片っ端からあたって、薪を分けてもらえないか聞いてみます」
「な、何とかなるんですね?」
「ええ、荷台を玄関広場に用意してください。食べ終わったらすぐに行きます」
「わかりました荷台を用意させていただきますね。どうかくれぐれもお願いいたしますロードさん」
深々と頭を下げる。
「はい」
顔を上げたビッシィさんは心底ホッとしていて、いそいそと荷台の準備をしに食堂から出ていった。
「…………あ、あの使用人長のビッシィさんが、、、あ、頭を、お下げに、、、い、いたよう、裏の執事長が、ここに」
途切れ途切れのセリフを食事に集中していたこともあって聞きそびれた。
「……どうする? ダラネ―さんも一緒に来る? 薪もらい」
「は、はい。ぜひ、お供させてくださいませ!」
(……流石に責任は感じてるのかな)
あと二つの宮殿伝説が残っていたが、今は早く食べて薪をもらいにいかなければいけない。
話題はここで打ち切った。
「あるよ~~でも次の宮殿伝説は恐ろしすぎて信じたくないなぁ」
「そんなにヤバい話があるのか?」
「はい。それはもうヤバくて、五つ目の宮殿伝説は『ストンヒュー宮殿を裏から支配する使用人長を超えた使用人、その名も裏の執事長』っていう話です」
「……裏の執事長?」
「この裏の執事長は~~普段から普通の使用人に紛れて仕事をしていてるんだけど~~仮に存在しているとしたら、気に障った同僚を解雇《クビ》にしたり、あの使用人長のビッシィさんに頭を下げさせるほどの権力を持っているの」
「あ~~怖い話だな。人間不信になりそうだ……」
「もっとやばいよ~~この裏の執事長、大臣どころか王族の人たちも逆らえなくて~~宮殿どころかこの王国を影から支配して皆を操ってるの」
「…………ちょっと、怖すぎる話だ。だって皆操られてるって話だろ」
「さっすがにそれはないよね~~~~」
「うん。流石にそれはない」
「だ~~よね。あはははははははは」
「……ん、ビッシィさん」
今ちょっとだけ話題に上がった人物がこちらに近づいてくる。
「――――っ!?」
素早く反応するダラネーさん。
どうやら彼女はその人が苦手みたいだった。
「こちらにいましたかダラネ―さん」
「は、はい! 何か御用でしょうか!?」
呼ばれると背筋を伸ばして立ち上がる。
「いえ、数日前お任せしていた薪の発注ですが、そろそろ到着しますよね。何時ごろに来られるか聞いていますか?」
「うわぁっ!?」
素っ頓狂な声を上げる。
「へっ?」
「な、なんですか? 突然声をあげたりして、由緒正しきストンヒュー宮殿の使用人としてはあまり褒められた返事ではないようですけど……」
「あ、あ、あの~~~~~~大変申し上げにくいのですが~~~~」
「何ですか? 歯切れよくはっきりと答えてください」
「その~~~~薪の発注忘れてました~~~~あは、はは」
「は、はい!?」
ビッシィさんが取り乱した。内心ロードも。
「い、いや~~申し訳ない」
「あなた!? どうして、わたしが言った後に薪の申請に行ったのではなかったのですか!?」
「い、今から行ってきます」
「今からでは間に合いません。大浴場、厨房、ごみ処理、暖炉、篝火、どれだけ必要かわかってますか?」
「な、なんとかもちませんかね~~」
「薪は今日で切れてしまいます。例え今日乗り切ったとしても明日はどうするんですか?」
「は、はい。どうしましょう」
「ど、どうしましょうって、えっと、えっと」
「薪が足りないんですね。ならオレが行ってきますよ」
「ロ、ロードさん何かいい方法でも?」
「街へ行って、知り合いに片っ端からあたって、薪を分けてもらえないか聞いてみます」
「な、何とかなるんですね?」
「ええ、荷台を玄関広場に用意してください。食べ終わったらすぐに行きます」
「わかりました荷台を用意させていただきますね。どうかくれぐれもお願いいたしますロードさん」
深々と頭を下げる。
「はい」
顔を上げたビッシィさんは心底ホッとしていて、いそいそと荷台の準備をしに食堂から出ていった。
「…………あ、あの使用人長のビッシィさんが、、、あ、頭を、お下げに、、、い、いたよう、裏の執事長が、ここに」
途切れ途切れのセリフを食事に集中していたこともあって聞きそびれた。
「……どうする? ダラネ―さんも一緒に来る? 薪もらい」
「は、はい。ぜひ、お供させてくださいませ!」
(……流石に責任は感じてるのかな)
あと二つの宮殿伝説が残っていたが、今は早く食べて薪をもらいにいかなければいけない。
話題はここで打ち切った。
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