生きとし生ける者

丹波 新

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さんざんな一日

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 オレは生れてから一度も幸せな生活というものを味わったことが無い。
 生まれながらにして親に売られ金の為にひたすら奴隷扱いさせられた。
 だからこそオレは復讐することにした親という存在に、奴隷商人という存在に、
 皆皆不幸にしてやると心に決めた。
 その時だった。何やら耳元で怪しい囁き声が聞こえて来た。
 それは言った、ぼく~~? 聞こえるかな? ぼくは皆の願いを聞き入れる者よ?
 ちからをあげる代わりにその心臓を頂戴、それで今までの恨みを全部晴らせるんだから、いいよね? いいよね?
 わかったとオレは言った。 
 よし契約成立、これでキミを束縛するもの邪魔するものは皆力で引き裂けるよ~~
 まぁ願いが成就したら、キミの心臓を取りに行くからそれまでは一人で頑張って~~
 お前は何者だと聞いてみた。
 それはね~~悪魔さ。
 そうして力を渡してくれた悪魔は消えていった。
 まず俺が行動した仕返ししたのはこの奴隷社会だった。
 何日も何日も碌な食事を取らせてくれない奴隷社会。
 俺は悪魔の力で、足に取り付けられていた鉄球を取り外し、看守に投げ飛ばし顔を潰して見せた。
 周りの奴隷たちはまるでヒーローの誕生のように賞賛してくれた。
 しかし、看守の顔を潰し殺してしまったことで別の看守たちが出てくる。
 周りのみんなは取り囲まれたオレに知らんぷり。
 上等だと思った。
 看守たちは各々武器を取り出して俺を抑えに掛る。
 ソレを俺は素手で折り曲げたり、形状を変えて刺し貫いたりとした。
 そうすると看守たちは、うわあああああああああああああ! と断末魔を上げて地べたに横になる。
 死んでしまったのだと目が見開いた状態の動かない看守を見てそう思った。
 そして別の看守は逃げまどったが、俺は逃がしはしなかった。
 腕を長く伸ばして捕まえる。これも悪魔からの力なのだろうと知らされた。
 捕まえたはいいがどうしていいかわからない。とりあえず、ありったけの力を手に加えてみると果実を潰すように看守たちはつぶれてしまった。
 死んでしまったのだだけど、俺はここに奴隷は何も感じない。
 今まで自分たちにどれほどつらい労働を強いて来たかを知らしめるためでもあった。
 殺しても何とも思わない。それどころか嬉しさを感じる。
 これで皆に復讐できる。まずはここの連中全員を悪魔様への生贄として殺しまっくった。
 ひきちぎったり、食べたり、折り曲げたり、潰したりして、奴隷たちをこの薄暗い地下牢な場所から解放してやった。そうするとありがとうと言う声が聞こえてきた。
 鉄と油のにおいが充満している。
 ようやく俺は皆に復讐できる機会を得ることが出来るのだった。
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