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別れ行く避難民と新しい選択肢

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警察署についたのだが 警察署は見るも無残に壊されていた

バリケードにしていたのか きれいに並んでいたはずの

パトカーは燃えていて おかしな並びになっていた

みんなで中に入ってみたのだが 制服を着た警察官が数人いただけで

避難している人もいなかった

聞いてみたのだが 警察署は避難所指定されてはおらず

避難してくる人は全然いなかったそうだ

知らずに避難してくる人はいたが 他の避難所や病院などに搬送したらしい

「誰だよ 警察に避難しようなんて言ったのは」

「知らないよ あんたじゃないのか」

「まさか 警察署が襲われてるなんて思わないよ」

「誰のせいだよ 何でこんな所に来てしまったんだ」

「責任とれよ」 「もういやよ 歩けない」

怒号や避難が飛び交う中 みんな疲れてしまったのか

警察署内にへたりこんでしまった

制服を着た警察官は 昨日より大きなゾンビが現れて 他の人たちを襲っては どこかに行ってしまったらしい

殺された人たちは 燃やして埋めたらしい そうしないとゾンビになる可能性があるからと

外にいるよりは安全と中で一夜を過ごすことになったのだが

みんな歩いて疲れきったのか 床に毛布を引いてすぐに眠っていった

俺も疲れていたが これからの事が気になって眠れなかった

大型のゾンビを退治したことで LVが上がったらしいのも確かめたかった

誰もいない所に入っては ステータスと心の中で思うと 目の前にボードが出てきた

LVは3になっていて 経験値が300/17 となっていた

確か前は 100/17 だったから 大型のゾンビは経験値 100で LVが上がったから

次のLVまでが 300になったってわけか RPGみたいに

ATK(攻撃力)や DEF(防御力)みたいなステータスが出ないのが気になるが

スキルも ウォーター LV2 にUPしてるしな 試してみたいが

今 外に出ると目立つしな 早朝に試してみるか

「はぁぁあ」大きなあくびが出た所で 限界が来たのかすごい眠気に襲われた

「もう無理」 かたい壁に横になりながら今日の眠りについた

夢を見た みんな揉めている 胸倉をつかんでは殴りかかろうとしている人や

責任をなすりつけあっては 警察署を出て行こうとしてる人たちもいる

だめだ みんなで生き残らなければならないのに だめだよ

手を前に出して止めようとしたところで 夢から覚め 現実に引き戻された

最近 夢を見ることが多くなったが これもスキルのせいだと確信している

正夢だとすると 警察署に来たことによる責任の擦り付け合いを始めるようだ

それに 他の避難所に行こうとする人たちが出ることになるようだが

それを止めることは俺には出来ないだろう

とりあえずバイトしている新聞配達のおかげか 朝早く起きられたので

外に出て スキルのLVアップを確認してみたい

寝ている人を起こさないようにそっと静かに歩きながら外に出てみると

まだ朝日が出ていないような時間帯だった

軽く体操をして体をほぐしながら周りを確認してみるが 人っこ一人もいない

ゾンビも周りにはいないようで 安心してスキルを試せる

「ウォーター」

近くの電柱にウォーターを試してみると 以前より勢いよく指から飛び出した

比べ物にならないくらいの水量で驚きながらも目標の電柱を指先から離さない

長い間 水が出ていたのだがやっとでなくなり 指を下す

電柱の下は結構な水たまりが出来ていたのだが これだけの水が自分のどこから出たのか

すんごい気になるところではある まぁ他にも不思議なことはたくさん起きているので気にしないことにした

そういえば体も何となく軽い気もしているのだが 軽く走ったりジャンプしてみるが

気のせいでなければ少しではあるが運動能力が上がっている感じがする 

これもLVアップの恩恵なのかなと思っているがどうだろう

一通り 試してみるといつの間にか 夜が明けていた 

みんな起きてきたのか警察署の中が騒がしくなってきていた

「おい どうするんだよ ここにいたってしょうがないだろ」

「おまわりさん ここは安全なのか」

「いえ ここはもう だめです 多くの同僚がゾンビにやられたり

 他の避難所に向かって行ったと思ったら帰ってこなかったりとここは本官を含めて3人しか残っていません」

「それじゃ ここは安全なんかじゃないじゃないか 何のためにここにきたんだよ」

「どうしてくれんのよ 先生たちがここに行こうって言いだしたんじゃないのよ」

「しかし 他の人たちも反対はしなかったし」

警察署内は避難して来た人たちでもめていて ひどい言い合いをしていた

人の本性はこういう時に出るというが その通りだと思った

見た感じ 3グループに別れるみたいだった

ここに残るグループ

他の避難所に移動するグループ

警察病院に車で向かうグループ

ここに残るグループは 移動することに疲れたようで動きたくないらしい

他の避難所に移動するグループは ここにはいられないと考えるグループ

警察病院に向かうグループは 学校に避難していた時に身内が警察病院に向かった人たち

この3グループに別れたのだが 自分はどうしようか迷っていた

母が心配なので出来れば警察病院に向かいたいのだが 車で移動するにはあの大型のゾンビに

襲われる可能性がある

ここにいれば他の警察署員が帰ってきて状況がわかるかもしれない

その方がいいかと思い 残ることにした

建物は所々 壊れかけてはいるが それでも警察署だ それなりの所を塞いでおけば

普通のゾンビなら 持ちこたえられると思う

移動するグループ達がここを出ようとしていたのだが

お巡りさんは危ないからと流石に止めようとしてはくれていた

自分も嫌な予感はしていて 止めようと手や声を出そうとはするのだが

うまく 行動に出せずにいた 

出て行く人たちをただ 見ているだけしかできなかったのだ

残った人たちは 自分を含めて 20人 と 警察官 3人 となってしまった


別れてしまった人たちも心配だが これからの自分たちがどうなるのかも

分からない未来に 心配でどうしようもなかった。



 
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