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答えのない話

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「お前の側近は預かっている。下手に隠し立てしないほうがこいつの為だと思え」

『……!誰だ』

あ、結局代わられてしまった……ていうか何というか物騒な……悪人のような文句で……そう思って神官様を見ると、神官様はアルの後ろに立ちながら唇に人差し指を当てて、困ったように笑っている。ぱ、とわたしは口元に手を当てた。
アルも何かを察したのか、表情は軽いままだけど口を結んで黙っている。頬に一筋、汗が見えた。

「……教会の人間だ。正直に答えるなら、お前の側近の無事は保証する」

『っ……教会の人間が……分かった、』

ブランは少し葛藤を挟んだようだけど、渋い声で応答をした。

「あんたはブラン・ダールク子爵で間違いがないか」

『…………そうだ』

「誰に命じられてローズを追放し、そして追ったんだ?」

『命じるも何も……僕個人の発案だ。そこにいる男は僕の命に従ったまで』

つい、とアストの視線がアルへ移る。わたしもつられてそっちを見た。アルがこくこくと頷いているのを見て、アストは小鳥へと向き直った。

「証文をどうした」

『……偽造した』

「罪と知っているな」

『無論だ。……覚悟をしている』

「なぜ彼女を追放した?」

『…………』

今度は、沈黙が続いた。……あれ、これって、この話ってわたしが聞いていいのかな……いや、わたしの話なんだけど。……当事者のはずなのに何でだろう。すごく、他人事感が……

「……わたしと婚約破棄したかったからじゃないの?」

ぽつりと、思わずつぶやいてしまう。……今までの私は、たぶん。外から見てそうされても仕方のないような状態ではあったし……

『………………そうだ』

長い間の後に、子爵の肯定する声が聞こえた。何の間だろう……?本人を前にして言いにくいだけとかなのかしら。通信ではあるから、本当に前にはいないけどね。

「……まあいい」

アストはそれだけ言うと、またテーブルへと小鳥の乗った止まり木を戻して、わたしの方を一瞥した。……交代ってこと?
何を聞こう。何を……そう思いながら、小鳥の前に出る。

「その話は……とりあえず、後にするとして。そっち、どうなってるの?……」

リリアは、という言葉を飲み込んだのは。わたし自身がはっきりしていない気持ちを、この人に伝えていいのかなと思ったからだったけど。
子爵はそれに気付いているのかいないのか、妹の話から始めた。

『さっき、リリアが危険だと言っていたが……こちらでも確認が取れていない。というより、それをしようとしてそこにいる側近と連絡が取れなくなった、というのが実情だ』

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