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アル、中央到着3

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飛んで探らせた小鳥を通じて、ある一角から会話が聞こえた。音を立てないように壁沿いを伝う。少し指先を前に出すと、小鳥が音もたてずにそこへと止まった。アルは目視で窓が見えるところまで近づくと、一度小鳥の側頭を撫でた。鳥は指へ懐く。
単純な魔力ならば阻害が強いが、この力は土地に馴染んだ小鳥を使うもの。小鳥に「悪いね」と断りを入れて、ぷつ、と1枚羽根を抜く。ぴりっと、アルの肌の一部がしびれた。

「んじゃ、よろしく」

その羽根を小鳥自身に咥えさせる。窓枠の小さな隙間に、軸の先端をすっと差し込ませた。室内の音がさっきよりクリアに聞こえるようになる。
小鳥自身も、窓の影になるように壁沿いで待機をしてもらうことにした。

目論見通り、やはりローズは教会にいた。あとは一人になるのを待って接触をはかり、話をしたい……ところだが。
すでにどれほどの話を教会へ明かされてしまったのか、それによっては取る対応が変わってくる。

(全部バレてたらどうすんだろ。謝って済むとも思えねーけどな……)

主は少し、この件に関しては不安定なところが目立った。それでも着いていくと決めたからには、意向に沿うべくこうして動いているわけだけど……

部屋の中ではどうやら、ちょうど証文の偽装が暴かれつつあるところだった。うわあ、と思いながらアルは天を仰ぐ。
空は青く、穏やかに雲が漂ういい天気だった。このまま戻って共に逃亡でもはかってやろうか、などと絵空事が浮かんでくる。

一人、部屋から出て行ったようだった。小鳥の視界を通じて覗く部屋の中では、ローズの他に同年代と思わしき男がまだ一人残っている。話はどうやら、ややこしい方面へとも向かっているようだった。
それでも途中までは(ま、どこの家にもいろいろあるよなー)程度に聞いていたアルだったが。

どく、と急に心臓が揺れた。

(なんだ……?)

体の方から揺り起こされるような動揺が溢れて、眉をしかめる。何か嫌な予感に押されて一度、小鳥を引き戻そうと唇に指をあてがうが。
それよりも早く、室内の会話が小鳥の……アルの鼓膜へと届いた。

「あんたの次に犠牲になるのは、その妹だと思う」

(ってことはそれ、ブラン様も危なくね!?)

動揺がぐらっと頭を揺らす。
あ、やばい。入りシンクロしすぎた。

止めようと思って手で口を押えたが、それもすでに意味はなかった。
人間アルの方の声は止められたが、小鳥にはアルの動揺がこれ以上なく伝わり、増幅され、驚きとなって声としてあふれた。

『えぇえええ~~~っっ?!』
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