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塔への突入、その果てに
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「ご両親が……?」
「はい、今しがた早馬で連絡が届いて……もっと後だと聞いていたから、皆少し、慌てていて……」
皆が慌てていると言うが、その筆頭はリリアだろう。
主人が留守にしていたとはいえ、使用人たちは仕事をさぼっていたわけではない。
出迎えに関して多少の用意は必要だろうが、それだけだ。
しかし、ブランは罪を犯し、リリアはそれに巻き込まれてくれた。
姉を追い出して、婚約を二人で結び直そうというのだ。
罪の意識を持つ人間が、下手を打てばいきなり断罪と対峙させられるのだから。
ブランは、自分の顔色もわずかに悪くなるだろうことを自覚しながら、リリアの肩へと手を置いた。
「……大丈夫だ。それに、いずれ話をする事は決まっていたんだ。早いか遅いかの違いで……とにかく、僕に任せていればいい」
「……はい」
そう言ってやると、リリアは少し落ち着いたようだった。
それからいくらも経たない内に、領主夫婦が帰還する。
礼を失しないように一度宿へ帰ろうかと過ったが、リリアを矢面に立たせる事がいい手とは思えず、ブランも一緒に夫妻を出迎えた。
馬車から降りてきた領主は、表情のない顔でリリアを見ると、次にブランへと目を留めた。
リリアが明るい声を上げる。
「っお父様、お母様……お帰りなさい!随分早かったのですね……」
「…………ああ、リリア。妙な虫がついていまいか心配でな……嫌な予感がしたのだよ」
「今戻ったわ……まあ!いらしていたのですね、ダールク子爵」
夫人は愛想よくブランへも挨拶をしたが、どこかくたびれた顔をしていた。
これはやはり、予定外の事らしい。
ブランはごくりと喉を鳴らすと、挨拶の後で切り出した。
「本日は……お話があって、参りました」
「……何ですかな?手短で済むとありがたいが」
「……お手間は取らせないつもりです。……えぇと……ここで、ですか?」
ここは敷地内ではあるが、まだ門を入ったばかりの場所だ。
「直接我が領地へいらした程に急用なのでしょう……ここで窺っても構いますまい。おい、先に入っていろ」
「えっ?えぇ、はい」
夫人は頷いて、荷物を持った使用人たちと屋敷へ向かう。
娘を連れて行きたそうにしていたが、彼女にも関係があるので……と伝えて、リリアには残ってもらった。
腰を据えてでも何でもない場だが、元から突貫で作り上げたような計画だ。
そもそも、手順を踏んでいないのは承知の上……
視界の端に、震えているようなリリアの身が見える。
その怯えるリリアの体を領主の視線から隠すように二人の間に立つと、えぇい、と覚悟を決めてブランは話し出した。
「実は……」
「はい、今しがた早馬で連絡が届いて……もっと後だと聞いていたから、皆少し、慌てていて……」
皆が慌てていると言うが、その筆頭はリリアだろう。
主人が留守にしていたとはいえ、使用人たちは仕事をさぼっていたわけではない。
出迎えに関して多少の用意は必要だろうが、それだけだ。
しかし、ブランは罪を犯し、リリアはそれに巻き込まれてくれた。
姉を追い出して、婚約を二人で結び直そうというのだ。
罪の意識を持つ人間が、下手を打てばいきなり断罪と対峙させられるのだから。
ブランは、自分の顔色もわずかに悪くなるだろうことを自覚しながら、リリアの肩へと手を置いた。
「……大丈夫だ。それに、いずれ話をする事は決まっていたんだ。早いか遅いかの違いで……とにかく、僕に任せていればいい」
「……はい」
そう言ってやると、リリアは少し落ち着いたようだった。
それからいくらも経たない内に、領主夫婦が帰還する。
礼を失しないように一度宿へ帰ろうかと過ったが、リリアを矢面に立たせる事がいい手とは思えず、ブランも一緒に夫妻を出迎えた。
馬車から降りてきた領主は、表情のない顔でリリアを見ると、次にブランへと目を留めた。
リリアが明るい声を上げる。
「っお父様、お母様……お帰りなさい!随分早かったのですね……」
「…………ああ、リリア。妙な虫がついていまいか心配でな……嫌な予感がしたのだよ」
「今戻ったわ……まあ!いらしていたのですね、ダールク子爵」
夫人は愛想よくブランへも挨拶をしたが、どこかくたびれた顔をしていた。
これはやはり、予定外の事らしい。
ブランはごくりと喉を鳴らすと、挨拶の後で切り出した。
「本日は……お話があって、参りました」
「……何ですかな?手短で済むとありがたいが」
「……お手間は取らせないつもりです。……えぇと……ここで、ですか?」
ここは敷地内ではあるが、まだ門を入ったばかりの場所だ。
「直接我が領地へいらした程に急用なのでしょう……ここで窺っても構いますまい。おい、先に入っていろ」
「えっ?えぇ、はい」
夫人は頷いて、荷物を持った使用人たちと屋敷へ向かう。
娘を連れて行きたそうにしていたが、彼女にも関係があるので……と伝えて、リリアには残ってもらった。
腰を据えてでも何でもない場だが、元から突貫で作り上げたような計画だ。
そもそも、手順を踏んでいないのは承知の上……
視界の端に、震えているようなリリアの身が見える。
その怯えるリリアの体を領主の視線から隠すように二人の間に立つと、えぇい、と覚悟を決めてブランは話し出した。
「実は……」
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