32 / 96
報告いたします(子爵視点)
しおりを挟む
<子爵視点、ローズ出立の朝>
『ブラン様』
「……首尾はどうなっている」
『見失いました』
「っなんだと……!?何をやってる!」
『ターゲットは昨夜町の宿屋に泊まりました。
こちらも向かいの宿に宿泊を決め、夜を徹して見張っていたのですが」
「ああ」
『夜中から明け方にかけてターゲットに大きな動きはありませんでした。そして朝になった頃、少し休憩をとベッドへ座ったのですが。思いの外これが気持ちよく……』
「寝たのか」
『ぐっすりと』
「き、貴様」
『先程目を覚ましたのですが既に店にはいないようでした。申し訳ありません』
「このっ……この、間抜け……!!」
『あ、髪型戻されたのですね。さらさらと風になびいておられる』
「今言うことか!」
『しかしこの豊かな土地で、ターゲットのやつれた背格好は目立ちます。外地へ向かう街道は基本的に一本道ですので、周囲を探索すれば程なく見つかるかと』
「お前……分かってるんだろうな……!?こっちはリスクを背負ってるんだぞ……!!」
『重々承知しております。それでは行って参りますが…………今一つご確認を』
「何だ」
『ここの宿泊料、経費で落ちますよね?』
「いいから早よ追わんか!!」
□□□
『ブラン様』
「見つけたか!?」
『は。やはり周辺の道をうろついていましたので、すぐに。
しかしターゲットですが、何らかの術を使った模様。
小鳥の反応によると間違いなく本人だと思うのですが、やつれた体は見違えるようで、年相応の体になっておりました』
「何……?魔石の力でも使ったか、小癪なことを」
『で、その後引き離されてしまい』
「なぜだ??」
『追尾用の小鳥が焼き菓子の……クッキーのようなものの食べこぼしに食いついてしまい、足止めを。
小鳥の説得にかかずらってる間に馬車が出発してしまいました。これは巧妙な罠です。あの女、やりますね……』
「ちゃんと餌をやれ……」
『しかし乗り込んだ馬車は確認済みです。路線から行って……あれは、国の中央へ向かう気なのでしょう』
「……中央か。厄介だな。
なるべく早めに接触をして事をなせ。くれぐれも、くれぐれも見失うなよ……!!」
『御意ーー!』
「返事はいいなお前は!!!」
『ブラン様』
「……首尾はどうなっている」
『見失いました』
「っなんだと……!?何をやってる!」
『ターゲットは昨夜町の宿屋に泊まりました。
こちらも向かいの宿に宿泊を決め、夜を徹して見張っていたのですが」
「ああ」
『夜中から明け方にかけてターゲットに大きな動きはありませんでした。そして朝になった頃、少し休憩をとベッドへ座ったのですが。思いの外これが気持ちよく……』
「寝たのか」
『ぐっすりと』
「き、貴様」
『先程目を覚ましたのですが既に店にはいないようでした。申し訳ありません』
「このっ……この、間抜け……!!」
『あ、髪型戻されたのですね。さらさらと風になびいておられる』
「今言うことか!」
『しかしこの豊かな土地で、ターゲットのやつれた背格好は目立ちます。外地へ向かう街道は基本的に一本道ですので、周囲を探索すれば程なく見つかるかと』
「お前……分かってるんだろうな……!?こっちはリスクを背負ってるんだぞ……!!」
『重々承知しております。それでは行って参りますが…………今一つご確認を』
「何だ」
『ここの宿泊料、経費で落ちますよね?』
「いいから早よ追わんか!!」
□□□
『ブラン様』
「見つけたか!?」
『は。やはり周辺の道をうろついていましたので、すぐに。
しかしターゲットですが、何らかの術を使った模様。
小鳥の反応によると間違いなく本人だと思うのですが、やつれた体は見違えるようで、年相応の体になっておりました』
「何……?魔石の力でも使ったか、小癪なことを」
『で、その後引き離されてしまい』
「なぜだ??」
『追尾用の小鳥が焼き菓子の……クッキーのようなものの食べこぼしに食いついてしまい、足止めを。
小鳥の説得にかかずらってる間に馬車が出発してしまいました。これは巧妙な罠です。あの女、やりますね……』
「ちゃんと餌をやれ……」
『しかし乗り込んだ馬車は確認済みです。路線から行って……あれは、国の中央へ向かう気なのでしょう』
「……中央か。厄介だな。
なるべく早めに接触をして事をなせ。くれぐれも、くれぐれも見失うなよ……!!」
『御意ーー!』
「返事はいいなお前は!!!」
38
お気に入りに追加
7,023
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる