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初めてのお風呂

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「お、お風呂ですか!?」

「あぁ、そりゃいいな。お嬢様、ひとっ風呂くらい浴びてってもいいでしょう!」

「あのお風呂、ちゃんと使えるかも見てもらわなきゃいけないしさぁ!」

「!?た、確かに!?」

そういえば朝は驚いたっきりで、全然そういうの見てなかった……
見た目だけで全然動かないかもしれないし!そーなったら、あんな大きいお風呂邪魔なだけだ……!

納得しちゃったわたしを、ひょいっと椅子から持ち上げて立たせるおかみさん。
そのまま、背中を押して二階の部屋まで連行されてしまった。

「よし決まりだ。さぁそうと決まったらほら行くよ、ハイハイハイ」

「えっ、えぇ、えぇぇええ」

「ゆっくり……じゃいけねぇのか。ちっとだけゆっくり浸かってきてくだせぇ!」

店主さん、それどっちぃ!?





………ということで、今わたしはお風呂に入っています……
周りが湯気でいっぱいだぁ……

ちゃんと、お風呂が使えるものだったのは嬉しかったんだけど。
朝起きて、お代を払ってすぐ出なきゃ……!
……って思ってたのに。

…………ちなみに、お代について聞いたら。

「なーーーに言ってんの!!こんな豪華な設備にしてもらっちゃって、ほんとだったらこっちが大金払うんだからね!?」

って言われちゃいました……



ちゃぷちゃぷ……
お風呂の中でお湯を掬ったりして遊んでみる。
おかみさんは、とっておきの入浴剤も入れてくれた。
ミルクみたいな白い濁り湯になってて、何かいい匂いがする。肌にもいいんだって!
わたしの肌、不規則すぎる生活してたからか、がさがさだからなぁ……嬉しい。

そーいえば、バスタブって初めて浸かったかも。
いつも生活魔法で済ませちゃってたし……これはすっごく気持ちいい。
高位の貴族の人達でも、好んで浸かるっていうの本で見たことあるし。
確かにハマっちゃうの、わかる……

……明るい部屋で見る、自分の貧相な体はちょっと悲しかったりするけど!



「お湯加減はどうだい?」

「あっ、はい!とっても気持ちいーです……」

「そー、そりゃよかった。タオルこっちに置いとくから」

仕切りの向こうからおかみさんが声をかけてくれた。

「ローブは……こっちは生活魔法が済んでるんだったねぇ……」

そういって、何か思い出したみたいにちょっと笑う。

「ふふっ……店主あの人がねぇ、浄化係からうちに戻ってきた時に言ってたんだよ。領主様のお嬢様がすげーんだって、目ぇきらきらさせてねぇ……」

「ぁ………」

あの時の浄化係の人達には、ほんとに優しくしてもらった。
生活魔法を教えてくれたのも、その人達だった。
今もまたこうやって、わたしは領民の人に助けてもらってる……

わたしは出ていかなきゃいけないけど、皆元気にやっていけるといいなぁ……


何か、しんみりしちゃった。
静かになっちゃたわたしを心配して、おかみさんがひょいっと仕切りから覗いてくる。

「ローズちゃん?のぼせてやしないかぃ?」

「ひゃぁー!」

後ろからだったけど、びっくりして変な声が出ちゃった。

「だぃっ、だ、大丈夫です!」

「そぉ?上がったらお水用意したげるからね。……にしても、ほんとにまぁ……」

「…………??」

そのままおかみさんは、ちょっと言葉に詰まったみたいだった。

「儀式ってのは、そんなに痩せちまうのかい……?」

言いにくそうにされて、やっと気づく。
ぁっ……も、もしかして。このガリガリの体……?!

「ぇ、えへへ……ちょっと、忙しくて、ごはんが……あっ、でも!でも!スープ!ここのスープ食べたんで……もう大丈夫だと思います!」

ばしゃんっ
くるっっと振り返って熱弁する。お湯はミルク色だから恥ずかしくない!
おかみさんは目を丸くしたけど、少ーしだけ笑ってくれた。

「……そーかい」

「はいっ。それに、お風呂にも入ったし………もうすっかり、元気です!」

ぐっ!と手を握る。ほら、こんなに健康に……って、言おうとしたんだけど。





ピカァ~~~~~~…………!!



「ふぁぁあああ!?!」

「!?!ろ、ローズちゃんっ!?」


は、発光した!?なんでぇ!!?
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