僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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一瞬、何が起こったのか理解出来なかった。

胸倉を掴んでいた目の前の男の身体が光を纏い、数秒、苦悶の表情を浮かべた後、瞳を瞑った。

そして再び男が瞳を開けた時、



「…その目、」

息を飲む事となった。妖精様と同じ赤い瞳に、色が変わっていた。抑制石とも似たその色は、会いたくて仕方のないあの方の色。

「は、はははっ、成功だ」

乾いた笑いがこぼれた。砂漠を彷徨い喉が乾いた時、目の前に欲しかった水がぶら下げられた様な…そんな感覚。

やたらと喉が乾いた。
歓喜した、
目の前の結果に、歪な笑みを浮かべて。

「ロカ今のって、」

片手で顔を隠すかのように覆った手。指と指の間から、目の前の男を見やった。どうやら自身の異変にまだ気付いて居ないようで、自身の犯した行いにたいして何やら弁明を口にしていたが、控えめに言って今はそれどころでは無かった。

「その話は後だ。鏡で顔を確認したらどうだ」

「鏡……?」

部屋の壁に飾るようにして立て掛けてあった鏡に皇子は目を向け、

数秒後、

気の抜けた声が部屋に溢れ落ちた。




「………………赤い、目?」


呆然とした顔で呆けていても様になるのは、きっとこの男くらいか。と、内心零しながら

ふと思い出すのは散々聞かされたあの言葉
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