僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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強襲かと思ったのは真夜中...といっても、朝の4時くらいだろうか。激しく叩かれるドアの音よりも先に、廊下を慌ただしく走る足音で目が覚めた。

育った家庭環境の影響かあまり深く眠らない俺は、身体に変な力が入り脳内ではまた刺客が俺を狙いに来たのかと身構えた。

(足音は...1人。音からして小柄だな。...いや、子供?)

そっと布団の中に隠した右手。
その右手に全神経集中させ、いつでも魔法を放出出来るように構えていたが、

勢いよくドアを開けた人物を見て杞憂だったと、一気に肩の力が抜けたのはすぐだった。


「夜中にすまん!邪魔するぞ。いきなりで悪いんだがもしうっかり俺が死んだら家族には不治の病で息をひきと、...いや、恋の病で死んだと伝えてくれ」

真夜中に、何故か嬉々としながら部屋に入ってきたロカが発した言葉に目を丸くした。

頬を赤らめ、やや息も荒く

どこからどう見ても興奮状態。



発している言葉と表情が合っていない気がしたのは...きっと気のせい、ではないと思う。






「...は?」

「じゃ頼むわ」

言うだけ言ったらすっきりしたのか、すん、とした顔で部屋を出ていこうとするヤバい奴。

「待て待てちょっと待て」

眠気もどこかに消え、思わず引き止めた俺の反応は至って普通。しかし、振り返ったロカの顔には煩わしそうな表情がありありと出ていて、

その気分の落差を間近で見た俺は、


「お前...変な薬でもやってるのか?ぺ、しなさい」





思わず諭す様に話しかけていた。

以前聞いたことがある。急に気分が上がったり、かと思えば泣き出したりと、

感情がかなり乱れるヤバい薬が流行っているとか何とか。


(確かあれ多量に摂取したら臓器とか排泄物とかすべて穴という穴から全部出るって聞いたけど本当なのかな)


心臓を冷たい風が撫でたような...そんな感覚






︎■










「で、こんな時間に何?気でも触れたのかな」
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