僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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人生の分岐点

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『ふわぁあああ!!おっきい御屋敷…』

案内して貰った場所、つまり宝石の持ち主の屋敷前にて僕は空いた口が塞がらない。

多分前世で知ってる学校っていう建物と大きさは似たり寄ったりかもしれない。まぁ、実際学校を直接見たことがないから断言は出来ないんだけど、それでも今目の前にある建物なら、人が100人くらい集まっても狭いとか感じなさそうで、

大きな建物を前に、ふと思ったのは…。



(ロカの居る場所にちゃんと辿り付けるかな)

ちょっとした不安だった。







◽︎



◽︎


外は暗く、ただ窓から覗く月明かりを頼りにブルーダーが歩く。屋敷まで飛んだからか、ちょっと疲れたみたいで二足歩行でトテトテと歩く姿はとっても可愛い。

僕、重いでしょ?歩くよ、って声を掛けたけど、全力で拒否られたから背中に乗ったまま。


たまにブルーダーの毛を撫でたり、お話をしたりして気づけば知らない場所、

見慣れない扉の前でブルーダーが足を止めた。



『ここって––––––––––』


もしかしなくてもロカの部屋、だろうか。

一応確認の為ブルーダーに視線を向ければ、自信ありげに頷かれ、

ほっ、と胸を撫で下ろした。

『どうしよ、中入っていいかな…?あ、でも、』

勝手に入ったら不法侵入になるんじゃ、


なんて今更過ぎる考えには気付かず、部屋の中に入るのを躊躇してしまう。



(あ、そうだ…!)

広い廊下で頭を抱えて悩んでいた僕は、勢いよく顔を上げた。

『やっぱり僕…最後にもう一回だけロカに会いたいな』



名案が閃いたと共に呟いたそれは紛れもない僕の本音。
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