僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

文字の大きさ
上 下
37 / 57

しおりを挟む
ずっと受け継がれてゆく力。そして言い聞かせるかの様に紡がれる言葉。ある時期までしか持ちえないそれを、何故代々深く追求しなかったのか。

ある日を境に俺は1つの仮説を立てた。

この受け継がれる力がもし、人間社会で畏怖されるものなら我々一家は…いや、先祖代々“消えるもの”として扱ったのでは、と。

実際俺たち家族は皇帝に絶対服従を誓っている。それは何故か、と問われればそういう家系だと言い聞かされていたが、

もし、見方を変えて

手元に置くことで監視ができるから、だったなら全てが当てはまる。

俺が生まれて直ぐの頃。
まだ闘い方も知らぬ内から次の皇帝の側近が決まっていた事は明らかに不自然だった。父さんにも、じぃちゃんにも「どうして自分なの?」と幼少期、聞いた事があった。

返ってきた言葉は当時、理解できなかったが


“これは既に決まっている事だから喜びなさい。この一家に生まれれば王家に使えるのが運命さだめだからね”と。



そしてまたループするように思考は何度もいったり来たりして、

王家が手元に置きたがる理由はやはり、

普通の人間が持ちえない“力”が関係していると思えた。だが、本当に一時的な力の出現であれば、わざわざ力が消えた俺たち一家を傍に置く必要性はないわけで、

ならなぜ代々我が家は王家を支える職種に難なくつけるのか、という難問にぶち当たるわけだが、


もし仮に、だ。
消えると言われている力が、人を脅かさないために“消されていた”とするなら、どうだろう。


(昔から言い聞かせるように受け継がれたこの力。祖父が生まれるもっと前…ご先祖さまが人であること、に視点を置いたなら…)

物語のように毎夜毎夜聞かされた消える力の事、

そして幼少期から持たされた抑制石。



肌身離さず持つように言われた石。

もし何かの弾みで力が暴走した時、

抑制石が押さえてくれると言われた。


ではもしその石が力を押さえる石ではなく、肌身離さず持つことで力を吸収し、

俺たち自身の力を消していた・・・・・なら?



(また会えるかもしれない…あの妖精様に)




確証はないし、前例もない。
でも試す価値はある。
あの無くした抑制石さえ手に入れば、きっとあの方に会える。

そんな予感がした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

顔だけが取り柄の俺、それさえもひたすら隠し通してみせる!!

彩ノ華
BL
顔だけが取り柄の俺だけど… …平凡に暮らしたいので隠し通してみせる!! 登場人物×恋には無自覚な主人公 ※溺愛 ❀気ままに投稿 ❀ゆるゆる更新 ❀文字数が多い時もあれば少ない時もある、それが人生や。知らんけど。

無自覚お師匠様は弟子達に愛される

雪柳れの
BL
10年前。サレア皇国の武力の柱である四龍帝が忽然と姿を消した。四龍帝は国内外から強い支持を集め、彼が居なくなったことは瞬く間に広まって、近隣国を巻き込む大騒動に発展してしまう。そんなこと露も知らない四龍帝こと寿永は実は行方不明となった10年間、山奥の村で身分を隠して暮らしていた!?理由は四龍帝の名前の由来である直属の部下、四天王にあったらしい。四天王は師匠でもある四龍帝を異常なまでに愛し、終いには結婚の申し出をするまでに……。こんなに弟子らが自分に執着するのは自分との距離が近いせいで色恋をまともにしてこなかったせいだ!と言う考えに至った寿永は10年間俗世との関わりを断ち、ひとりの従者と一緒にそれはそれは悠々自適な暮らしを送っていた……が、風の噂で皇国の帝都が大変なことになっている、と言うのを聞き、10年振りに戻ってみると、そこに居たのはもっとずっと栄えた帝都で……。大変なことになっているとは?と首を傾げた寿永の前に現れたのは、以前よりも増した愛と執着を抱えた弟子らで……!? それに寿永を好いていたのはその四天王だけでは無い……!? 無自覚鈍感師匠は周りの愛情に翻弄されまくる!! (※R指定のかかるような場面には“R”と記載させて頂きます) 中華風BLストーリー、ここに開幕!

消えたいと願ったら、猫になってました。

15
BL
親友に恋をした。 告げるつもりはなかったのにひょんなことからバレて、玉砕。 消えたい…そう呟いた時どこからか「おっけ〜」と呑気な声が聞こえてきて、え?と思った時には猫になっていた。 …え? 消えたいとは言ったけど猫になりたいなんて言ってません! 「大丈夫、戻る方法はあるから」 「それって?」 「それはーーー」 猫ライフ、満喫します。 こちら息抜きで書いているため、亀更新になります。 するっと終わる(かもしれない)予定です。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ──────────── ※感想、いいね、お気に入り大歓迎です!!

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

どうやら手懐けてしまったようだ...さて、どうしよう。

彩ノ華
BL
ある日BLゲームの中に転生した俺は義弟と主人公(ヒロイン)をくっつけようと決意する。 だが、義弟からも主人公からも…ましてや攻略対象者たちからも気に入れられる始末…。 どうやら手懐けてしまったようだ…さて、どうしよう。

処理中です...