僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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ずっと受け継がれてゆく力。そして言い聞かせるかの様に紡がれる言葉。ある時期までしか持ちえないそれを、何故代々深く追求しなかったのか。

ある日を境に俺は1つの仮説を立てた。

この受け継がれる力がもし、人間社会で畏怖されるものなら我々一家は…いや、先祖代々“消えるもの”として扱ったのでは、と。

実際俺たち家族は皇帝に絶対服従を誓っている。それは何故か、と問われればそういう家系だと言い聞かされていたが、

もし、見方を変えて

手元に置くことで監視ができるから、だったなら全てが当てはまる。

俺が生まれて直ぐの頃。
まだ闘い方も知らぬ内から次の皇帝の側近が決まっていた事は明らかに不自然だった。父さんにも、じぃちゃんにも「どうして自分なの?」と幼少期、聞いた事があった。

返ってきた言葉は当時、理解できなかったが


“これは既に決まっている事だから喜びなさい。この一家に生まれれば王家に使えるのが運命さだめだからね”と。



そしてまたループするように思考は何度もいったり来たりして、

王家が手元に置きたがる理由はやはり、

普通の人間が持ちえない“力”が関係していると思えた。だが、本当に一時的な力の出現であれば、わざわざ力が消えた俺たち一家を傍に置く必要性はないわけで、

ならなぜ代々我が家は王家を支える職種に難なくつけるのか、という難問にぶち当たるわけだが、


もし仮に、だ。
消えると言われている力が、人を脅かさないために“消されていた”とするなら、どうだろう。


(昔から言い聞かせるように受け継がれたこの力。祖父が生まれるもっと前…ご先祖さまが人であること、に視点を置いたなら…)

物語のように毎夜毎夜聞かされた消える力の事、

そして幼少期から持たされた抑制石。



肌身離さず持つように言われた石。

もし何かの弾みで力が暴走した時、

抑制石が押さえてくれると言われた。


ではもしその石が力を押さえる石ではなく、肌身離さず持つことで力を吸収し、

俺たち自身の力を消していた・・・・・なら?



(また会えるかもしれない…あの妖精様に)




確証はないし、前例もない。
でも試す価値はある。
あの無くした抑制石さえ手に入れば、きっとあの方に会える。

そんな予感がした。


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