僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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特殊

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深く下げられた頭に、僕はギョッとした。

(え……!?なに?なんでこんなに丁寧な姿勢なの?)

思わずブルーダーの背中から離れ、彼の頭の上をふよふよと飛ぶ。

『あ、あのっ、頭を…上げて?』

沢山聞きたいことはあったけど、最初に発したのはそれだった。まるで現世で言えば部下が社長にするお辞儀。

僕と少年は今日が初対面の筈なのに、


彼は妖精を知っているみたい。


思わず掛けた声を聞いてか、深々と下げていた少年が頭を上げる。



「えっと…すみません。俺、〝目〟はいいんですけど、言葉が……その、」

『……?』

申し訳なさげに逸らされた視線。少し気まずげに告げられたそれに、意味が分からず首を傾げてしまう。

目がいいっていうのは、つまり視力がいいって事かな…?


何故急に少年が視力自慢をし始めたのか、意図が分からず頭の上には沢山のクエスチョンマークが並んだ。

「あー。つまり、ですね…妖精様が話す言葉は特殊なんですよ」

『と、とくしゅ!?』


え、僕日本語話してるよ!?

全力で内心突っ込みを入れた僕は、同意を求める為に動物さん達に視線を向けた。

僕と少年の距離が近付いた事で、

何故かブルーダーがご立腹。


「ふんす!ふんす!」と言わんばかりに毛並みを荒立てていて、ツァールトが宥めていた。もしかしてブルーダー、人間嫌いなのかなぁ


と、かなりの見当違いをしている僕を他所に少年が言う「特殊」という言葉に皆が小さく頷いたのだった。


(僕の言葉が、特殊…?)


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