僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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遭遇②*

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俺の家系は代々特殊で、人間と獣の血を半分引いている。特別目立った異変がある訳では無いが、やたら夜目がきいたり鼻が良かったり。まぁ人によっては聴覚が優れている人もいる。

俺のひぃ爺ちゃんは足が早くて
おじいちゃんは夜目がきき、
お父さんは嗅覚が良かった。色濃く動物の特徴が出るのは決まって幼少期のみ。ある時期を過ぎると、嘘のように〝普通〟になっていくという。ただそれでもあまりにそれらが優れてしまうと、生活に支障を来すこともあり

ごく稀に、抑制石という名の宝石を身に付ける事がある。

勿論我々家計が異なる血を引く一族だというのは、外部に漏らすことを固く禁じられ

もし掟を破れば厳しい罰が下ると言う。



夢物語みたいな話し。でも、作話でも御伽噺でも何でもない。これは本当の話し。

だって俺もその血を色濃く引き継いだ者だから



「最悪だ……まさかあの〝石〟を無くすなんてっ」

零した声は言わずもがな自分自身の声で、苛立ちに任せながら言葉を紡ぐ。

眉間にはきっと三本皺が刻まれているのだろう。しかめっ面をしている自覚はある。


辺りをキョロキョロと警戒しながら、屋敷から少し離れた森へと来ていた。

草木が多い茂り、行く手を防ぐかの様な歩きずらさに舌打ちをしたくなる。


そんな衝動を堪えて、乱雑にも頭を搔いた。


「あの烏、確かこっち方面に飛んでいったよな…」








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