僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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認知

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僕の方が蟻より大きいけど、他の動物や生き物には大きさで勝てず唯一大きさ勝負をした時に勝てるのは蟻さんだけ。

だからかな、全然似てないけど。

蟻の仕草は時折、犬の甘える仕草に見えてくる。触覚が犬の耳みたいな。


『ねぇ、蟻さんのお家ってどんなところ?』

中腰になり蟻さんに話しを振れば、すりすりと頬擦りしていた蟻さんがピタリと動きを止め、

こてん、と頭を傾げた。

『僕ねここが今はお家だけど、前のお家はね良く覚えてないんだぁ。多分かなり広かった気がするんだけど…』

前世の事を溢せば更に不思議そうな仕草をされた。

(だよねぇ、前世の記憶がある妖精なんて珍しいよね)

あ、でも僕が前世の記憶を持っている。と言う事は、もしかしたら他の人も記憶を持って転生している可能性だってある、かもしれない。


『人と話せたらなぁ』

無理だと頭では分かっている。僕は妖精で、人には認知されない事くらい。だって転生して直ぐに、試したから。

森を出て、冒険者らしき人がたむろしていたから勇気を振り絞って声を掛けた。

まぁ、言わずもがな綺麗にスルーされてしまったけれど。



それを何度か繰り返して、察した。

僕は妖精で。
人と言葉を交わす事は…難しい、って。




最初はかなりがっかりしたし、寂しいなぁって悲観したけど。でも直ぐに立ち直れたのはみんな動物さんのお陰。

森を出てしまった僕を皆が迎えに来てくれた
心配そうな顔をして。
人間から守るかの様な姿勢まで見せて。


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