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遭遇①
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(え…?こど、も?大変っ、ど、どうしよっ)
あわあわと慌てるのは子供が倒れているから、だけではなく。その子供が血まみれだったから。
服にはベッタリと血がつき、地面にすら血の色を染み込ませていた。
(酷い怪我…何かに切られた、みたいな)
うつ伏せで横たわる小さな子供の背中を見て、無意識にも眉間にシワが寄る。
今もまだ止まることなく流れ出ている血
子供が着ている洋服は最早血の色で染められ、元の色が何色だったかすら分からない。
言わずもがなこのまま放っておいたら目の前の子供は、命を落としてしまうだろう。
もし運良く生き延びたとしても、
(ここは森の中。僕には優しい動物さんたちでも、)
そっと顔を上げれば、こちらの様子を伺うようにして見ていた彼等と目が合った。きっと僕がこの場を離れれば、食べていいと認識してしまう。
この場に留まっているからこそ、彼らは様子を見ているのだろう。
『食べちゃ、めっ。ご飯じゃないからね』
敢えて聞こえるように言ったのは、木々に隠れて様子を伺っている彼等に向けて。そして空を飛び、くるくると宙を回っていた鴉や、鷹に向けて。
指でバツを作って、駄目だと意思表示。
普通だったら動物が人の言う事なんて聞かない。でもそれは前世の話し。
これは憶測にすぎないんだけど、ここは異世界で多分魔法とか普通に存在する世界。
妖精は動物の中で位置付けがかなり高いんじゃないかなぁ。だからこうして、僕の行くとこ行くとこに動物さんたちが集まって来てくれる。
時々、ほっぺたをペロリと舐められる事はあるけど餌認定されてるわけじゃなくて
どっちかと言えば愛情表現みたいな。
『とりあえず…手当、しないと』
あわあわと慌てるのは子供が倒れているから、だけではなく。その子供が血まみれだったから。
服にはベッタリと血がつき、地面にすら血の色を染み込ませていた。
(酷い怪我…何かに切られた、みたいな)
うつ伏せで横たわる小さな子供の背中を見て、無意識にも眉間にシワが寄る。
今もまだ止まることなく流れ出ている血
子供が着ている洋服は最早血の色で染められ、元の色が何色だったかすら分からない。
言わずもがなこのまま放っておいたら目の前の子供は、命を落としてしまうだろう。
もし運良く生き延びたとしても、
(ここは森の中。僕には優しい動物さんたちでも、)
そっと顔を上げれば、こちらの様子を伺うようにして見ていた彼等と目が合った。きっと僕がこの場を離れれば、食べていいと認識してしまう。
この場に留まっているからこそ、彼らは様子を見ているのだろう。
『食べちゃ、めっ。ご飯じゃないからね』
敢えて聞こえるように言ったのは、木々に隠れて様子を伺っている彼等に向けて。そして空を飛び、くるくると宙を回っていた鴉や、鷹に向けて。
指でバツを作って、駄目だと意思表示。
普通だったら動物が人の言う事なんて聞かない。でもそれは前世の話し。
これは憶測にすぎないんだけど、ここは異世界で多分魔法とか普通に存在する世界。
妖精は動物の中で位置付けがかなり高いんじゃないかなぁ。だからこうして、僕の行くとこ行くとこに動物さんたちが集まって来てくれる。
時々、ほっぺたをペロリと舐められる事はあるけど餌認定されてるわけじゃなくて
どっちかと言えば愛情表現みたいな。
『とりあえず…手当、しないと』
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