親衛隊総隊長様は攻略されそうです

ふわりんしず。

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ハッピーエンドーR18なしー

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俺を見つけて、俺を知ろうとした奴。

それが黄賀崎 麗央だった。やたら喋ってくる奴。よく笑って、よくスキンシップをしてくる黄賀崎は嫌われ者の俺にすら優しさを与えてくれた。

側には毎日違うチワワくんたちを侍らせていたけれど…俺は黄賀崎と過ごす時間、嫌いじゃなかった、


あのビッチにも優しい黄賀崎様

何人かが裏でそう口にしていたのを知っていた。だから、極力距離を取ろうとしたし。嫌われる努力もした。

俺は彼の側にいちゃいけない、



そう思ったのは漫画の影響だけではなく…、

あまりにも黄賀崎が優しく接してくれたから

大事な宝物、みたいに接してくれたから…



だから怖かった。

勘違いしそうになる自分に。

馬鹿だよね。嫌われ者のポジションを自分で選んで、ビッチというデマと噂で自分自身を守った俺なんかが…、



漫画みたいにかっこいい黄賀崎を好きになるなんて。


報われるはずが無い。

もし、これ以上好きになったらどうなるんだろう。もし、漫画みたいな転校生が現れて、彼の心を奪ってしまったら俺は…


見守れるのだろうか、

笑っておめでとう、なんて言えるのかな。




漫画の様な転校生と黄賀崎が付き合ったら、

もしも。を考えるだけでこんなにも…


胸が苦しくなるのに、

『––––––––––お、れは』

彼の気持ちは一時の気の迷いかもしれない

そう思うと声が震えた。

いつか夢から目が覚めて、彼は本当の恋をするのかもしれない。なんて…全部空想なのに

楽観視できないのは、引き返せないところまで俺が彼を好きになってしまっているからだ

『俺は…一途なヤツが好き、だ』

「うん。柚くんしか見ないよ。約束する」

『そ、それに…後からやっぱなしとか嫌だし。…運命とか、一目惚れしたから別れて。なんて嫌だ、し』



「うーん。運命の人はもう目の前にいるから絶対別れるとか言わないよ。誓う…柚くんに」




穏やかな声のまま、彼は更にぎゅっと俺を抱きしめる。背中を撫でる手はゆっくりなのに

服越しに伝わる彼の鼓動は…早かった


『お、…俺で、いいの?』

「柚くんじゃなきゃ嫌だよ」

「…仲のいい子はいっぱいいるのに?」



思わず溢した一言に、踏み込み過ぎたかと身構えたものの彼は至極真面目な声で囁いた


「柚くん、絶対笑わないって約束して」

『え?…約束?…なに、急に、』

「いいから。約束して。ぜったいに笑わないって」



『え、あ…うん。する、』



少し危機迫る顔で言われて、思わず頷く俺に黄賀崎は小さい声で呟いた。それはもう聞き取れないくらいに小さすぎる声で。


「欲情しないんだ。…柚くん以外だと」


歩く下半身と噂されている彼は爆弾発言を投下するのであった。
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