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ハッピーエンドーR18なしー

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『助けてくれ、た?…何言って、』


思いっきり顔を顰めてしまったが、そこは許してほしい。だってまるで俺がこいつ…げふんげふん、無駄に顔面偏差値が高いプレイボーイを助けた。みたいな言い方するから、

そう。つい、何言ってんだ?俺は歩く下半身を助ける趣味はねぇぞ

って、顔になっても致し方ない…筈だ。



「うん。覚えてないのも無理はないよねぇ」


緩やかに。とても落ち着いた声音で告げた彼は、

綺麗な蜂蜜色の前髪に手を伸ばし、

付けていたピンをゆっくりと外した。

瞬間、止められていたピンがなくなる事でさらりと前髪が垂れ彼のご尊顔を跡形もなく隠してしまう。まるで貞◯の男バージョンと言ってもいいくらいには…


違う意味で迫力があった。


「中学の夏」


『?』


「本当の君を最初に見た。この格好の俺と、柚くんは会ってるんだよ」



おろしていた前髪を掻き上げ、そのまま艶っぽい表情のまま彼の瞳に俺を映す。

真剣な顔も、
どこか必死さを押し殺す仕草も、

彼にしては似合わないと思うのに…


そんな彼を引き出しているのが自分だ、と思うと不思議な感覚がする。



胸がきゅ、とするのはきっと…






「どんな柚くんも好きだよ。だから…俺を好きになって」



気のせいなんかじゃない、

そんな気がした。













中学、

体調が悪く髪の毛をセットしないまま登校したところ、途中で吐き気に襲われ蹲っていたこと。

意識が無くなりかけ、床に突っ伏しかけていたところ偶々通りかかった俺が声を掛け、保健室まで付き添った事


ずっと体調が良くなるまで介抱してくれた事


名前が聞きたかったのに、保険医に渡された薬で寝てしまい名前が聞けなかったこと。


何度か廊下で俺を見かけ、声を掛け様としたこと。でも当の俺は人との接触をどこか避ける節があり、中学では声を掛けれず、

気付けばお互いに高校生になっていた事




「びっくりしたんだよ。高校ではかなりキャラ変してるんだもん。

最初はどっちの柚くんが本物か分からなかった」

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