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実は色々筒抜け
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ガチャリ、と重い玄関の扉を開ければそこに立っていたのは…見覚えのある顔の男の子が満面の笑みで立っていた。見間違えるはずが無い。なんならずっとずっとずっと、彼がSNSで投稿した写真をスマホのフォルダに保存していたし。彼が投稿する度に彼の写真が増え続けて、フォルダは彼1色と化していた。
見飽きるぐらいに何度も眺めた写真。
何十回何百回眺めた推し、
飽きるぐらいにみた筈なのに飽きる事は無かった。手の届かない推し。
眩しい場所に立ち、咲き続ける彼が……
どうして俺の目の前にいるのか、
頭をフル回転させてもその答えは分かるはずも無く。ただ、目を白黒させるだけ。
『えっ……な、…は?』
ふわりと香る花のような、優しい匂い。
時折風で靡く蜂蜜色の柔らかな髪からも、いい匂いがして、嫌でもこれがリアルだと教えてくれる。
なにこれ。なんだ、これ。
どうしてここに俺の推し、コトコが居るのか
それを教えてくれたのは他でもない彼だった。
「来ちゃった!ねぇ、中入っていい?」
『は、はい?』
「やったぁ。じゃぁ、お邪魔しまぁす」
はい?と聞き返した言葉を何故か了承の返事と受け取ったらしいコトコは嬉しそうに当たり前の顔をして俺の家の中へと入る。
目の前をコトコが通り過ぎ、さも当然と言わんばかりに俺の腕を引く。
あ、あれ。俺たちって知り合いだったっけ
なんて考えて勢いよく頭を振った。いやいや、それはどう間違えても有り得ないし、俺は一方的に彼を知ってはいるが、彼個人として知り合った記憶は一切ない。
『え、なにこれどういう状況』
「あれ。意外とシロくんは頭が弱いタイプ?ふふっ、学校の成績はいいのに」
ただでさえくりくりとした大きな瞳が、さらに驚いたと言わんばかりに見開かれ、
その、きょとんとした表情は幼く彼を見せた
普段であれば迷わず保存動画もしくはスクショ案件だがちょっと落ち着いてほしい。特に俺が。
今、彼はなんて発しただろうか。
確かに彼はこう言った。“学校の成績はいいのに”と
まるで今までの俺を知っている、みたいな口調
「ふふっ。僕はシロくんの事ならなんでも知ってるよ。バイト終わりにコンビニでポテトフライを買うのが習慣な事も、就寝時間も。最近…推し変した事も。全部ね」
ゆっくりと口角を上げて笑う推し
けれど彼の瞳はとても静かに怒りを含んでいた。
「だから、ね。シロくんに会いにきちゃった。僕を好きだった癖に裏切るなんて、他の奴を見るなんて許さない
僕を狂わせたんだから…責任、取ってね?」
いつも見ていたキラキラした笑顔
ずっと支え続けた推し
これからも上に行き輝き続ける彼が、歪な笑みを浮かべて視野に俺を映した。
ちくたく、とどこかの部屋の時計が針を刻む音がする中
嫌な汗が背中を伝い、
ごくり、と唾を飲む音が廊下に響いた気がした。
⚠︎ここで完結にするか迷い中。
ここまで読んで下さりありがとうございました!!!
見飽きるぐらいに何度も眺めた写真。
何十回何百回眺めた推し、
飽きるぐらいにみた筈なのに飽きる事は無かった。手の届かない推し。
眩しい場所に立ち、咲き続ける彼が……
どうして俺の目の前にいるのか、
頭をフル回転させてもその答えは分かるはずも無く。ただ、目を白黒させるだけ。
『えっ……な、…は?』
ふわりと香る花のような、優しい匂い。
時折風で靡く蜂蜜色の柔らかな髪からも、いい匂いがして、嫌でもこれがリアルだと教えてくれる。
なにこれ。なんだ、これ。
どうしてここに俺の推し、コトコが居るのか
それを教えてくれたのは他でもない彼だった。
「来ちゃった!ねぇ、中入っていい?」
『は、はい?』
「やったぁ。じゃぁ、お邪魔しまぁす」
はい?と聞き返した言葉を何故か了承の返事と受け取ったらしいコトコは嬉しそうに当たり前の顔をして俺の家の中へと入る。
目の前をコトコが通り過ぎ、さも当然と言わんばかりに俺の腕を引く。
あ、あれ。俺たちって知り合いだったっけ
なんて考えて勢いよく頭を振った。いやいや、それはどう間違えても有り得ないし、俺は一方的に彼を知ってはいるが、彼個人として知り合った記憶は一切ない。
『え、なにこれどういう状況』
「あれ。意外とシロくんは頭が弱いタイプ?ふふっ、学校の成績はいいのに」
ただでさえくりくりとした大きな瞳が、さらに驚いたと言わんばかりに見開かれ、
その、きょとんとした表情は幼く彼を見せた
普段であれば迷わず保存動画もしくはスクショ案件だがちょっと落ち着いてほしい。特に俺が。
今、彼はなんて発しただろうか。
確かに彼はこう言った。“学校の成績はいいのに”と
まるで今までの俺を知っている、みたいな口調
「ふふっ。僕はシロくんの事ならなんでも知ってるよ。バイト終わりにコンビニでポテトフライを買うのが習慣な事も、就寝時間も。最近…推し変した事も。全部ね」
ゆっくりと口角を上げて笑う推し
けれど彼の瞳はとても静かに怒りを含んでいた。
「だから、ね。シロくんに会いにきちゃった。僕を好きだった癖に裏切るなんて、他の奴を見るなんて許さない
僕を狂わせたんだから…責任、取ってね?」
いつも見ていたキラキラした笑顔
ずっと支え続けた推し
これからも上に行き輝き続ける彼が、歪な笑みを浮かべて視野に俺を映した。
ちくたく、とどこかの部屋の時計が針を刻む音がする中
嫌な汗が背中を伝い、
ごくり、と唾を飲む音が廊下に響いた気がした。
⚠︎ここで完結にするか迷い中。
ここまで読んで下さりありがとうございました!!!
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