ストーリーが終わった後のキミと俺ー最初から好きなのはアンタだけー

ふわりんしず。

文字の大きさ
上 下
14 / 22

騎士の警備

しおりを挟む
正門から出勤すれば登校時間の生徒らに『先生おはようごさいます!』と、朝から元気な挨拶を何度か受け取った。

朝の空気はどこかひんやりしていて、体内の何かを浄化してくれるような…そんな気がする。


気を引き締める様にして一度深呼吸をし、ふと違和感を覚えた。目の前に広がる、見慣れ始めた校舎。そして校舎を囲む様にして作られた校庭。

靴箱前には学生用、職員用に設けられた警備員室があり必ず生徒手帳と自身の顔を見せた後、教室もしくは職員室へと行くことが出来る。

学校に警備室?と思うのも無理はないが…

ここに通う生徒らに価値があるのは事実。だからこそ警備はしっかりとしていた。

警備室の窓から顔を出し、いつも穏やかな笑顔で迎えてくれていた警備員さんとちょっとした世間話をしたりする事もあって、


ほんのちょっとだけ、この学校にも慣れてきたかな。なんて思えていたのだが、

(あのおじさん、今日は休みなのか)

定位置の場所に見慣れた人物は立っておらず、代わりに警備室の外。つまり廊下側にはラフな格好をした成人男性等が佇んでいた。

腰に剣を帯刀していないにも関わらず、何故だか騎士を連想させたのは日本でいう軍人の立ち姿と似ていたからだ。


警備をしている、というよりただ眺めている風を装いたいのか緊張感も殺気すらも押し殺している。なんなら気軽に、近くを通った生徒に向かって「おはよう。ねぇねぇ名前教えてよ」なんて言っている輩も…って、おいおい

軽くナンパしてる奴もいるんだが?仮にもお前ら、仕事・・で来てるんだよな

ちゃっかり、しっかりナンパしてんじゃねぇぞ。


そう、俺の読みが正しければ彼等は国のお抱え騎士…ではないだろうか。

とはいっても沢山の部隊があるから、何処の誰が来ているのかまでは知らないけど。

国が動く案件があるとすれば、十中八九アレしかないだろう。




魔力暴走、だ。つい最近リーハスが騎士の見回りが増える、と言っていたが…

まさか学園の中にまで入ってくるとは。なんともまぁ物騒な事で

(学園内で何も起きないことを願うしかないな)

思わず内心で呟きながら、止まっていた足を進めた。きっと今日も職員室のドアを開けば珈琲の香りが漂うのだろう。

俺の新しい職場。

そして長いことお世話になるであろう職場。




きっかけはなんであれ、この場所に来たのは正解だった。

進んだ教育方針と、周りを囲んだ自然


心が落ち着くこの場所は、この世界が本の世界だとか。前世の事だとか、色々忘れさせてくれる。このままのんびり年を取るのも…


『悪くないかもな』


職員室に向かう廊下。

時折生徒らとすれ違う中、ポツリと零した声は誰かの耳に入る事無く消えてゆく。

















『なん、で…ここに居るんだよ…、』

数時間後、思いもよらない人物が俺の前に現れたのはまだ少し後のこと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

捨て猫はエリート騎士に溺愛される

135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。 目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。 お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。 京也は総受け。

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

処理中です...