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麦茶
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コンビニのお菓子コーナーの前で俺は、間抜け面を晒しながら…
『…は?』
聞き返したのは言うまでもないだろう。
□
■
□
温泉を通り過ぎて、公園を抜けると早数分
大きくもなく小さくもないマンション(5階建て)が見えてくる。そこが俺の住処…
なのだが、
『さ、30秒待って。良いよって言うまで待ってて』
玄関前で、ふと思い出したのは、
あ。やっべぇ部屋汚ねぇ…、って事だった。
大変申し訳ない、とは思ったが□□さんには外(玄関前)で待ってもらい大慌てで部屋へと駆け込んだ。
『昨日片しとくんだった。取り敢えずエロ本は…っと、本棚の2列目に隠してるしバレない、よな』
エッチなDVDが床に落ちてないか再度確認した後、
普段は使っていない香水を部屋に振りまいて完成だ。
『お、おまたせ』
重たいと今まで感じたことの無いドアが何故だか今日はやたらと重く感じる。
そんな玄関のドアを開け、
ずっと外で待たせていた彼を迎え入れるのだった。
「お邪魔します。あ、手土産とか買ってなくて。変わりにこれ、よかったら」
玄関に入るなり、ごそごそとカバンの中をあさる□□さん。
肩掛け鞄から出て来たのは…
包装された正方形のなにか。
『え、いやいや何もいらないって。俺貰ってばっかじゃん』
「ディディさんのCDです。販売前のサイン付き」
『まじでぇ!?』
がし、っと前に出されたそれに条件反射で受け取った俺は…悪くない、悪くないぞぉおお
因みにディディさんはかなりの大手さんでブイチュー◯ーさんだったり。
今ではかなり人気があってCDやグッズその他諸々を出していて、
欲しい欲しいとは思ってるものの、直ぐに完売するからもはや買えるのか!?
なんてファンの間で言われていたりする。
そんな彼のCD+サイン付きなんて、受け取るしかないじゃないか。
「よかった。喜んでもらえて。
実は今日あくあさんに会えるの楽しみにしてて、せっかく会えるんだから何かプレゼントしたいなぁ、って思ってたんで」
『めっっちゃいいヤツじゃん!!!とりあえず玄関じゃあれだし、上がって上がって』
思わず満面の笑みになる。
正直俺も楽しみ…、というか、□□さんが俺ん家に来るの緊張してて
なに話そ、とか考えていたけど
CDを受け取った俺を見て、ほっとした様な…
胸を撫で下ろす彼を見て俺も肩の力が抜けた
なんというか画面越しで知り合ったからか、そんな表情が人間くさくて安心するというか
なんというか…、
『あ、ここ俺の部屋。適当に座って待ってて。飲み物麦茶とココアどっちがよき?』
「じゃあ麦茶で」
『おけおけ』
部屋のドアを開けて、中へ促せば彼は一瞬躊躇した後、小さい声で何かを呟いた
人気者の駆け出し歌い手の彼が、
この空気お持ち帰りしたい、
なんて発した事など知る由もなく、
俺は麦茶を入れるために、キッチンへ向かったのだった。
『…は?』
聞き返したのは言うまでもないだろう。
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温泉を通り過ぎて、公園を抜けると早数分
大きくもなく小さくもないマンション(5階建て)が見えてくる。そこが俺の住処…
なのだが、
『さ、30秒待って。良いよって言うまで待ってて』
玄関前で、ふと思い出したのは、
あ。やっべぇ部屋汚ねぇ…、って事だった。
大変申し訳ない、とは思ったが□□さんには外(玄関前)で待ってもらい大慌てで部屋へと駆け込んだ。
『昨日片しとくんだった。取り敢えずエロ本は…っと、本棚の2列目に隠してるしバレない、よな』
エッチなDVDが床に落ちてないか再度確認した後、
普段は使っていない香水を部屋に振りまいて完成だ。
『お、おまたせ』
重たいと今まで感じたことの無いドアが何故だか今日はやたらと重く感じる。
そんな玄関のドアを開け、
ずっと外で待たせていた彼を迎え入れるのだった。
「お邪魔します。あ、手土産とか買ってなくて。変わりにこれ、よかったら」
玄関に入るなり、ごそごそとカバンの中をあさる□□さん。
肩掛け鞄から出て来たのは…
包装された正方形のなにか。
『え、いやいや何もいらないって。俺貰ってばっかじゃん』
「ディディさんのCDです。販売前のサイン付き」
『まじでぇ!?』
がし、っと前に出されたそれに条件反射で受け取った俺は…悪くない、悪くないぞぉおお
因みにディディさんはかなりの大手さんでブイチュー◯ーさんだったり。
今ではかなり人気があってCDやグッズその他諸々を出していて、
欲しい欲しいとは思ってるものの、直ぐに完売するからもはや買えるのか!?
なんてファンの間で言われていたりする。
そんな彼のCD+サイン付きなんて、受け取るしかないじゃないか。
「よかった。喜んでもらえて。
実は今日あくあさんに会えるの楽しみにしてて、せっかく会えるんだから何かプレゼントしたいなぁ、って思ってたんで」
『めっっちゃいいヤツじゃん!!!とりあえず玄関じゃあれだし、上がって上がって』
思わず満面の笑みになる。
正直俺も楽しみ…、というか、□□さんが俺ん家に来るの緊張してて
なに話そ、とか考えていたけど
CDを受け取った俺を見て、ほっとした様な…
胸を撫で下ろす彼を見て俺も肩の力が抜けた
なんというか画面越しで知り合ったからか、そんな表情が人間くさくて安心するというか
なんというか…、
『あ、ここ俺の部屋。適当に座って待ってて。飲み物麦茶とココアどっちがよき?』
「じゃあ麦茶で」
『おけおけ』
部屋のドアを開けて、中へ促せば彼は一瞬躊躇した後、小さい声で何かを呟いた
人気者の駆け出し歌い手の彼が、
この空気お持ち帰りしたい、
なんて発した事など知る由もなく、
俺は麦茶を入れるために、キッチンへ向かったのだった。
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