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平等に溢れた世界

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 翌朝、太陽が顔を出したと同時にレグノは目覚めた。部屋の荷物受けに昨日頼んだ洗濯物と一緒に赤い服が入っていた。その後シャワーを浴びて、用意された赤の服を着てロビーの近くのレストランを訪れると、やはり赤色の服を着たスタッフが出迎えてくれた。朝食はバイキング形式で、美味しかった。

 満腹になるまで食べたあと部屋に戻るとマーロはまだ寝ていた。レグノはマーロにかけてある毛布を取り上げるとそのままベッドから落とした。ごんと言う鈍い音が響きマーロは起き上がる。

「おはよう」

「うーんおはようレグノ。私なんだかすごく体が痛いのだけれどなぜかしら?」

「さぁ、きっと寝相が悪くてあちこちぶつけたんじゃない?」

「そうかしら、私は寝相が良い方だけど……」

「寝相が悪い人は自分が寝相が悪いことを知らないのさ」

 そんなことを言いながらレグノは荷造りをはじめる。マーロは寝ぼけたまま、シャワーを浴びに行くといって着ている服を脱ぎ捨てた。レグノがため息をつきながら顔を背ける。あの調子では、出発は太陽が空高く上がる頃だな。

 太陽が空高く上がった頃、マーロはようやく身支度を整えた。

「うーんっ! ようやくダサい服ともおさらばね」

「マーロ、どうでもいいけど人を待たせてるから」

 ふたりはホテルをチェックアウトして、ホテルマンにもらった地図を見ながら丘の上にあるこの国の歴史資料館に向かった。

 マーロが支度をしている間、レグノは、わざわざ迎えに来てくれた従者の方に詫びを入れ、時間を変更してもらえるように頼んでいた。こちらの不手際にも関わらず丁寧な対応で承諾してくれたことに感謝しつつ、それでも迎えをよこしてくれたことに申し訳なく思う。

「ねぇおじさん、せっかくだからこの国のお土産を買いたいわ」

「すみません、ちょっとマーロ携帯食料はもう譲ってもらっただろう」

「でも、こんなヘンテコな国を観光せずに出発するのは惜しいわ」

 自分勝手なことを言うマーロに困惑するレグノ。しかし迎えの従者は微笑みながら

「問題ありませんよ、我が国をゆっくり観光されますか?」

「いえ、これ以上はご迷惑をかけられませんから」

 きっぱりと断るレグノに不満顔なマーロはすぐに不機嫌になり口をとがらせる。

「よろしいですか」

「はい、目的地までお願いします」

 車はスピードを上げて中心街から離れていく。
 
 
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