ロードノベル 死ねないレグノと生きたいマーロ

うさみかずと

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平等に溢れた世界

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 そのままホテルを出て辺りを見回すと道路を一本挟んだところにレストランとかいてある建物があった。カラス越しに見える客や店員はみんな男性なら青い服。女性なら赤い服を着ている。

「やっぱり変よ。この国」

 青い服を着たマーロが追いかけてきて言った。

「明日この国の歴史について調べてみようか」

 レストランに入ったふたりを出迎えたのはやはり同じ服を着た人たちで、門の外から来たことを話すと条件つきで今晩の食事を無料にしてくれるというのでレグノは二つ返事で承諾した。

「何を話していたの?」

「うん、たいしたことじゃないよ。ただちょっと明日この国の人に会う約束をした」

「ふーん」

 聞いたわりに対して興味のなさそうにマーロはメニュー表を眺める。

 しかしそこに書かれているメニューはひとつしかない。

「もうなんなのよ、一つしかないならメニュー表なんていらないじゃない」

「わびさびってやつじゃないかな」

 悪態をついてメニュー表をテーブルに放り投げたマーロにレグノは口元を緩ませながら言った。

 ふたりはメニュー表にあったたったひとつのメニューを注文する。焼き魚と米のような穀物と野菜、デザート不思議な色のフルーツの料理を全ての客が食べている。五分もしないうちにその料理が運ばれてきて、ふたりはそれを食べた。おいしかったと言っていい。

 ホテルに戻るとレグノはシャワーを浴びた。明日のことをマーロと相談するつもりで早くあがったのにマーロはベッドで寝息をかいて寝ていた。レグノがマーロの体を揺すって起こすと彼女は不満そうに睨んでくる。 

「明日のことなんだけど」

「眠いの」

「それは僕も同じさ」

「私はねレグノ、きれいでふかふかなベッドがあるとすぐに眠くなる病気なの。難病なの。もう永くないの。だからおやすみなさい」

「そうじゃなくて明日の……」

「もう! あなたって人は本当にわびさびがないわね!」

「わびさびとは?」

 そう言うとマーロは、もうなにをしても起きることはなかった。レグノは諦めて、

「おやすみなさい。マーロ」

 小さくつぶやくと、こくりと頷いてまた寝息をかきはじめる。

 レグノも次第に眠くなって横になった視界がぼやけてまぶたがどっと重くなって目を閉じた。
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